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巴工業、1Qは増収減益 機械製造販売事業は好調な受注が継続し、過去最高水準の受注残を維持

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2026年3月27日に発表された、巴工業株式会社2026年10月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

2026年10月期 第1四半期決算

橘田一幸氏(以下、橘田):取締役執行役員、経理部および経営企画部担当の橘田です。2026年10月期第1四半期決算の概要についてご説明します。

はじめに、全体の決算概要です。売上高は、化学工業製品販売事業および機械製造販売事業のいずれも伸長したことにより、前年度と比べ1.6パーセント増の153億3,300万円となりました。

一方で、利益面では、人件費を中心とした販管費の増加により、前年度と比べて営業利益は6.8パーセント減の16億7,200万円、経常利益は6.5パーセント減の16億8,700万円、親会社株主に帰属する当期純利益は10.3パーセント減の11億1,000万円と、いずれも減益となっています。

人件費の増加については、当社の賞与は経常利益と連動しており、昨年同時期の経常利益見通しが50億円だったのに対し、今期は57億7,000万円を見込んでいることから、賞与引当金への繰入額が大幅に増加していることによります。

2026年10月期 第1四半期決算 -化学工業製品販売事業-

事業ごとの業績についてご説明します。まず、化学工業製品販売事業です。売上高は、清算中の中国子会社の操業停止による販売減少や、半導体製造用途向け材料の伸び悩みがあったものの、建材・耐火物向け材料や樹脂向け添加剤、半導体組立用途向け材料の販売が伸びたことで、前年度とほぼ横ばいの108億2,000万円となりました。

営業利益は、人件費を中心に販管費が増加したことから、前年度と比べ13パーセント減の8億1,400万円となりました。なお、営業利益の進捗率は通期見通しに対して22.2パーセントですが、上期見通しに対しては49.9パーセントと、概ねラップどおりの進捗となっています。

下期が上期と比較して伸長する見通しとしている理由は、鉱産関連や機能材料関連での一部商材の販売増、パワー半導体向け部材の受注残分の販売、低温廃熱活用関連の熱交換器の販売を見込んでいるためです。

2026年10月期 第1四半期決算 -化学工業製品販売事業-

化学工業製品販売事業の分野別売上高についてご説明します。化成品関連は、前年度と比べ若干減収となりましたが、新規商権獲得によるコーティング用途向けの販売好調が継続しています。

鉱産関連は、アンチモン相場の高騰により樹脂向け添加剤の売上が増加し、前年度と比べて9,700万円の増収となりました。また、前年同期とは競合環境が異なることから利益率が低下しており、これが化学工業製品販売事業全体の利益率の低下に影響しています。

工業材料関連は、建材・耐火物向け材料の販売増により、前年度と比べて1億7,500万円の増収となりました。機能材料関連は、EV市況の低迷が続いた影響で、パワー半導体向け部材の売上が低調となり、前年度と比べて1億円の減収となりました。

電子材料関連は、市況の改善傾向を受けて、半導体組立用途向け材料の販売が増加し、前年度と比べて9,100万円の増収となりました。合成樹脂関連は、先ほどお伝えしたとおり、清算に向けた中国子会社の操業停止により、前年度と比べて2億6,300万円の減収となりました。

その他は、低温廃熱活用関連である熱交換器の販売が実現し、前年度と比べて4,700万円の増収となっています。低温廃熱活用については、3月17日付のリリースに詳しい内容を記載しています。

また、低温廃熱活用事業の全体構想については、後段で玉井からトピックスとしてご説明しますが、80度未満の廃熱を対象とした熱交換器の販売にあたっては、化学工業製品販売事業が持つ商社機能を活用するのが望ましいと判断し、化学工業製品販売事業で取り扱っています。

2026年10月期 第1四半期決算 -機械製造販売事業-

機械製造販売事業の業績についてご説明します。機械製造販売事業全体の売上高は、国内官需向けの販売が全般的に好調だったことに加え、海外向け部品・修理販売が伸長したことで、前年度と比べ5.6パーセント増の45億1,200万円となりました。

