■アップルインターナショナル<2788>の業績動向
4. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高で前期比12.1%減の35,856百万円、営業利益で同35.5%増の769百万円、経常利益で同66.5%増の930百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.8%減の615百万円を予想している。
2026年12月期の事業方針として、外部環境に左右されにくい「筋肉質な経営体質」への変革を進め、1台当たりの採算性を重視した高付加価値戦略を推進する。また、国内事業においてはAI査定の導入開始による業務効率の向上、サービス品質の均一化を図ることで店舗当たりの収益力を強化するほか、「リユース買取アップル」を「アップル」店舗内に併設するハイブリッド店舗の出店を開始し、シナジー創出を図る。
売上高は中古車輸出事業における低採算取引の縮小により減収を見込む一方、売上総利益率の改善により営業利益は2ケタ増益に転じる見通し。営業外収支は前期に計上した貸倒引当金繰入額がなくなること等により前期比171百万円の改善を見込む。一方で、前期に特別利益として計上した投資有価証券売却益がなくなることで、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となる見込みだ。ただ、2月下旬に勃発したイラン戦争の影響により原油価格が急騰しており、今後のオークション相場や東南アジアにおける中古車需要への影響が懸念され、その動向を注視しておく必要がある。
(1) 海外戦略
タイ市場においては、需要が低下した日本車旧モデルの在庫を圧縮し、市場価格の変動に即応した仕入れ体制の構築に取り組み、在庫回転率を前期比で20%向上することを目標としている(2025年の在庫水準は2.46ヶ月)。また、中国製EVのシェア拡大による日本車の苦戦が続くことを前提に現地の需要動向を再分析し、今後の戦略を策定する方針だ。
一方、マレーシア市場については引き続き堅調推移が見込まれている。同社ではタイ市場の落ち込みをカバーすべく、中央アジア、アフリカ、南米等、耐久性の高い日本車(ガソリン車・ハイブリッド車)の需要が依然として高い地域への販売を強化する方針で、輸出先の新規開拓国数で3ヶ国以上を目標に掲げている。
利益率の改善施策として、タイでの低採算取引の縮小に加えて、中間業者(オートオークション)を介さない直接販路を拡大することでコストを削減することで、前期比2%の粗利益率改善を目標としている。
なお、フィリピンにて2026年春頃を目途に、合弁でオークション運営事業を開始する計画であったが、規制当局からの認可が遅れていることもあり、当初計画よりも開始時期が遅れる見通しだ。ただ、開業に向けた準備は着々と進めているようで、早期の事業開始を目指している。
(2) 国内戦略
国内の中古車買取販売事業では、AI査定システムの導入により業務効率並びに成約率の向上に取り組む方針だ。AI査定システムについては2026年3月からトライアル運用を開始しており、2026年内に10店舗に導入する予定で、段階的にFC店舗へも導入を進める。AIの画像認識技術と社内のデータベースを連携することで、熟練度を問わず迅速かつ正確な査定(事故車などの診断も可能)を実現できるシステムである。査定時間でおよそ30%の短縮を目標としている。
また、Webセルフ査定からの来店誘導と、店舗での透明性の高い価格提示(顧客に対して納得感が得られる価格提示)を行うことで、成約率15%アップを目標に掲げている。そのほかAIを活用したSNS広告の運用を開始したほか、社内業務でのAIの積極活用に向けて社内教育も開始した。
そのほか、収益の多角化に向けた取り組みとしてリユース品買取事業を「アップル」店舗でも展開していく。時計・貴金属、ブランド品などの商材の買取も行うことで、店舗当たりの粗利の拡大につなげていく。試験店舗として2026年2月よりグループの1店舗(鈴鹿中央通り店)で開始したところ、3日間の開店イベントでは中古車の持込が30台(うち買取20台)、リユース品の持込が20点(うち、買取19点)となり、中古車の売却で来店した顧客がリユース品の売却も同時に済ませるなどシナジーが確認されている。同社は2026年内にハイブリッド店舗5店舗の出店を計画している。また、2026年5月から加盟店向けの導入提案もスタートする。リユース品買取のFC店舗での収益モデルはまだ検討中だが、加盟店が買い取ったリユース品を同社で一定マージンを乗せたうえですべて買い上げ、売却する方式が有力と見られる。リユース品の買取査定にもAI査定システムを活用するため、共通プラットフォームを活用することによる効率化が期待できる。
(3) コスト構造改革
筋肉質な経営体質への転換に取り組むべく、販管費の最適化も推進する。広告宣伝費については、Webマーケティングへのシフトを加速し、CPA(顧客獲得単価)の低減を図るべく費用対効果を厳格に管理することで、広告宣伝費率の10%削減を目標とする。また、AI査定システムなどAIの利活用による業務プロセスの自動化を推進することで人件費や業務委託費を抑制し、1人当たり生産性の15%向上をねらう。
これらの取り組みにより2026年12月期の販管費率は減収となるなかでも、前期の6.0%とほぼ同水準を見込んでおり、営業利益率は売上総利益率の改善により同1.4%から2.1%に引き上げる計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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