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「今のリスクオン相場は勘違いだ」イエレンFRB議長の二段論法

妄想する市場に危惧し、イエレン議長が重い口を開く

しかし、10月27日、28日のFOMCで年内利上げがメンバー内のコンセンサスという声明が出たことで、徐々に楽観の基調に変化が出てきました。これはFOMCの真意を読まず、勝手に妄想をする市場に危機感を覚え、より明確な言葉で警鐘を鳴らしたというのが真相でしょう。

比較的ハト派とされるロックハート総裁が「12月利上げはありえると市場に認識させるのを意図した声明だったので、その意味で声明は成功した」と述べています。

それでもマーケットはまだ半数程度が3月以降の利上げを見ていました。その理由は、イエレンFRB議長が明確な意見を表明していなかったからです。サービス精神旺盛で、ときに口からでまかせ的な軽はずみなことも言うドラギECB総裁と比べ、イエレンFRB議長は慎重すぎます。

結果、利上げ時期をはぐらかしてきたのですが、妄想派が主流の今は、そこに付け込まれ「年内利上げと明確に言っていないので、年内利上げはない」という屁理屈の根拠になっていたのです。しかし、そのイエレンFRB議長も先週下院金融委員会での証言で、やや明確に年内利上げについて言及したのです。

イエレンFRB議長の「二段論法」

イエレンFRB議長は回りくどい表現で述べていますが、これは二段論法になっています。

  1. インフレが時間とともに加速するという確信が今後の経済指標で変わらなければ、12月利上げになる
  2. なお、今の時点では経済は順調

ということなので、今の時点では12月利上げになるということを暗に言ったのです。これで、さすがの楽観マーケットも年内利上げに傾き、米国債は急落しドル高が一気に進みました。

では、年内利上げの確信が揺らぐほどの悪い指標はどの程度のものかということですが、少なくとも10月初旬発表の弱い雇用統計程度ではないということです。もし、弱い雇用統計を少しでも気にしているのでしたら、今の経済は順調だなんて言うはずがないからです。

つまり、今回の証言でイエレンFRB議長は、10月初旬から世界的に続いている「米国の利上げ後退を囃したリスクオンマーケットは勘違いですよ」と言ったに等しいのです。

金融当局が考える以上に過剰流動性相場に賭けている市場

そして止めを刺したのが金曜発表の雇用統計です。ここではエバンズ、ブラード総裁ともに12月利上げが適切と言ったことを記します。ブラード総裁は、昨年10月の量的緩和終了直前に「新しい量的緩和を始めるべきだ」といったくらいの人物なので、決してタカ派ではありません。

そもそも、FOMCでの投票は多数決なので、イエレンFRB議長もブラード総裁もみな1票ですが、エバンズ、ブラード両総裁は少数派ではないオピニオンリーダー的な存在なので、彼らがこのようなコメントを出すということは、今回の雇用統計で限りなく100%に近い可能性で12月利上げになるだろうと考えていいです。

結果、マーケットの12月利上げ見通しは跳ね上がりましたが依然として74%です。

注目すべきは、雇用統計前の12月利上げ確率の低さです。FOMC声明やあれだけ大勢の要人が年内利上げを支持した発言をしていたのにそれを54%しか信じていなかったのです。ということは、マーケットの半数はFOMCが考える以上に過剰流動性相場サイドにベットし過ぎていると言い換えることができます。

これこそが、私がかねがね言っている「妄想によるアヤ(フェイク相場)」なのです。

年内利上げは揺るがず。延期は「世界的な危機」が発生した場合のみ

正直、ここまで妄想が続くと思いませんでしたが、それはFOMCメンバーも同様でしょう。彼らの立場で言えることを何度も何度も誠実に言っているのに、市場がまったく聞く耳を持ってくれていなかったのです。

今回の雇用統計で、12月利上げはダメ押しになりましたので、今週はまだ年明け以降の利上げを妄信している74%以外の連中が「利上げが思ったよりも早まりそうだ。これはタカ派的な状況で宜しくない」と考えポジションを修正させていく週になるでしょう。

従って、今週もイエレンFRB議長を始めとするFOMC要人の「先週発表の雇用統計で、12月利上げが如何に決定的になったか」を左右する発言が重要になるでしょう。既に年明け利上げ派は少数派になったのですから、12月利上げを支持する要人発言が出るたびに雪崩を打ったように12月利上げの確率は高まるでしょう。

なお、私の利上げ時期と幅も引き上げています。

12月FOMC (可能性80%→95%)
1月利上げ (可能性3%)
3月FOMC以降 (2%)

12月FOMCまでに、FOMCメンバーが重要視する経済指標は、12月初旬発表の雇用統計しかありませんが、10月初旬発表の弱い雇用統計をまったく気にした形跡がない以上、国内経済指標が多少悪くても年内利上げは確実でしょう。

単に株式市場が下がるだけでなく、中国株が暴落するとか比較的大きな新興国がデフォルトになるなど、「不安」ではなく「世界的な危機」にならない限り利上げは行われると思われます。

【関連】米雇用統計インチキ疑惑。27.1万人増はどこまで信用できるか?

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元ヘッジファンドE氏の投資情報』(2015年11月9日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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日本株のファンドマネージャーを20年以上、うち8年はヘッジファンドマネージャーをしてきたE氏による「安定して稼ぐコツ」「相場の見方」「銘柄情報」を伝授していきます。

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