営業利益は、人件費を中心とした販管費が増加した影響で、前年度と比べほぼ横ばいの8億5,800万円となりました。

通期見通しについては、後ほどご説明する受注残が過去最高水準を維持していることから好調が継続すると考え、変更していません。

2026年10月期 第1四半期決算 -機械製造販売事業-

機械製造販売事業の分野別売上高についてご説明します。国内官需向けでは、東京・大阪をはじめとする大都市圏での大型機械や元請工事、修理の好調により、全体では前年度と比べ6億3,700万円の増収となりました。

国内民需向けでは、前期に石油化学・医薬向け機械の大型案件があったことによる反動減で、全体では前年度と比べ3億7,100万円の減収となっています。

海外向けでは、部品や修理販売がインド・東南アジア・中国向けの好調により増収となったものの、前期に半導体向け装置の販売があったことによる反動減で、全体では前年度と比べ2,700万円の減収となりました。

なお、中期経営計画で「第二の柱」として掲げている30キロワット級の小型バイナリー発電装置と、「第三の柱」として掲げている機械商社事業の新規製商品の1つである水素濃度センサーは、今回は売上には計上されていませんが、すでに受注しており、第2四半期以降に売上が計上される予定です。

2026年10月期 第1四半期受注残 -機械製造販売事業-

受注残の状況についてご説明します。スライドに掲載しているグラフをご覧いただくとおわかりのとおり、好調な受注が継続しています。受注残は前年同期と比べて増加し、過去最高水準を維持しています。

2026年10月期 第1四半期決算 -B/S(連結)-

次に貸借対照表ですが、12月から1月にかけて、賞与、配当、法人税等の支払いにより、現預金が前期末と比較して減少しています。加えて、新工場建設の関係と株式市況が高水準で推移していた影響で、固定資産が増加しています。

また、昨年の株式売出しに伴い実施した自己株式の取得により、純資産がわずかに減少しています。

2026年10月期 通期業績見通し

通期業績見通しについては、現時点では昨年12月に示した予想から変更はありません。第2四半期末の業績を見た上で、必要があれば修正を検討する予定ですので、本日は説明を割愛します。

なお、中東情勢については、現時点で直ちに大きな影響は出ていないものの、合成樹脂関連の輸入樹脂の販売減が見込まれる等の影響が懸念されるため、状況を注視しています。私からは以上です。

低温廃熱活用分野での事業領域拡大

玉井章友氏(以下、玉井):代表取締役社長の玉井です。ここからはトピックスについてご説明します。

昨年12月に発表した中期経営計画「Create The New Future」で、当社は機械製造販売事業の重点施策の1つとして、「第二の柱」にバイナリー発電装置の販売促進による事業基盤の確立を掲げています。

3月17日のプレスリリースのとおり、当社ではバイナリー発電装置をはじめとした低温廃熱活用分野における新たな販売体制を整備しました。本日はその内容について、トピックスとして詳しくご説明します。

まず、低温廃熱活用分野における温度帯別の当社製品ラインナップを示した資料が、こちらのスライドです。

当社はこれまで、80度から150度の廃熱で発電可能なバイナリー発電装置の開発・販売を中心に事業の準備を進めてきました。しかし、近年のお客さまニーズの多様化を背景に、250度未満のすべての温度帯に対応できる体制へと対応範囲を広げ、未利用廃熱活用に向けたラインナップの拡充を図っています。

一方、発電所などの250度以上の高温熱源を対象としたメガワットクラスの発電設備は、国内の大手企業がすでに市場開拓を進めており、参入が進んでいます。

このような状況の中で、当社は市場開拓が十分に進んでいない250度未満の未利用廃熱を再利用するニッチな市場に注力していきたいと考えています。

なお、廃熱を発電ではなく熱として自社設備内で再利用されるお客さま向けには、先ほどご説明した熱交換器をはじめとする各種製品も取り揃えています。特に今後の需要拡大を見据え、重点的に準備を進めてきた製品が2つありますので、ご紹介します。

