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キャスター、コスト構造改善が進展し2四半期連続の営業黒字を達成 自律型AIエージェントの新サービスで成長加速

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2026年4月14日に実施された、株式会社キャスター2026年8月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

沿革

勝見彩乃氏:本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。IR担当の執行役員の勝見です。初めて当社の説明会をご視聴いただいている方もいらっしゃるかと思いますので、まず会社概要を簡単にご説明します。

当社は2014年の創業時から、フルリモートという新しい働き方を実践してきた企業です。多様なスキルを持つ人材を広く登用し、クラウドツールと人的リソースを融合させたBPaaSモデルで事業を拡大し、人手不足や人材難に直面する企業に対して人的リソースを提供してきました。

そのような新しい働き方や経営手法のパイオニアとして、2023年に東証グロース市場へ上場しました。さらに、2025年からは「AI FIRST経営」を掲げ、人とAIを融合させてバックオフィス業務を高度かつ効率的に進化させるAI-BPaaSとして事業を展開しています。

この進化を実現するために、AIや技術に関連する子会社を合計3社取得・設立し、キャスターグループの体制へ移行しました。そして、国内外での開発およびサービス提供体制を強化している状況です。

当社グループの提供サービス

事業のご紹介です。当社が運営・提供する事業は、大きく3つのセグメントで構成されています。まず主力となっているのがBPaaS事業です。こちらは「CASTER BIZ」シリーズを中心に、月額制のリカーリングモデルとなっており、安定した収益基盤を築いています。

サービスの構造としては、お客さまからご依頼いただいた業務を当社のリモートワーカーがチームで対応し、秘書のような日常業務から経理・労務といった専門領域まで幅広く提供しています。このBPaaS事業が、全体の売上の約7割から8割を占めています。

続いて、HR事業です。この事業では、人材派遣事業やリモート特化型の求人メディアを運営しています。これにより、BPaaS事業では対応しきれないお客さまのニーズ、例えば外注ではなく自社採用を希望される場合や、特定の人材に特定の時間で業務対応してほしいといった要望に応えることができ、あらゆる人材ニーズを網羅的に支援することが可能です。

最後に、AI Tech事業です。この事業では、AIを活用したマイクロロット向けのオンラインアシスタントや、コンサルティング事業、AI研修事業などを提供する子会社群が含まれています。

BPaaS事業とHR事業の利益をAI Tech事業へ投資することで、当社グループ全体の成長を牽引していきます。

キャスターとは

会社概要のまとめです。当社は深刻化する人手不足に対して、AIネイティブなバックオフィスインフラで応える企業です。これまで当社は、リモートワーカーの豊富なリソースと分単位の業務タスクをアウトソース可能にする独自開発システムを強みに、中小企業をメインに顧客基盤を構築してきました。

その中で得た150万件以上の業務データを活用することで、AIを用いた業務の再設計が可能となっています。このように、業務をデータ資産に変え、AIと人の力を組み合わせたAIネイティブなバックオフィスインフラこそ、深刻化する人手不足への当社の解決策です。

会社説明は以上です。続いて、代表の中川より、2026年8月期第2四半期の決算についてお話しします。

サマリー

中川祥太氏:代表取締役の中川です。2026年8月期第2四半期の決算概要を発表します。事前に多くの質問をいただいていますので、できるだけ迅速にお答えしていきたいと思います。

