最近、よく耳にする言葉「FIRE(早期リタイア)」。目指すのはよいですが、ケチケチとお金を貯めて投資をし、その配当で節約生活をすることには危うさを感じます。それよりも稼ぐ力と賢く使う方法を身につけることが重要ではないでしょうか。それが本当の「お金の才能」だと考えます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2022年1月10日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
経済格差は「思考格差」
以前に出版した本『お金の才能』(かんき出版)の担当編集者から「いまの時代に即したお金の本ができないか」という打診をいただき、執筆を開始しました。この「お金の才能」が刊行されたのは2009年でおよそ13年が過ぎましたが、その間、人々の経済格差は縮まるどころかむしろ拡大しているような印象があります。
それは統計からもはっきり出ているそうで、富裕層の仲間入りをした人は増え、億万長者にはさらにお金が集まるという状況になっています。日本でも貧困世帯が増加しているというニュースがありました。
これはいったいどうしたことなのでしょうか?
その理由のひとつは「思考格差」だというのが私の仮説です。それがコロナでより顕著に見られたからです。
たとえば「GoToトラベル」キャンペーンが開始されたとき、「観光地の知事は来るなと言うし、政府は旅行に行けという、いったいどうすればいいんだ」などと、旅行すら他人に決めてもらわなければ決められないという人がいました。
また、大阪府の知事が「5人以上の会食禁止」と打ち出したとき「4人が良くて5人がダメという理由がわからない」という意見がありました。
4人か5人かではなく「大人数がダメ」ということと、抽象的に考える思考能力が乏しいわけです。まあ、もっと厳密に考えれば、4人までなら4人テーブルだけど、5人になると宴会場とかになって距離があいて大声になりやすいという読みがあるのかもしれませんが。
また、屋外でもほぼ全員がマスクをしています。公園でも子どもたちはマスクをして走っている!屋外で他人同士が接近していなければ飛沫リスクはほとんどないのに、科学や医学を超越したこの行動は、思考停止と言えるでしょう。
私の周囲の富裕層の多くは、2020年の早い段階でコロナに対応したビジネスモデルや商材の開発に取り組み、勤務形態を最適化させていました。一方で、庶民はただ自粛して引きこもるのみ。自分の頭で考えていない。
そして庶民は、営業している店やマスクをしていない人を叩く。ルールを守ることに固執し、時と場合によってルールが不適切になることもあるということに考えが及ばない。
これでは格差は広がるというものです。
いつでもお金を生み出せて、賢く使えることが大切
また、世の中は貯金の額が多いことが理想のようで、若くして貯金が数千万円あると「すごい人」のように思われています。
しかし本当に重要なことは、「節約して〇〇万円貯める」とか、「積立投資で老後の資産を作る」などといったことではないというのが私の考えです。
私が考えるお金の才能とは、お金を貯めることよりも、まず「どんな状況になってもお金を稼げること」「どんな時代環境でもお金を生み出す方法を作れること」だと考えています。
何かあったときのためにお金を貯めておくよりも、何があってもお金を生み出せる方が、真の安心につながるのではないでしょうか。