1つ目は、80度から150度の廃熱を活用するバイナリー発電装置です。従来取り扱ってきた30キロワット機に加え、新たに125キロワット機をラインナップに投入しました。2つ目は、150度から250度の廃熱を活用する蒸気発電装置です。

当社が低温廃熱活用分野を機械製造販売事業の「第二の柱」と位置づけている理由について、次のスライドで市場環境の視点からご説明します。

日本における低温廃熱活用分野のマーケット

現在、日本では一次エネルギー投入量全体の約6割が有効利用されず、未利用熱として排出されています。この未利用熱を再生可能エネルギー源として活用する取り組みが、近年大きな注目を集めています。

未利用熱のエネルギー規模は、日本の年間電力販売量約3,600ペタジュールの約3.6倍に相当すると試算されています。

特に200度未満の低温域廃熱が全体の7割以上を占めており、理論上は年間約4,900万世帯分に相当する電力量を生み出すポテンシャルを秘めています。この膨大な未活用エネルギーを有効活用することが、今後の省エネルギーおよび脱炭素社会の実現における鍵となると期待されています。

スライド左側に示している表は、当社が今後本格的に参入を進める小型バイナリー発電および小型蒸気発電のマーケットをそれぞれ整理したものです。

まず、80度から150度の廃熱を活用する分野が小型バイナリー発電となります。全国の下水汚泥焼却炉のうち廃熱を有する施設100ヶ所から150ヶ所、全国のごみ焼却施設の中で発電設備のない150ヶ所から250ヶ所に加え、食品、化学、金属などの中小・中堅規模の製造工場が主な導入先の対象となります。

当社では、機械メーカーとして培ってきた技術ノウハウ、販売ルートを活用し、大きな成長余地を有する最大マーケットの開拓を今後も進めていきたいと考えています。

次に、150度から250度の廃熱を活用する分野が小型蒸気発電です。国内では小型ボイラーが約25万台稼働しているものの、多くのケースで廃熱が未活用のまま放出されているのが現状です。これらの小型ボイラーに小型蒸気発電装置を併設することで、幅広い施設における廃熱の有効活用が期待されます。

また、小型蒸気発電分野において先行事例として知られている神戸製鋼所製の「スチームスター」については、新規販売が停止されていると認識しており、その代替設備として当社にもすでに複数の問い合わせをいただいています。

低温廃熱活用分野全体の市場規模は現在約320億円と推定されていますが、エネルギー価格の高騰や企業の脱炭素ニーズの高まりを背景に、補助金制度や規制整備といった政策支援、ならびに技術革新を成長ドライバーとして、今後5年で約600億円規模、10年後には1,000億円を超える市場へと拡大する見通しです。

この分野は中長期的な成長ポテンシャルが極めて高く、今後、重要な新産業分野としての台頭が期待される市場であると当社は考えています。

低温廃熱活用分野での新たな販売体制確立

この国内市場の成長を取り込むため、当社は新たな販売体制を確立しました。まず、バイナリー発電装置については、国内での導入実績を持つ米国アクセスエナジー社製のタービン発電機を組み込んだ製品を取り扱います。

本年3月には、当該分野のパイオニアであり、国内トップシェアを有する第一実業株式会社より、アクセスエナジー社製品に関する国内独占製造権および販売権を譲り受ける契約を締結しました。

なお、本ライセンスは製造権といっても、バイナリー発電機の組立は可能である一方で、タービン発電機本体の製造・修理はできない内容となっています。

このため、当社は機械メーカーとして、アクセスエナジー社の親会社であるカルネティックス テクノロジーズ社と技術ライセンス契約を締結し、タービン本体を含むバイナリー発電装置について、設計・製造から販売、アフターサービスまで一気通貫で提供できる体制の構築を目指します。

一方、マイクロ蒸気発電装置については、世界20ヶ国以上で数百基の蒸気タービンの供給実績を有するインドのマックス ワット社製品を取り扱います。本年2月には同社との間で、蒸気発電装置の国内独占販売権を取得しました。

当社は、低温廃熱活用分野への本格参入にあたり、これらの新たな製品ラインナップを新ブランド「THERMAECO(サーマエコ)」として展開していきます。

既存事業で培ってきた販売網や顧客基盤とのシナジーを最大限に活かし、高い成長ポテンシャルを持つ市場の開拓を進めることで、収益拡大と脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。

当社からの説明は以上です。本日ご説明したトピックスの取り組み等を通じて、中期経営計画の達成に努めていきます。

本日は当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:低温廃熱活用分野の売上計上時期について

質問者:低温廃熱活用分野について、売上として計上され始めるのは今期からという認識でよろしいでしょうか?