売上高は22.4億円で着地しました。営業利益は2,400万円で、現在のところ黒字を継続しています。

業績概要

収益性を重視した経営を行っているため、現時点で黒字を継続しています。

営業利益増減要因

営業利益の減少要因です。販管費などを縮小しつつ全体をコントロールしているため、このような黒字が出ているとお考えいただければと思います。

営業利益の四半期推移

バランスを取りながら進めているという現状を表しています。

セグメント別業績サマリー

セグメント別業績のサマリーを個別にまとめています。内容と内訳はスライドに記載のとおりです。

ご参考)BPaaS事業 主要KPI

稼働社数や開示しているKPIについては、特に悪化していません。数字が良くなるよう粛々と調整を進めており、その結果で推移しているとお考えください。

財政状態

B/S、自己資本比率も、特段大きな変化はありません。また、状況的にも変化が生じるような要因は特にないため、現状の数字で推移しているとご理解ください。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書ですが、スライドに記載されているとおりの推移となっています。現時点ではキャッシュ残高に大きな影響はありませんが、今後推移が気になるタイミングがあれば、ぜひご確認ください。

業績予想

業績予想です。今期の着地に向けて、現時点での売上進捗率は43パーセントとなっています。後半で進捗分がさらに積み上がる見込みであり、この部分を様子見しつつも、通期黒字の見通しに変更はないという認識で進めています。

また、当社において全従業員を対象としたAIリスキリング研修を実施しました。実施に伴い、助成金を受給する可能性があり、その金額は最大9,400万円と見込んでいます。この助成金は営業利益以下の項目に計上され、金額が大きく変動する場合には、適時開示にて公表しますので、あらかじめご了承ください。

成長に向けたAI FIRST戦略の取り組み

成長戦略です。当社としては現在、経営の方向性としてAIを主軸にさまざまなサービスを展開しながら、実験的な取り組みも繰り返すことで、お客さまに提供できる価値を増やしていくことを目指しています。

また、すでに株主のみなさまにも開示済みですが、当社の基幹システム「Workforce」の基盤を活用し、外部の企業でもAIを通じて依頼が簡単にできる仕組みをテスト的に開始しています。新サービスの名称は「Pig out」で、これは当社が使用していた業務案件の差配を行うためのディレクションシステムを基盤としています。

このシステムにAIを組み込むことで、どのようなことが可能になるのかといった実験を行うツールと捉えていただければと思います。

また、5月頃に提供を開始する予定の「AI社員」についてです。当社内で業務に従事している自律型に近いAIエージェントを、外部企業にも提供することで、より幅広いBPOニーズに応えることができると考えています。このようなサービスを提供すべく、準備を進めています。

また、「NEO assistant」という名称で進めているAIの受託開発領域についても、今後の拡大を予定しています。こちらも今期中には展開を進めていきたいと考えています。

今回、先ほどお伝えしたAIリスキリング研修を、社内全員に対して実施しました。ただし、非常に基礎的な内容にとどまっているため、さらに中上級向けの研修も実施し、現在は一部の人員しか行えないようなスキルについても全従業員が習得できるよう取り組み、全体を支える方向性を目指しています。

① Pig out ‟ピッグアウト”

1つ目の「Pig out」です。こちらの見た目は非常に単純です。「ChatGPT」のように話しかけて業務を指示いただけると、その業務をただ実行するのではなく、まず要素分解し、「このようなことを、このような手順でやればできると思うよ」というところまで分解するサービスです。

分解された要素についてですが、現時点では人に直接つながる仕組みを採用しています。人に連結されるシステムを通じて、実際に業務を行える人々にマッチングを行い、業務を進める構造をとっています。

また、昨今ではAIによる作業量が非常に増加しているため、段階的にこの部分もAIが実際の作業を担うようにし、ハイブリッド型の運用を進めています。これにより、当社の業務がどの程度分解され、さらにお客さまへ手軽に提供できるかを試す入口として、テスト的な展開を進めています。

② AI社員/新サービスのリリース予定

2つ目です。「AI社員を採用」することを「新常識」と記載していますが、非常にイメージしやすい内容です。AIを社内で利用するといっても、社内のワークフローに適応させたり、一部を自律化したり、さらにはシステム的に保守・運用・メンテナンスを行ったりする必要があるため、これらを完全に内製化できている企業は多くありません。

