10月30日の日銀金融政策決定会合では、一部で期待された追加緩和はなく金融政策の現状維持が決定されました。また当初「2年で2%」とされていた物価目標の達成時期も先延ばしとなりました。
これに関して、投資信託に精通しSEの経歴を活かしたツール提供を行うのりたま氏は、「ずっともやもやしてハッキリしないところがあったがスッキリした。追加緩和は当分しないのだろうなと思えた今回の会合だった」との結論。その考えにいたるプロセスを覗いてみましょう。
「追加緩和は当分しないのだろうな」10/30日銀会合の振り返り
「ますます日銀が自信を持ってしまう」CPI結果
まずは先日発表された消費者物価指数から確認します。
■日本経済指標【全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)】 2015/10/30(金)08:32
*全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(9月)8:30
結果 -0.1% 予想 -0.2% 前回 -0.1%(前年同月比)■日本経済指標【全国消費者物価指数(CPI)】 2015/10/30(金)08:32
*全国消費者物価指数(CPI)(9月)8:30
結果 0.0% 予想 0.0% 前回 0.2%(前年同月比)■日本経済指標【東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)】 2015/10/30(金)08:32
*東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(10月)8:30
結果 -0.2% 予想 -0.2% 前回 -0.2%(前年同月比)
コア物価指数は市場予想ほど悪くは無かったようですが、前回と同じ流れになっています。次に、エネルギーを除く、コアコア物価指数を確認してみます。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(9月)
結果 0.9% 前回 0.8 (前年同月比)
前回と比べ上昇幅が小さくなりましたが、上昇基調を維持しており素晴らしいです。ますます日銀が自信を持っちゃうかも?(^_^)
日銀会合と展望レポートの内容を詳しくチェック
それでは注目の日銀会合を確認したいと思います。
※当面の金融政策運営について[PDF]
現状の緩和政策を維持で、追加緩和はなしとなっています。そこで重要な中身についてですが、4月以来の物価展望見直しがどうなったのも気になるところです。
※経済・物価情勢の展望(10月、基本的見解)[PDF]
※経済・物価情勢の展望(10月、全文)[PDF]
※(参考)7月時点の物価展望[PDF]
2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016 年度後半頃になると予想される。
2%物価目標達成のタイミングを「2016年度前半頃」から、「2016年度後半頃」に後ずれさせました!後ずれは二度目にもかかわらず、大胆に伸ばしてきましたねー。
「2016年度」を2016年4月~2017年3月までとした場合、前半は、2016年4月~7月に対して、後半は、2016年12月~2017年3月となるでしょうか。今から1年以上も先の話になります。
当初2年程度で達成することに意味があるとしていましたが、達成できずに後ずれ、そしてさらに二度目の後ずれ。
黒田総裁は4月の会合後、5/1の記者会見でこのように話しています。
2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するというコミットメントについては、変更する考えはありません。
早期に実現することはこれまでも変わらないとしていたにも関わらず、今回の再延期というのは、もはや2%を早期に実現することはこだわっていないと言っているようなものです。言い換えるなら、金融政策は、2年スパンでのターゲティングをするというだけであって、物価の基調が上がっていれば問題ない。
今回、そのことが改めてハッキリしたのではないでしょうか。
各政策委員は見通し作成にあたって、原油価格の前提を次の通りとした。すなわち、原油価格(ドバイ)は、1バレル 50ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて60ドル台前半に緩やかに上昇していくと想定している。
個人的には変更してくるだろうと思っていた原油の見通しは、
- 出発点を 60ドル => 50ドル
- 終盤を 70ドル => 60ドル
大きく下方修正してきました。そりゃそうでしょう。
しかも、見通し期間の延長をしてこれですから、原油安が思った以上に長引くのだということを示しています。原油安が後ずれの最大要因ということを印象づけしたいのでしょうが、まぁ、しょうがないかなとも思えるものではあります。
成長率の見通しは、2015年度について、新興国経済の減速を背景とした輸出のもたつきや天候不順の影響などによる個人消費の鈍さから下振れているものの、2016年度と2017年度については概ね不変である。物価の見通しは、2015年度と2016年度については、原油価格下落の影響などから下振れているものの、2017年度については概ね不変である。
ここ最近の経済情勢を考えれば、2015年の経済成長率見通しが下ブレるということはそのとおりだと思います。ただし、2016年度と2017年度は、「概ね不変」としていますが、あまり信用できないです。現在の下振れ要因は、一時的なものだけとは言い切れませんから。
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