玉井:30キロワット級に関してはすでに受注済で、今期中に売上として計上される見込みです。125キロワット級は先ほどお話しした第一実業社からの譲り受けや、米国企業との契約締結により、今期中に第一実業社からの技術移管トレーニングが発生します。また、米国製のタービン発電機の技術習得も予定されており、これらがスケジュールに含まれています。

さらに、第一実業社の一部設備の移転作業も必要となるなど、さまざまな準備か必要であり、125キロワット級に関しては、今年度中に売上に寄与することは難しいと考えています。

質疑応答:低温廃熱活用分野の市場シェアについて

質問者:低温廃熱活用分野の2030年の市場ポテンシャルは600億円ということですが、御社はこの中でマーケットシェアをどれくらい取っていくイメージですか?

玉井:現在の市場規模は320億円、約10年後には1,000億円規模の市場が見込まれています。当社の現在の立ち位置としては、第一実業社がすでにトップシェアを有しており、これを当社が引き継いでいますので、現状では当社がトップシェアを持つ会社として認識しています。

競合他社もありますが、第一実業社が展開していた米国製のタービン発電機は、圧倒的な市場シェアを誇る装置であるため、トップシェアを維持していきたいと考えています。

具体的には、今後徐々にシェアを拡大していき、10年後の1,000億円の市場規模において10パーセントのシェアを獲得したいと考えており、それだけで100億円となります。機械製造販売事業の売上規模を考えると、10年後には非常に高い割合を占める商材になると期待しています。

現在の引き合い状況を見る限り、個人的にはさらに早く大きく成長できるのではないかと思っているところです。

質疑応答:第1四半期における賞与引当金繰入額の影響について

質問者:第1四半期の減益要因について、賞与引当金繰入額の増加は営業利益に対してどの程度マイナスの影響を及ぼしていますか?

橘田:営業利益に対する具体的な数字はお伝えできませんが、1億数千万円程度の影響があります。先ほど少しお話ししたとおり、前期の第1四半期時点では、経常利益目標を50億円として賞与引当金繰入額を計上していました。

みなさまもご認識のとおり、今期は当社としても非常にアグレッシブな経常利益目標を掲げており、それに基づいて賞与引当金の計算を行っています。57億7,000万円の経常利益見通しに対して積み上げているため、賞与引当金繰入額が大きく増加しているということです。

もし引当金が前期と変わらなかった場合、マイナスにはならなかったのではないかとご理解いただければと思います。

質問者:下期は逆に、賞与引当金の積み立て分は軽くなるというイメージですか?

橘田:経常利益の見通しにより変動しますが、現時点ではこのままのラップで積み立てが進むとご認識いただければと思います。ただし、前期は当初の計画では経常利益を50億円と見ていましたが、最終的には約54億円となりましたので、賞与引当金の積み増しが四半期ごとに増加していったとご理解ください。

質疑応答:化学工業製品販売事業における鉱産関連の減益分について

質問者:化学工業製品販売事業で鉱産関連の収益性が落ちていますが、これによる減益はどれくらいになりますか?

橘田:粗利ベースで数千万円とご理解いただければと思います。

質疑応答:化学工業製品販売事業の進捗率について

質問者:化学工業製品販売事業の進捗率は、上期見通しに対して第1四半期は49.9パーセントというお話でしたが、こちらは売上の進捗率でしょうか?

橘田:営業利益の進捗率です。

質問者:下期は機能材料関連やその他の売上が計上されることで、利益面のペースも徐々に上がっていくという理解でよろしいでしょうか?

橘田:そのとおりです。

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