実際にAIを利用しているとされる企業でも、多くの場合、一部のエージェント化されたサービスを使用しているのが現状です。このような状況に対して、一定の汎用性とさらに高いカスタマイズ性を備えた「AI社員」というかたちで、当社は保守・運用・メンテナンスを継続的に提供するサービスを予定しています。

これは、当社内で運用している仕組みと同様のものです。これをお客さまの環境でどのように活用していただくか、試行錯誤を重ねていきたいと思います。

③ 既存サービスへの拡張(NEO assistant)

3つ目は、先ほど触れた「NEO assistant」です。

当社サービスの特徴として、顧客とのコミュニケーションを取りながら、誰に業務を振るのかをコントロールするフロントと呼ばれる人員がいます。すでにCASTER BIZ accountingやHRといった領域で試行を進めていますが、フロントの代わりにAIがお客さまとコミュニケーションを取り、業務を分解して作業の要件を決め、実際の作業まで行う環境が構築できる領域が出てきました。

この領域に関しては、これまでのようにフロントに依存するのではなく、AIが業務分担などをすることを基本にして、それを人間がある程度フォローする構造のサービス展開へと切り替える予定です。

現在展開している「NEO assistant」は、比較的受託業務に近いAIエージェントの受託型サービスです。次に予定しているものは、このAIフロントです。AIによるコミュニケーション、作業、ディレクションが主軸となるサービスが次に登場するとご理解いただければと思います。

④ 従業員の人材育成/AIリスキリング

先ほども触れましたが、従業員向けのAI研修は順次行っていきます。この取り組みをさらに強化し、社内業務のエージェント化およびAI化を進めていきたいと考えています。現状、50パーセント以上としていますが、これにとどまらず、業務処理の大幅な効率化を目指します。

トピックス①(CASTER BIZ accounting:自律型AIエージェントを実装)

その他のトピックスです。こちらはすでにリリースしていますが、「Claude Cowork」のFinanceプラグインについて、当社はいち早く業務連携していくことを開示しました。その結果、お客さまからご興味をいただき、このプラグインに関する実装や実行の検証が進んでいます。

自社で対応可能な会社であればすでに取り組まれていると思いますが、興味はあるものの迷っている企業も多くいらっしゃいます。そのような企業については、当社と連携することで遅れずにスムーズに取り組むことが可能となる事例になったと考えています。

トピックス②(CASTER BIZ accounting:医療法人向けプラン)

こちらはAIとはあまり関係ありませんが、昨今は医療法人や介護事業者向けのサービスを求められることが増えてきています。これまでは専門外の領域のため、当社から積極的には着手していませんでしたが、そのような要望が増えてきている状況を踏まえ、医療法人や介護事業者向けの専用プランを作成しました。

外部環境の変化として、医療法人や介護事業者向けの法律改正やコスト制限などがあり、それに伴い当社のようなベンダーが提供できるサービスの隙間が生じています。このような状況を注視しながら適宜プランを提案し、さまざまな支援ができればと考えています。

トピックス③(CASTER BIZ recruiting グローバル採用プラン)

お客さまからの要望に応じて、グローバル人員のスカウトや面接の調整といった対応を進めています。

質疑応答:AI活用によるKPIの変更について

「従来モデルでは、適切なキャストへのアサインがフロントの重要な役割でしたが、現在はいかにAIに代替させ外注費、キャストの人件費などを抑制するかが原価率低減の鍵となります。

フロントの評価指標において、AI活用による原価削減や利益率の改善が従来の売上高や稼働社数と同等、あるいはそれ以上に重視される仕組みへとシフトしているのでしょうか? また、フロント個々人のAIリテラシーを処遇に反映させる具体的な制度設計はなされているでしょうか?」というご質問です。

まず、包括的なご回答を申し上げると、現在提供しているサービスにおいて、重要なKPIの変更はありません。そのKPIの中で、特に生産性に関わる重要な指標として担当社数が挙げられますが、この点はいただいたご質問の認識どおりです。

