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超特大ブラックマンデーの足音~「QE動向を的確に予測する男」の警告

「金融崩壊が迫っている――」いま欧米の投資家に資金の保護を呼び掛けている投資コンサルタントたちが記事を書くときは、ほぼ例外なく、この言葉を見出し、あるいは中身出しに使っています。

「それは来週から始まるかもしれない」と言っているのは、「QE(量的金融緩和)の動向を的確に予測する男」として知られるビル・フレッケンスタインです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※不許複製・禁無断転載(本記事の著作権はメルマガ著者および当サイトに帰属します。第三者サイト等への違法な転載は固くお断り致します)

この下げトレンドが何年続くのかは「金融エリート」次第――

「金融崩壊が迫っている」早ければ、それは年内からか?

ビル・フレッケンスタインは、マネー運用のマネージャーとして30年以上の経験を持つベテランで、1996年以降は、毎日、市場レポートを書いています。

彼が2003年に創設した貴金属投資情報サービス会社『FleckensteinCapital.com』は、直接のオーナーシップと投資家たちによって完全に維持されている唯一の会社で、彼自身もテレビ番組に多数、出演しています。

彼は、スイス国立銀行が驚異的な損失を出すこと、そして、連邦準備制度理事会がグローバルな金融システムを不安定にするほど大きい損失を経験することなどを的中させました。

彼は、QE(量的金融緩和)の動向を的確に予測する男として、投資の間では、誰でもその名を知っているほどの有名人です。

フレッケンシュタインが、こんなことを言っています。

「私は、以前、このことに気がつかなかったけれども、アングロ・アメリカンが、配当をカットした時が、商品セクターの事実上の大底であるとするニュース・アカウントを思い出した。今が、そうかも知れない」

アングロ・アメリカンとは、世界第5位の英国の鉱業大手。

資源価格がいつまでたっても下げ止まらないことから、以前から、このセクターの苦境が伝えられてはいましたが、とうとう先週の火曜日(8日)、85,000人の従業員のレイオフを発表しました。

それだけでなく、資産の売却を進めることや、株主への配当の停止(おそらく2016年の後半まで)まで発表したのです。

これは、アングロ・アメリカンが、「資源価格は、今後数年間、回復の見込みが立たないだろう」と判断したからです。

アングロ・アメリカンより先に、世界第2位の鉱山会社、英・オーストラリア系リオ・ティント・グループは、先月、予定していた設備投資を縮小して株主へ配当の見直しと投資計画のバランスを取ると発表しています。

鉱山各社は、いよいよ徹底したリストラに着手し始めたのです。

最大の要因は、世界の工場、中国の経済成長の鈍化が確定的になったからです。これは鉱山業界にとって非常に深刻な問題です。

鉱山会社が操業を続けるためには、膨大なランニングコストを必要とします。資源の採掘・精製コストは一定であるため、資源価格の下落は、直接、利益に跳ね返ってくる構造になっています。

将来の需要減退を見越して市場が資源価格の一層の下落を暗示した動きを続けている以上、鉱山事業会社にとっては、リストラこそが体力を増強させる数少ない手段になって来るのです。

鉄鋼、銅、白金など、工業製品に欠かせない金属・非鉄の需要が減っていくということは、世界的な消費減退の重要なシグナルなのです。今度は、そう簡単に需要は回復しないと、鉱山会社は見ているのです。

アングロ・アメリカンの大リストラ計画が発表された同じ日に、日本のコマツの最高経営責任者(CEO)も、「来年の需要はさらに減る。われわれは市場の成長は見込めない、と考えている」と漏らしています。

私は、2日前に配信したメルマガ第136号のパート1で、「コモディティーの筆頭、原油価格はどうでしょう。1バレル40ドル台を割り込んで30ドル台に突入するのも目前です」と書きました。

それは、あっさり1バレル40ドルを割り込み、35ドル台まで下落したのです。

日本のメディアは、日銀がいくら量的金融緩和を進めようともデフレ克服など夢のまた夢、アベノミクスに最後のとどめを刺されて外資が日本の市場から撤退してしまうことを恐れているせいか、「一時的」と書きたてています。

しかし、欧米のアナリストの観測は、「20ドル台まで下げる可能性もある」ということです。GDP600兆円は絵に描いた餅どころか、大法螺でしょう。

残念ながら、世界は景気後退に入りました。

しかし、ビル・フレッケンスタインは、「アングロ・アメリカンが無配となったとき、商品セクターは、いよいよ底に着くかもしれない」と見ています。

また、フレッケンスタインは、「消費のバロメーターとなるコストコやウォルマートのような巨大小売企業が奮闘しているので、まだまだ株式投資にとって好条件である、と言っている人々がいるが、そんなことは到底信じることはできない」と強調しています。

Next: 市場は下げトレンドに入った/「無配の鉱山株」に注目する逆張り投資家

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