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「政治生命をかけた冒険」安倍総理が消費税減税を決断するこれだけの理由=近藤駿介

消費税減税はハイリスク・ハイリターンな冒険

「消費税減税」のメリットは、景気回復の実感を得られていない多くの国民に対して、政策効果を直接感じてもらうことのできる数少ない政策であることだ。消費税は逆進性の高い税でもあるので、「消費税減税」によって格差社会を生み出しているという批判を和らげることも期待できる。

異次元の金融緩和」を行っている日銀は、個人消費低迷の要因について、長期に及ぶデフレ経済によって国民の「デフレマインド」が強まった結果だと分析している。しかし、「デフレマインド」以上に強いのは、高齢化社会の進行に伴って膨れ上がる社会保障費の財源を背景とした「増税マインド」である。

「消費税減税」は、こうした「増税マインド」に一旦歯止めを掛けることで、日本経済の大きな課題となっている個人消費を喚起できる可能性を秘めた「冒険」だと言える。

「消費税減税」は、その財源問題とともに財政規律を重視する人たちからは無責任な政策として大きな非難を浴びる可能性もある。そして、「増税=勝利」「減税=敗北」と考える財務省を敵に回しかねない危険な「冒険」である。

安倍総理にとって「理想の死に際」はどちらか?

財務省を敵に回すことは、安倍総理にとってまさに「政治生命をかけた大冒険」である。しかし、「内閣支持率が30%を割り込むと1年以内に政権は倒れる」というジンクスが生きているとしたら、「人柄が信用できない」という理由で政権が倒れるのと、消費税減税で財務省を敵に回すことで政権が倒れるのと、どちらの死に際を選ぶかという安倍総理の決断の問題でもある。

相次いだ閣僚の不祥事や自身の体調不良によって「政権を投げ出した総理」というレッテルを貼られた経験を持っている安倍総理は、「憲法改正を成し遂げた総理大臣」として歴史に名を残そうとしている。しかし、今のままでは「傲慢な政権運営で急激に支持を失った総理」という新たな汚名を着せられるだけになりかねない。

たとえ政権を維持できなくなったとしても、「傲慢な政権運営で急激に支持を失った総理」としてではなく、「個人消費を喚起して経済を立て直すために消費税減税を唱え、敢然と財務省などの抵抗勢力と戦って散った総理」として歴史に名を残すほうがはるかに得なはずである。

ここに来て、自民党内からは2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標を取り下げることを検討するという「消費税減税」に追い風となる動きも出てきており、こうした風をうまく利用すれば「支持率を回復する」という目的を達成することも不可能ではない。

Next: 安倍総理には財務省を敵に回すだけの合理的な理由が存在している

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