このような状況において、既存のサービスにAIを導入する場合、どちらかといえば、AIを業務に代替させて原価率を抑制するというよりも、フロントでの担当社数を指数関数的に増加させるかどうかが業績や利益率に与える影響は圧倒的に大きいです。

したがって、優先順位としては、まず担当社数をどれだけ伸ばせるかに挑戦の主軸が置かれているとお考えいただければと思います。

もちろん、段階的に担当社数が増加する中で、原価に制限がかかり、すなわち作業量に限界が生じる状態では、いずれ業務が停滞する可能性もあります。ただし、現時点ではそれが大きなボトルネックになるとは考えていません。業務量の大部分を占めるコミュニケーションをいかに効率化するかが、引き続き主要な論点であるとご理解ください。

同時に、フロントレスのサービスとして、今後新たな「NEO assistant」を同じ領域で展開していくことになります。こちらはAIがフロントに立つため、従来のサービスとは異なり、KPI構造が変わる予定です。そのため、事業拡大とともにその内容を開示していくことになると考えています。

また、フロントのAIリテラシーやそれへの対応度合いを評価に反映する動きがあると考えていただいて構いません。今期も一部反映しましたが、主に来期に向けて人事評価に高い割合で含まれる予定です。

質疑応答:AI化による影響について

「AIが経営から実務までを網羅するという方針のもと、フロント1名が担当可能な企業数には、AI導入前と比較してどのような変化あるいは目標値が生じていますか? AI駆動による効率化がフロントの抱えられる社数の増加として定量的に表れているのか、現時点の進捗をお聞かせください」というご質問です。

現時点では大きな影響は表れていません。その理由は、もともとサービスで提供可能なデリバリー数は毎月決まっているためです。この数字とは別に、現在、個別に承諾をいただいたクライアントに対して専用チームおよび専用のAIエージェントを構築し、そこで実験を進めている状況です。

そのため、多少提供数は増えているものの、限定的な環境での提供にとどまり、フロントが対応する社数が平均的に増えている状況ではないとご理解いただければと思います。

今期の決算時点では、社数にもある程度影響が出ると思いますが、大幅な増加が見られるかどうかは未知数です。ただし、先述したように新たな「NEO assistant」は今期中に展開を予定しており、このオペレーション窓口に対するお客さまからの引き合いや稼働状況に応じて、数字に変化が見えるのではないかと思っています。

また、経理や労務領域については、人材が貴重であるためデリバリーに制限があり、お客さまをお待たせしたり、ご希望のタイミングでのサービス提供が難しくなったりすることが発生します。

ここについては、すでにAIによるデリバリーが実際に稼働しています。この領域で得られた数字が、今期末に向けて当社が目標として設定している数字の基軸になるとお考えください。

質疑応答:売上総利益率について

「現在、独自フロント業務効率化システム(「Workforce」)により、売上総利益率は40パーセント前後で安定していると認識しております。

今後、キャストが行っていた定型業務をAIが完全に代替する比率が高まることで、売上総利益率の中長期的なターゲットをどこに設定されているのか、労働集約型からBPaaSへの完全脱皮に向けた具体的な改善のロードマップについてご教示ください」というご質問です。

ご認識のとおり、粗利率は原理上、改善することが可能です。ただし今回は、AIによる外部のマーケット環境の変化が非常に大きく起きています。これはあくまで当社の予想ですが、BPO市場における現在の1時間当たり、あるいは同じ業務を行った際の業界平均価格といったプライシングが、AIの影響により1年から2年の間で半分以下に到達すると考えています。

業界全体にとってはピンチともいえる状況ですが、当社としては依然として特殊な領域、ニッチな市場で事業を進めています。また、経理や労務関連、リモートBPO周辺の領域において、マーケットリーダーとしてのポジションを確立するべく、このプライシング予想に対して当社が先行して価格設定を行い、マーケットリーダーの地位をより強固にしていきたいと考えています。

