森友学園の地下3メートルより下にゴミがないことは最初からわかっていた。野党が「8億円値引き」に安倍夫妻の政治的介入があったと主張しているが、問題はもっと複雑だ。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。
深さ3mより下にゴミはない?それは初めから分かり切ったことだ
廃棄物がないのは当然
学校法人「森友学園」への国有地格安売却問題で、売却直前の2016年4月に小学校建設の設計業者が学園顧問弁護士に対し、「深さ3メートルより下には廃棄物はない」とする内容のメールを送っていたことが分かった。
出典:深さ3メートルより下にごみなし=業者メール、従来説明と食い違い-森友用地 – 時事ドットコム(2017年5月16日配信)
「深さ3メートルより下には廃棄物はない」ことは、施工経験のある人間ならば初めから分かっていたこと。本当に存在した場合の方が驚きである。このことは2カ月以上前に公表した拙コラム『森友学園と国の「危険な共謀」仕組まれたゴミ混入率が意味するものとは?』で指摘済みである。
「8億円値引き」は安倍夫妻の口利きではない
民進党は、こうした事実が「8億円値引き」に安倍総理夫妻の不当な政治的介入があったことを裏付けるものだと主張したいようだが、そんなに単純な話ではない可能性が高い。もうひとひねりが必要だ。
籠池氏と安倍総理、昭恵夫人の目標は小学校の認可であり、国有地を安く払い下げてもらうことではなかったとすると、安倍総理や昭恵夫人が、国有地の払下価格を引き下げるように口利きをしたとは考えにくい。
安倍総理夫妻が森友学園に小学校開設認可を希望する中で、財務省が大きなミスをしでかしたことで、8億円値引きが行われたというように考えた方が筋が通るはずである。
これに関しても2カ月前に公開した拙コラム『偶然ではない、森友学園問題と「南スーダンPKO撤収」を結ぶ点と線』の中で指摘しているので、ご興味のある方はぜひ目を通して頂きたい。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2017年5月17日)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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