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トランプに挑戦する候補者はだれに?2020アメリカ大統領選の前哨戦がスタートした=真殿達

左傾化はオバマ再選戦略以来のこと

民主党が左傾化したのは昨日今日に始まったことではない。意外に思われるかもしれないが、オバマが大統領再選に臨んだ時に用いた支持基盤の徹底的掘り起こし策が始まりだったといえる。

イラク介入に手を焼いた挙句リーマンショックに襲われた、惨憺たるブッシュ政権の幕切れから救世主のように登場したオバマには大きな期待が寄せられた。ところが、就任後半年もせぬうちに支持率が激減し、最初の中間選挙に惨敗すると法案はことごとく議会を通らなくなり、多くの問題を大統領令で何とか切り抜けることになった。

それでも、共和党支持者から総スカンを食らい続け、民主党支持者にのみ支えられて2期目の選挙に臨んだオバマの戦略は見事だった。全国をくまなく回るよりも、伝統的に民主党の指示が厚い地域、黒人、マイノリティ、LGBT等の票を掘り起こしに注力し、強くもない共和党候補のミット・ロムニーをかわすことに成功した。

2期目の政策は選挙戦略に呼応し、一段と左傾化した。オバマ・ケアがその典型で徹底的な弱者救済的リベラル政策に走った。同じ民主党政権でもビル・クリントン時代とオバマ時代は、プロ・ビジネスvsアンチ・ビジネスという点でも大きく異なっていた。厳しい環境規制がその好例である。

オバマ政権後の大統領選挙で、地盤の徹底的掘り起こし戦略を踏襲したのは、ヒラリー・クリントンではなくドナルド・トランプだった。長い大統領選挙期間を通じてモーメンタムを作るには全国的支持の広がりよりも、そこそこの広がりを持つ地盤での熱狂的支持の広がりの方が、創り出しやすく、しかも集中力を生みやすい。

投票に結び付くかどうかわからない万人受けする戦術よりも、確実に投票する自分の支持母体を徹底して耕すことで、全国的広がりを持つ候補を破ることができた。

民主党の極端すぎる左傾化はこうした実績と無縁ではない。ならば、左傾化が「分断するアメリカ」を象徴しているといえるのかどうか。選挙で勝つために観念的な分断を創り出す力が働いているのではないのか。問題は、それでトランプに勝てるのか、である。

トランプがツイッターで揶揄するSleepy Joe(ジョー・バイデン)がこれまでのところ民主党のトップランナーでいることは、中道候補でなければ選挙に勝てないという気持ちを多くのアメリカ国民(民主党支持者)が抱いているためだ。もう一人の中道候補LGBTのブデイジッチはこれからどんな戦いぶりを示すのか。また、似た者同士のサンダースとウォレンのどちらが先に撤退するのか。

勝ち残りがもう一方の支持基盤を併せ、バイデンやブデイジッチやハリスを破りノミネーションを受ける可能性はあるのか。まだまだ序盤とはいえ、淘汰に至る適者生存の意味するところは深長である。

※ご注意
投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。

image by : >Evan El-Amin / Shutterstock.com

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億の近道』(2019年8月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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