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トランプとプーチンは知っている?「次の金融危機」そのキッカケは何になるか

経済評論家・投資家のJim Rickards氏が、現在の金融市場は「雪崩を待っている状態」だと警告しています。何が次の金融危機のきっかけとなるのでしょうか?(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年12月7日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

牽制し合う米国とロシア。金融危機をもたらす「3つの要因」とは

Jim Rickards氏が警告する「金融危機」

今回は、ベストセラー『通貨戦争』の著書で経済評論家・投資家のJim Rickards氏による最近のエッセイを紹介します。タイトルは「雪崩を待っている状態」です。
※参考:https://dailyreckoning.com/waiting-for-the-avalanche/

エッセイのポイントについて、翻訳しながら解説します。

次の金融危機の「きっかけ」となる要因を順不同で挙げると、

<第1要因:中国のクレジット・バブルの膨張>
中国の信用バブルの規模は、米国のバブル膨張よりもさらに大きく膨れ上がっている。ところが悪いことに、過去において中国は信用バブルを経験したことが無いので、対応も遅れることが予想される。

皆は、中国共産党が何とかバブル崩壊を押さえ込むと信じている。私自身、不動産バブルが弾けた南京のゴーストタウンへ、地方の共産党幹部と同行で、最近に訪れた。そこはぜんぶ空っぽの都市だった。

そこで地方幹部に「すべて借金で建てたものがぜんぶ空っぽということは、不動産収入はゼロ。債務返済はできないどうするのか?」と質問をした。

地方幹部は「そうだ、我々には処理できないが、党中央が何とか助けてくれるだろう」との回答だった。

問題は不動産バブルだけでない。シャドーバンキング問題、資金の海外流出問題など、膨張しているものは非常に多いのだ。

そして、党中央がすべての対策方法を熟知しているとは到底、考え難いのだ。

<第2要因:約定した金地金の引き渡しの不履行>
今後、これはほとんど間違いなく起きるだろう。ペーパー・ゴールドで欧米の金先物市場は溢れ返っている。そのペーパー・ゴールドで、金価格は下落操作されている。

しかし、入手可能な現物金地金はドンドン減っている。1年間の新産金量は数千トンレベル。そして、すでに地上に掘り上げた金地金は、地球上に存在しているのだから増える一方のはずなのだが、逆に現実には入手が困難になっている。

それはなぜか? 供給側では毎年数千トン地上在庫が増えているのだが、皆が退蔵して放出したり売却しないからだ。

ロンドンの金保管庫から中国上海の金保管庫へ流出しても、地上在庫の合計トン数は変化しない。問題は自由に売り買いされる金地金の量なのだ。それが無くなってきたのだ。

少し前にスイスを訪問して、世界で4つの指に入る安全保管運送業者の1社を訪問した。そこは昔から、スイス陸軍と協力して金保管庫を建設している業者だ。スイスの陸軍工兵隊が核攻撃に耐えるトンネルをアルプス山脈に掘っており、その耐核爆トンネルの一部を業者が金保管庫として借り受けるのだが、その空きスペースもすぐに契約で埋まってしまったそうだ。

どこから金地金が来るのか?」と尋ねたところ、返って来た返事は「UBS、ドイツ銀行、クレディスイスや、預けていた銀行から引き出した一般顧客からだ」とのことであった。

これらの金保管庫業者は現物地金を保管するだけ。UBSなどのブリオンバンクは、反対に現物を手に入れて、それを10倍のペーパー・ゴールドとして売却する。その場合、1本の金地金に10人の所有者が存在する「Unallocated金地金」に化けるのだ。

でもいつの日にか、1本の地金に対して複数の所有者が窓口に現われて現物引出を要求すると、結局、渡せない日がやってくる

この衝撃波は、パニック買い物価上昇となって出現するだろう。現在は何とか価格押し下げで制圧できているが、そのうち制御不能になるだろう。

<第3要因:地政学的衝撃>
全世界の株式市場は高値へ、高値へ。しかし、事態は容易に制御不能になるものだ。

北朝鮮の米国を射程範囲に入れた核ミサイルの存在や、サウジアラビア内部での政争劇、そしてイランとの戦争の可能性などである。

そして世界の金融システムは、日毎に亀裂が増えて弱体化している。

下記の図は、北朝鮮がICBM大陸間弾道弾、火星15号を打ち上げた11月29日の金価格の動きです。

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金価格は押し下げられています。そうするしかなかったのです。おもしろいことに、NY市場の株価はまたもや高騰でした。

Next: ロシアが米国に警告「海外口座凍結なら開戦通告と見なす」

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