ドイツ銀行はリーマン・ブラザーズにはならない
そして今、最も市場を賑わせているのがドイツ銀行です。2008年のリーマン・ショック時の違法行為をアメリカ当局に指摘され、最大約1.4兆円の和解金が課されるとされています。さらに悪いことに、ドイツ政府がドイツ銀行が経営危機に陥ったとしても救済しないと宣言、更なる不安を誘っています。
しかし、私はドイツ銀行がリーマン・ブラザーズのように破綻する可能性は非常に低いと考えています。リーマン・ショックの際は、多くの投資不適格な証券化商品が投資商品に組み込まれていて、それを保有していた多くの投資銀行が危機に陥りましたが、ドイツ銀行の場合はそのような爆弾を抱えているわけではありません。
問題は巨額の和解金に加えて、EU域内のマイナス金利などを要因とする収益性の低下です。低い収益性によって経営状況が苦しくなり、株価は低迷するでしょうが、それだけでは巨大な銀行が潰れるようなものではありません。
もしドイツ銀行の問題が原因で過小評価されている銘柄があるとすれば、投資のチャンスかもしれません。当社でもそのような銘柄を探しています。
似たようなケースでは、数年前にギリシャの債務問題に関連して欧州債務危機が叫ばれましたが、結果的に世界経済に大きな影響を与えることはなく、今ではほぼ沈静化しています。その時、南欧国債は売り込まれて信じられないような高い金利がついていました。それらを購入した投資家は大きく儲かったことでしょう。
「ピンチはチャンス」と思っていれば必ずいい投資の機会が見つけられるはずです。もし「ABCDショック」に関連した動きがあったら、冷静に判断してそう多くは訪れないチャンスを活かしましょう。
つばめ投資顧問は相場変動に左右されない「バリュー株投資」を提唱しています。バリュー株投資についてはこちらのページをご覧ください。記事に関する質問も受け付けています。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年9月13日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。