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グローバリズムに勝利したアメリカ民主主義。日本はどうだ?=三橋貴明

アメリカの労働者階級はトランプに票を投じることで、民主主義に基づき「史上最大の逆転劇」を演出して見せたのです。グローバリズムと民主主義は、基本的には敵対します。(『週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』三橋貴明)

※本記事は、『週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』 2016年11月14日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

英国でも米国でも民主主義はグローバリズムに打ち勝った。次は?

NAFTA締結で何が起きたか

グローバリズムとは、モノ・ヒト・カネの国境を越えた移動を自由化することを「善」とする考え方です。グローバリズム先進国であるアメリカは、まさに上記の考えに基づきNAFTA(北米貿易協定)を締結。「メキシコ」との間でモノ・ヒト・カネの移動を自由化しました。

結果、何が起きたのか。

まずは、生産性が極端に高いアメリカ産の小麦が、「関税」という盾を撤廃された上で、メキシコに雪崩れ込んでいきました。すなわち、「モノ」の移動の自由化です。

結果的に、メキシコの小麦農家は次々に廃業し、職を求めて北上。国境を越え、アメリカ合衆国に入国していきました。「ヒト」の移動の自由化です。

アメリカの中小企業の経営者たちは、「安い労働で働く」メキシコ人労働者を、むしろ歓迎しました。さらに、アメリカの工場が次々にメキシコに移っていきます。なぜ、アメリカ企業がメキシコに生産拠点を移したのか。もちろん、メキシコの人件費が相対的に安いため、工場を移せば「儲かる」ためです。カネの移動の自由化でございます。

というわけで、NAFTAという「グローバリズムの国際協定」により、メキシコとの間でモノ・ヒト・カネの移動の自由化が達成されたアメリカでは、特に白人労働者階級を中心に、雇用が不安定化し、実質賃金が伸び悩む状況が続きます。

信じがたいかも知れませんが、1970年と比較し、アメリカの主要セクターの生産性は二倍超になったにも関わらず、製造業の労働者の実質賃金は低下しているのです。生産性向上、イコール実質賃金の上昇です。主要セクターの生産性が上昇する中、製造業の労働者の実質賃金が低迷するとは、「生産性向上により拡大した所得のパイのほとんどを、製造業の労働者以外が持っていってしまった」という話になります。

実際、1975年から2007年までの「所得拡大」を見ると、何と所得上位1%層が50%を獲得してしまっています。所得上位10%層にすると、80%です。過去の「グローバリズム」に基づく経済成長の果実は、アメリカの90%層、特に製造業の労働者階級には渡らなかったのです。

無論、グローバリズム的には、所得が増えなかった労働者階級は「自己責任」という話になります。とはいえ、現実には自己責任では済まないし、自己責任で済ますなら政府はいりません。民主主義国家で政府がいらないということは、民主主義自体が不要という話になります。

現実には、アメリカの労働者階級はトランプに票を投じることで、民主主義に基づき「史上最大の逆転劇」を演出して見せたのです。グローバリズムと民主主義は、基本的には敵対します。623ブレグジットに続き、アメリカでも民主主義がグローバリズムに対して勝利を収めました。次の国は、どこになるでしょうか。

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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~』(2016年10月8日号)より抜粋・再構成
記事タイトル・本文見出し・太字・図版はマネーボイス編集部による

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