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超特大ブラックマンデーの足音~「QE動向を的確に予測する男」の警告

ジャンク債は紙クズに…「世界不況に突入する蓋然性は65%にまで高まった」

もう一人の著名な金融専門家は、「2016年の世界経済は、かなりの波乱含みの展開になる」と予想しています。彼は、ビジネス・インサイダーに、「来年は不況に突入する可能性が濃厚である」と明言しました。

この男、グローバル・マクロ・インベスター(Global Macro Investor)の創業者ラウル・パル(Raoul Pal)は、「現在、世界不況に入る可能性は65%だ」と述べました。

今年7月の時点で、彼は全米供給管理協会(ISM)が発表している製造景況感指数は、2015年末には重要なラインとなっている50を切るだろうと予測していました。

実際に12月1日、ISM製造業景況感指数は、2008年の不況以来、初めて50を割り込み、48.6まで下がったのです。

ラウル・パルは、「私が何より驚いているのは、次の金融危機が起ころうとしているのに、大部分の人々が、今、何が起こっているのか積極的に知ろうとしないことです」とビジネス・インサイダーに語りました。

その証拠は自分たちの身の回りにたくさんあるにもかかわらず、人々は両手で目をふさいでしまうのです。
世界的な経済危機の懸念が深まっている11の深刻な指標が警告のベルを打ち鳴らしている

2008年の金融危機の後始末をしないまま、ひたすらドルを刷り続けて市場を操作し続けてきた挙句、いよいよアメリカは経済崩壊の崖っぷちまで自らを追い込んでしまったのです。

ピーター・シフ(Peter Schiff)は、最近、人々がそれを具体的にイメージできるような分かりやすい表現を使って危機を訴えるようになりました。

彼は、アメリカの経済評論家、著作者、株式仲介者であり、現在ユーロ・パシフィック・キャピタル社(コネチカット州ダリエンに拠点を置く公的認可済証券仲介会社)の社長を務めています。

シフは、2008年の経済危機を予言したことで広く知られるようになり、以来、アメリカ経済に対する弱気の見解を変えていません。

ピーター・シフ:
今起こっていることは、私たちが予想していたことです。確かに、さまざまな資料やデータからは、景気回復の兆候はひとつたりとも見つけることはできません。しかも、それはアメリカだけのことではないのです。

我々はより多くのお金を使っています。でも、我々がより多くの富を生み出しているのだから、問題ないのでは?という人がいます。多くのアメリカ人も、そう思っています。

しかし、それは間違いです。我々は、消費することによって、より多くの借金をつくり続けているのです。

一時的にでも、さも裕福になったかのような錯覚に陥っているだけであって、そのツケを支払わなければならない時は必ずやってくるのです。そして、その支払期限が近づいているのです…。

いまのところ、金利はゼロに据え置かれています。利子(といっても、ほとんどゼロだが)を払うことができるように、そうしているのです。

しかし、ひとたび金利が上がれば、元本の返済はおろか、金利分さえ払うことができなくなるのです。そのときこそ、パーティーはお開きになるのです。
出典:ピーター・シフの日本語翻訳ブログ

米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレンは、「これ以上、利上げを遅らせると、いつかは急激に利上げせざるを得なくなる。利上げのペースは慎重にすべきだが、今、利上げを始めれば後々、良い結果をもたらす」と言っています。

中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、資金調達のために「無格付け」で債券を発行しようとしています。

西側の格付けではなく、中国の独自の基準による格付けで発行される債権は、「ジャンク債以下」と、すでに酷評されています。

※ジャンク債とは

ジャンク債は、「ジャンクボンド」や「ハイイールド債」とも呼ばれ、低格付けのデフォルトリスク(元 本償還や利払いの不能リスク)の高い債券のことをいう。

通常は、スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)の格付けで「BB」、ムーディーズ社 (Moody’s)の格付けで「Ba」、もしくはそれ以下の低格付債券のことをいう(他の格付会社も同様)。

日本では、1996年以降、適債基準が撤廃さ れたことで、格付けの低い中南米や東欧の円建て外債の起債が行われた。

また、日本国内の社債などでは、発行後に投資不適格となった例はあるが、最初からジャンク債として発行された例はない。
出典:ジャンク債とは|金融経済用語集

中国との貿易に経済の大半を依存しているブラジルの惨状を見れば、AIIBが発行する債券を買う投資家を探すのは、かなり難しいでしょう。中国の景気減速は確定的です。

ブラジルには、この8月、すでにムーディーズが「投資適格級としては最低水準」の格付けであるBaa3を与えています。

また、同じく格付会社のフィッチも、10月に投資適格級としては最低の「BBB-」を与えました。

すでに、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、その1月前の9月9日にブラジル格付けをジャンク級に引き下げています。

これを受けて、ムーディーズも、とうとう12月に入ってから、ブラジルをジャンク級に格下げすることを具体的に検討し始めました。

損切りをしてでも売り逃げたいと考えるのは人情。しかし、紙クズになることが分かりきっている債券になど、もう誰も見向きもしないのです。

ぐすぐす決断を遅らせた結果、逃げ遅れた投資家は最後のババをつかまされたのです。

とうとうNYタイムズまでもが、ロイターの記事を引用して「ジャンク債は、たいへんな売り圧力に晒されている」と書きたてています。

そして、12月8日のテレグラフ紙では、「ジャンク債市場で起きている混乱は、今後世界経済が混乱する前兆である」と断定的な論調で書いています。

金融のド素人にしてロスチャイルドの操り人形、ジャネット・イエレンおばさんは、ジャンク債が発している金融クラッシュの警鐘を完全に無視しています。もはや、凶器と化した世界金融の舵取り役たち。

いずれにしても、2016年からは、あちらこちらでさまざまな形の崩壊を見るでしょう。

【参考記事】
RAOUL PAL: A key indicator is flashing red ─ and it means there’s a 65% chance of a global recession
Peter Schiff Warns: “The Whole Economy Has Imploded… Collapse Is Coming”

Next: 金(ゴールド)は、すべての“ペーパー”から脱出する最後の手段

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