fbpx

アキレス: 1Q大幅増益、通期純利益予想と年間配当予想を引き上げ、PBRは0.5倍台

マネーボイス 必読の記事



アキレス<5142>は、PBR0.5倍台で推移している中、配当利回り2.7%付近で推移している。8月7日に発表した第1四半期業績は大幅増益着地となり、同時に通期純利益予想と年間配当予想を引き上げた。売上高・営業利益の通期予想は据え置いたものの、収益改善と株主還元の強化は、割安評価の見直しを促す材料となろう。

同社は1947年の設立以来、上履きや靴などのゴム製品からプラスチック加工へと領域を広げ、現在は東証プライム市場に上場する総合プラスチック加工メーカーである。同社は「製膜・発泡・成型」をコア技術とし、身近な日用品から最先端の半導体関連製品まで多岐にわたる製品・サービスを世界に提供しており、環境配慮型フィルムや断熱資材による省エネ、防災用品、インフラ老朽化対策など、社会的課題の解決に資する取り組みも展開している。事業は組織再編を経て、車輌資材やフィルム、ウレタン、工業資材製品の「第一事業部」、断熱・建装・防災対策商品の「第二事業部」、そしてジュニアスポーツシューズ「瞬足」などのブランドを有する「シューズBU」の3セグメントで構成される。シューズBUの売上高構成比は11%程度、その他89%は生産資材・中間素材が占めており、複数分野に事業を展開する多角的な事業構成が特長となる。国内を中心に培った高い技術力とノウハウ、ブランド力を武器に、北米や東アジアを重点エリアとしてグローバルにもソリューションを水平展開する形態をとっている。

同社の強みは、第一に、長年蓄積してきた「製膜・発泡・成型」のコア技術に、多様な関連技術を掛け合わせることで、顧客の顕在・潜在ニーズに即応できる高度な開発・解決能力を有している点である。さらに今後はプロダクトアウトからマーケットイン視点を強化し、アイデアで多様なグループ・テクノロジーを掛け合わせることで独自の価値創造を展望している。第二に、特定の業界に依存しない事業ポートフォリオの広さと、それらがシナジーを発揮して成長分野へ参入できる体制が整っている点である。例えば、工業資材で培った導電性技術をモビリティ分野に応用し、帯電量軽減により快適なドライビングに資する運転席用のシート材を開発するなど、既存技術の事業横断的な取り組みによる高成長市場でのシェア拡大を図っている。第三に、グローバルな供給体制と特定市場における高いプレゼンスが挙げられる。特にフィルムのメディカル分野や、半導体ウエハー搬送用部材といったエレクトロニクス分野において、品質と信頼を背景に強固な顧客基盤を築いており、バイオ医薬品市場や生成AI向け半導体市況の活況を直接的な成長の追い風にできる体制を構築している。

8月7日に発表した2027年3月期第1四半期決算では、売上高21,361百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益1,175百万円(同2.6倍)と大幅増益で着地した。エレクトロニクス・メディカル分野向けのフィルム製品やエレクトロニクス分野向けの半導体ウエハー搬送用部材等が引き続き好調に推移するとともに、航空機や自動車向けの車輌内装用資材が好調に推移した。加えて、利益面では、価格改定の浸透に加え、利益率の高い製品の構成比が上昇したことが寄与した。また、原材料の見直しやVA、製造・塗工方法の改善など、継続的な原価低減活動も収益改善を支えた。通期業績予想は、売上高82,500百万円(前期比0.9%増)、営業利益2,200百万円(同26.0%減)を据え置き、親会社株主に帰属する当期純利益は2,200百万円(同3.9%増、従来計画1,300百万円)に引き上げた。保有する投資有価証券の一部売却を決定し、投資有価証券売却益を特別利益として計上する。
一方、中東情勢の緊迫化に伴う供給不安を背景とする需要増の動きも一部あった模様である。今後はその反動域に加え、原材料価格の上昇や価格改定によるコスト吸収の進捗を見極める必要がある。こうした不確実性を踏まえ、同社は売上高および営業利益の通期予想を据え置いている。
今後の成長見通しについては、引き続き2027年度までの中期経営計画において、収益力の再構築と強化を最優先課題に掲げている。同社は2027年度に売上高880億円、営業利益率3.4%、ROE5.0%以上の達成を目標としており、さらに2030年度には売上高1,000億円規模、営業利益率5.0%水準への拡大を目指している。成長の原動力となるのは、エレクトロニクス、モビリティ、メディカル&ヘルスケア、コンストラクション&インフラ、セーフティ・アクティビティといった重点5分野への経営資源の集中である。具体的には、バイオ医薬品市場向けの高機能フィルムの拡販や半導体関連資材のグローバルな供給体制強化に加え、コンストラクション&インフラ分野では、カーボンニュートラルや省エネ需要を背景に断熱関連商材の拡販を進め、住宅に加えて物流倉庫、工場、学校、体育館など非住宅分野にも対象市場を広げている。なかでも学校・体育館向けは、省エネ性の向上に加え、災害時の避難所機能の向上にも資することから、需要拡大が期待される。こうした施策を通じて、トップラインと利益率の両面で成長を図る方針である。また、戦略的なM&Aや他企業とのアライアンスも視野に入れ、自社技術と外部リソースの融合による非連続な成長も追求していく。

株主還元について、同社は継続的かつ安定的な配当を基本としつつ、自己株式の取得も機動的に実施することで総合的な還元の充実を図ることを方針としている。中期経営計画における基本方針として、直近の経営状況を踏まえ、当面は配当性向30%以上、1株当たり年間配当金50円を意識した配当を行うことを掲げており、株主重視の姿勢を鮮明にしている。2027年3月期の年間配当予想については、1株当たり50円(前回予想比20円増)を計画。また、同社のPBRは0.5倍台と1倍を大きく下回る水準にあることから、今後はIR活動や英文開示の拡充、サステナビリティへの継続的な取り組み、資本効率を意識した経営を通じて、市場評価の向上と資本コストを上回るROEの実現を目指していく方針である。

総じて、アキレスは強固な技術基盤をベースに、成長著しい半導体やメディカル分野へのシフトを加速させており、価格改定や高採算製品の構成比上昇、継続的な原価低減などにより、収益力改善の成果が数字に表れ始めている。「靴の会社」というイメージから脱却し、中期経営計画で示された「グローバル ソリューション プロバイダー」への変貌と、積極的な株主還元姿勢を両立させる同社の今後の動向に注目したい。

いま読まれてます

記事提供:
元記事を読む

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー