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米投資会社ブラックストーン副会長の「2016年サプライズ10大予想」=櫻井英明

今年のマーケットはどうなる?米投資会社ブラックストーン副会長のバイロン・ウィーン氏による「2016年サプライズ10大予想」を、『兜町カタリスト』の櫻井英明さんが解説します。

2016年の米利上げはあと1回のみ?EUは崩壊危機?

サプライズ10大予想

(1)2016年米大統領選、民主党のヒラリー候補が勝利

共和党のテッド・クルーズ候補を打ち負かすだけでなく、民主党が米上院で多数派に躍り出る。クルーズ候補の極端に保守的な政策が裏目に出る見通し。ただ選挙結果は、両党とも予想以下にとどまる。

(2)米株は下落

業績不振、利ザヤ縮小(賃金上昇でも価格競争力低下)、株価収益率(PER)の縮小が打撃となる。世界的に不安定な情勢で、現金志向も強まり株価を圧迫へ。

(3)FEDは2015年12月利上げ後、2016年の利上げは1回のみ

2015年12月に利上げを開始した当時は2016年に4回にわたる利上げを予想していたものの、
0.25%1回のみにとどめる。経済と業績の低迷に加え、経済的苦難を抱えるエマージング国が背景。年後半には利下げ転換すら検討され始める。成長率は2%以下に終わる。

(4)海外投資家、米株の持ち高を縮小

米経済の鈍化や業績不振を受けた米株安により、海外投資家が米株の持ち高を縮小させる。
米大統領選など政治的な不透明性も嫌気され、ユーロドルは1.20ドルまでユーロ高・ドル安が加速する。

(5)中国は辛うじてハードランディングを回避も経済減速は免れず

中国経済はハードランディングを回避するとはいえ若い世代を満足させる雇用を創出できず、銀行も不良債権の増加に苦しむ。債務はGDP比250%に増大し、小売売上高をはじめ自動車販売、鉱工業生産が上向くも成長率は5%以下まで鈍化へ。人民元は輸出促進を目指し、対ドルで7.0元へ切り下げる。

(6)難民問題でEUは再び崩壊の危機

国家主義者、極右が台頭し、EU崩壊の決断こそ下されないものの、ユーロの長期見通し長期的見通しに暗雲が垂れこむ。

(7)原油は30ドル台で低迷

世界経済の鈍化に加え、イランの増産やサウジアラビアの産油量調整への躊躇が仇となる。採掘活動の縮小でいずれ原油高を迎えるときが到来するだろうが、2016年に需給ひっ迫は見られない。

(8)ニューヨークやロンドンなど、高級不動産が急落

ロシアや中国の買い手が市場から撤退し、高級不動産が値崩れする。原油安により、中東の投資家の需要も低下。数多くのコンドミニアムが売れ残り、不動産開発業者は困難に直面する。世界都市部の高級不動産物件。2016年は1.7%の上昇と2015年の3%から鈍化するとの調査結果も。

(9)米10年債利回り2.5%以下で推移

米経済の鈍化と米株の失速を受け、投資家は安全資産へ資金を振り向ける。

(10)世界経済成長率は2%増へ

米国の弱い国民総生産(GNP)に加え中国、その他エマージング国経済も予想以下に終わる

次ページは、その他の「起こりうる」予想。

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