これを行うことで、一時的なスコープとして粗利率は40パーセントから50パーセント程度で変化がない状態に落ち着くのではないかと考えています。一時的な状況としてはこのようになりますが、先ほどのご質問にもあったとおり、労働集約型から設備集約型への切り替えが行われることになります。したがって、概念的には理論粗利率がしばらくの間向上し続ける可能性が非常に高いです。

ここは、マーケット環境に応じて柔軟に切り替えていく予定です。そのため、現在の予想では、粗利率を大幅に引き上げるというよりも、マーケットリーダーポジションを最終的にプライシングに反映させて、どのように確立するかが主眼に置かれているとお考えください。

質疑応答:AI化と競争優位性について

「貴社は投資家向け説明会において、クライアントとのコミュニケーションは採用倍率約100倍を突破した優秀なフロントスタッフが担当することが強みと説明されていました。

一方で今回『AI社員』では、そのコミュニケーション領域をAIが自動化するとされています。これはコアコンピタンスの自己否定ではないでしょうか? 貴社の競争優位性はどこに移行するのか、具体的に説明してください」というご質問です。

おっしゃるとおり、採用倍率が100倍というほど大量のご応募をいただけることは非常にありがたいことです。その中から、当社が「この人と一緒に仕事をしたい」と思える人を確実に選んでいます。その選ばれた方々が自信を持ってお客さまに対応し、それによって当社も自信を持ってサービス提供できるようになり、それが非常に大きな強みとなっています。

そこが陳腐化するかどうかについては、当社も非常に強い危機感を抱いています。特に私は、2022年頃からAIを活用する取り組みに注力しており、この分野ではAIの方が明らかにアドバンテージを持つ状況になっています。

これは主にコミュニケーション、特に定常的なコミュニケーションにおいて顕著です。AIは非常に高度な知能を持ち、いつでも即座に返答することが可能です。さらに、どのような領域においても内容を理解し返答を続けることができ、人間がどれほど優秀でも、思考の速さや正確さでAIに勝つことは極めて難しいというのが私の確信です。これはどの分野においても同様だと思います。

そのため、人間に何が残るのかということを、社内の状況を見ながら考えた結果、最終的には「フィジカルな価値」を見いだすことではないかと考えています。このフィジカルな価値とは何かという点ですが、実はこれまでお客さまから支持され続けてきた点に関連しています。

具体的には、今期、創業から12年間にわたる事業の中で、初めて顧客とフロントが直接対面する場を設ける予定です。1対1ではなく、複数人対複数人の形式で行います。これは、事業を続けてきた中で初めての試みです。

また、九州エリアには当社の本店があり、主な顧客基盤でもあります。そこで宮崎エリアにおける接点の強化を行ったり、福岡でも将来的な事務所の開設も見据え、積極的にお客さまを訪問するなどのリレーション構築を図っています。このような取り組みは、実はお客さま側から非常に強い支持をいただいています。

ここでフロントがコミュニケーションを重ね、なにかあった際にリアルでもコミュニケーションを行えることは、やはりAIでは完全に補えない部分だと思います。

今回さまざまな人員が動いている様子を見てあらためて感じますが、当社の従業員にはお客さまから愛されている人が多いと実感しています。そのキャラクター像を一言で表すと、「良いやつ」です。

ここは非常に重要だと考えています。この部分に関しては、当社の独自の強みと言える部分です。IT企業でありながら、人の存在が確実に組み込まれている会社であるため、この特性をさらに前面に出すことで、AI環境の中でも生産性向上が可能になり、その中で人が果たす役割に対する1つの回答になるのではないかと思います。

質疑応答:フロント従業員の再配置について

「AI導入により、コミュニケーション・ディレクション領域の原価を45パーセント削減するというビジョンを掲げています。現在フロントスタッフとして直接雇用されている人員は具体的にどこに再配置されるのでしょうか? レイオフを想定しているのか、それとも具体的な転換先業務があるのかについて計画をお聞かせください」というご質問です。

