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ビットコイン先物の「建玉動向」から相場の流れをつかむポイント=高梨彰

史上初のビットコイン先物取引が始まりました。私はこれの建玉推移に注目しています。建玉が増えれば増えるほど、相場下落の可能性は高くなると考えるからです。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2017年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

鮮烈デビューの「ビットコイン先物」今後の動きを建玉推移で占う

ビットコイン先物、上昇で取引スタート

ビットコイン先物が取引を開始しました。どうやら値を上げて始まったようです。「どこまで上昇するか」という表現を使う記事も各国から出ています。関心は物凄く高そうです。

相場屋さんの一人として興味を持っているのは、ビットコイン先物の「建玉(たてぎょく)」です。建玉は先物を売り買いした場合に「売りっ放し」または「買いっ放し」のように、ポジションを残してある状態のことを言います。「売りっ放し」は「売り建玉」、買いなら「買い建玉」です。

従来の管理手法ではポジション維持が難しい

先物取引では、売値と買値の差額が損益として計上されます。売り建玉が残っている場合には、現値との差から「評価損益」が発生し、このとき売値よりも現値が安ければ「評価益」となります。

問題は「評価損」です。先物取引には予め「証拠金」を用意することが求められます。評価損が膨らんだ場合に、その補償的な役割として求められるものです。証拠金があることによって、多少の評価損が出た場合でも取引所としては推移を見守ることができます。

しかし、評価損が膨らんだときには、元の証拠金だけでは収まらなくなります。その場合には、追加証拠金が求められます。株の信用取引でも同じですが、「追い証」とか「マージンコール」と呼ばれるものです。

ビットコインほどの値動きとなりますと、この証拠金管理が大変です。ちょっとした値動きでも即座にマージンコールが発生します。マージンコールを避けるには予め積んでおく証拠金の金額を多くしておく必要がありますが、そうなると資金力がある参加者しか取引を続けることができなくなります。

「資金力がある参加者」が取引を続けてくれれば、建玉も増えていくはずです。しかし、従来の管理手法では多くのポジション、建玉を晒したままにすることは難しいと思われます。他の商品との裁定取引も難しそうです。ビットコインの「現物」をしこたま買い込んで先物を売り建てておくことも可能ですけど、そこまでして取引を活発化させる参加者がどれだけいるのか微妙でもあります。

Next: 建玉が増えれば増えるほど、相場下落の可能性は高くなる

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