現在、アメリカによるイラン攻撃などの地政学リスクを背景に、株式相場は非常に不安定な状況にあります。日経平均が一時5万9,000円を超えるような絶好調な時期もありましたが、こうした不透明な要因によって相場が大きく崩れることは決して珍しくありません。投資家にとって大切なのは、「何が原因で崩れるか」を予想することではありません。むしろ「いつか必ず来る暴落」に対して、どのように備え、実際に起きた時にどう行動すべきかという原理原則を理解しておくことです。今回は、初心者の方でも迷わずに暴落局面をチャンスに変えられるよう、具体的な指標と投資家心理の克服法を解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
暴落の兆候を読み解く「3つの重要指標」
暴落の局面で、現在の市場がどれほど「恐怖」に支配されているかを知るための指標がいくつか存在します。
<ビックス(VIX)指数>
別名「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数は、シカゴオプション取引所がS&P 500のオプション取引の動きを元に算出するものです。
数値が高いほど投資家が先行きに不安を感じているとされ、一般的に「30」を超えることが一つの大きな買いの基準となります。
過去5年を振り返ると、2022年の混乱期には何度か30を超えましたが、それ以降は落ち着いた推移を見せています。
<Fear & Greed 指数>
CNNが公表しているこの指標は、市場の心理を「エクストリーム・フィア(極度の恐怖)」から「エクストリーム・グリード(極度の強欲)」までの5段階で視覚的に示します。
VIX指数とも相関性が高く、これが「フィア」側に大きく振れるほど、市場に恐怖が蔓延し、買いのチャンスが近づいていることを示唆します。
<騰落レシオ>
日本株を分析する際に有効なのが騰落レシオです。
これは値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から算出されます。
例えば25日間の騰落レシオが「60」程度まで下がってくると、市場の売りが極まっており、反発が近いというサインになります。
株式市場における投資家心理のサイクルと「暴落のメカニズム」
株価の動きには、投資家心理が密接に関係しています。

<「陶酔」から「パニック」へ至るまでの道のり>
上昇トレンドの絶頂期、多くの投資家は「陶酔(とうすい)」の状態にあり、さらなる高値を確信しています。
しかし、何らかのリスク要因で株価が下がり始めると、「まだいけるはずだ」という希望的観測から無理な押し目買いが行われます。
その後、期待通りに株価が戻らず下落が続くと、心理は「恐怖」へと変わり、最終的には「パニック」へと至ります。
<なぜ大底での「パニック売り」が起きてしまうのか>
パニック状態に陥ると、投資家は「この世の終わり」のような絶望感に襲われます。
コロナショックの時のように「人類が危ない」「経済が終わった」といった過激な言葉が飛び交うようになると、耐えきれなくなった投資家が投げ売りを始めます。
しかし、皮肉なことに、この「全員が売った」瞬間こそが、売り手が枯渇し、株価が反発に転じる「大底」である可能性が極めて高いのです。