まず、レイオフは現時点で想定していません。先ほどの資料でもお話ししたとおり、優先すべきは従業員のリスキリングです。リスキリングがどの程度進み、次の領域に必要なスキルセットを習得できたかによって、転換率が高まるほど次のサービスの成長率に直結するため、この転換率を高めることが重要な要素だと考えています。

この点は当社だけでなく、他の企業においても同様に重要な観点だと思います。転換率が低い企業ほど確実に苦戦するため、転換率を上げることが今後の競争を有利に進める上で欠かせない要素になると考えています。

具体的には、Anthropic社の資格取得や、先ほどお話しした社内向けの「AI社員」といった、要するに自律型AIエージェントをビルドできる人材を増やしていきます。また、ファシリティの環境がまったく追いついていない状況ですので、社内で対応できる人材については先行して改善や展開を進めています。

もちろん、それでも転換が難しい人材はおそらく存在します。その場合、どう対応するのかという話になりますが、幸いにも当社の子会社であるグラムス社がEC領域を担当しています。

この企業でお客さまからいただいている業務に対するニーズや、当社が予測するニーズとしては、EC領域のサポート業務や物流関連業務などが挙げられます。これらについて、分散型のオフライン業務を構築する、もしくは既存の業務を分散させる見込みを持っています。

1年から2年のアロケーション計画の中で、転換が難しい人員に対してこれらの業務を割り当てる可能性があると考えています。

質疑応答:既存サービスのAIシフトと代替先について

「『AI社員』サービスのターゲット顧客は、既存の『CASTER BIZ』『My Assistant』『Pig out』と実質的に同一の中小企業層と見受けられます。新サービスが既存サービスの顧客を置き換えるだけであれば、売上増加にはつながりません。各サービスのターゲット顧客をどのように差別化しているのか具体的にご説明ください」というご質問です。

「CASTER BIZ」や「My Assistant」などの既存サービスについては、AI FIRST戦略で考える際の代替先がすでに決まっており、その全体像について具体的にお話しします。

まず、「AI社員」に関してですが、この代替先は当社のHRサービス、具体的にはBPaaS事業ではなく、「在宅派遣」などの領域への対応サービスとお考えいただいて問題ありません。

当社がBPOと派遣の両方をリモートで提供している理由は、顧客ニーズが少し異なるからです。派遣をやりたくて始めたわけではなく、お客さまがどうしてもその形態でなければならないという制限があったためです。

この制限に対応するために作り上げたのが、派遣の領域です。今回の「AI社員」について簡潔に言うと、「ここに情報を渡すのはよいが、当社のようなBPO、複数の人が触るような環境でこの作業をしてほしくない」というニーズが関係してきます。

このニーズに応えるため、まずは限定された環境で対応します。特に「AI社員」の場合、完全にシステム化されているため、先方の環境内で動作させることが可能です。そのようなクローズドな環境で活用できるAIサービスやAI作業に加え、BPOのナレッジもそのまま導入できます。このような強みを活かして、サービス展開を進めています。

それ以外の領域について言うと、新たに予定する「NEO assistant」は「CASTER BIZ」シリーズの代替として展開を予定しています。

ただし少々複雑なのは、価値ベクトルとして重複していることです。AI化率が高いか低いかによってお客さまに提供する内容が異なります。現時点では段階的に統合が進んでいる移行期の過渡期にあります。

「Pig out」に関しては、より小規模なお客さま向けのサービスで、これまで当社が提供してきた「My Assistant」に該当します。「My Assistant」の領域に対応したサービスとお考えください。

「My Assistant」は、もともとほとんどがシステム化されていますが、そこにAIを導入し、動作を開始したものが「Pig out」となります。月額1万から2万円の範囲ですが、それ以下の規模のお客さまでもサービスをご利用いただける価格設定を想定しています。

サービスについては、先ほど挙げたようなものがこのようなかたちで置き換えられているとお考えください。

質疑応答:KPIの開示方針について

「AI導入による原価率改善を中長期目標として掲げながら、主要KPIとして開示されているのは稼動社数とARPUのみです。AI FIRST戦略の進捗をどの指標で株主に説明する予定なのかを具体的にお示しください」というご質問です。

おっしゃるとおり、現時点で主要KPIとして開示しているのは、BPaaSを主軸とした事業の開示数字となっています。例えば「Pig out」「新NEO assistant」「AI社員」などの新規施策に関する開示は、現時点では含めていません。

この中の仕組みの1つに、AI導入による原価率改善がありますが、当社は原価率改善を最優先事項としては捉えていません。稼働社数の増加が起こるかどうかのほうが、はるかに大きなレバレッジとなるため、この観点を持ちながら、現時点では新しい事業やオペレーション体制についての開示は行っていないという前提で捉えていただいて構いません。

今後、主たる数字として具体的に挙げられるのは、稼働社数と粗利です。この2つが間違いなく重要な指標になると思います。ただし、別の質問でもお答えしたように、マーケット環境に応じて粗利をクッションとして利用する可能性が高くなっています。

そのため、「クッションとして利用しているので粗利率はこれだ」というかたちで開示するのは適切ではありません。今後のマーケットの動向を踏まえ、投資家のみなさまにとって最もわかりやすい指標を、判断軸として提示することを検討しています。この指標については、今期の数字を見ながら、来期のタイミングから指標変更として開示する流れになる予定です。

質疑応答:株価低迷の要因と対策について

「現在の株価水準に対する認識と、株価低迷の要因についてはどのように考えていますか?」というご質問です。

まず、株価水準は低いと考えています。株価が低迷する理由は、特に上場市場の場合、売上成長率が低いか、利益が出ていないかのどちらかだと思います。

当社はどちらも達成できていないため、株価は低迷していると考えます。そのため、他のご質問でもいただいていますが、事業計画で発表したとおり、売上成長率や利益を高めるための施策を着実に進めることだと理解しています。

質疑応答:生成AIとBPO事業の両立について

「『Claude Cowork』のリリースにより、IT企業の株価は大きく下がっています。貴社のバックオフィス業務でも同様に生成AIに代替される可能性も大きいと思います。貴社は生成AIと両立できるとお考えですか?」というご質問です。

両立というよりは、本来この領域が最大のチャンスにある状態だと思います。これは当社の感覚や見解ではなく、いくつかの企業がレポートを公表しています。

これらのレポートでは、生成AIを活用した最も成長が見込まれる領域について明確に言及されています。それは生成AIとBPOを組み合わせた領域であり、この成長予測は具体的な理由とともに示されています。

具体的には、ソフトウェア市場よりも人件費市場の規模が圧倒的に大きいこと、またこの市場に対する代替サービスが過去にはほとんど登場していないことが挙げられています。これらの要因から、この市場が変革する可能性が高いとの見解が示されており、さらに海外においても同様の動きが急速に進行している状況です。

現状、生成AI単独ではまだ難しい部分があります。私自身もそうですし、会社としてもさまざまな取り組みを行っていますが、生成AIを用いてオペレーションを完全に構築するまでには依然として困難が伴います。

このような自動化システムに人が関与するという仕組みは「ヒューマン・イン・ザ・ループ」という名称で言及されています。多くの領域で生成AIが活用できるようになってきましたが、すべてを代替することはまだできません。適用可能な領域を見極め、それを設定し、さらに安定稼働させる段階では、やはり一定のリテラシーを持つ人の力が必要です。

当社は、このような課題に取り組んでいます。お客さまにおかれても、リテラシーのある人員を確保するのは容易ではありません。そのため、当社が責任を持って人材を揃え、オペレーションのAI化を進めていくことが、お客さまに対する重要な価値になります。

これにより、従来人が担ってきた業務の一部が否定されるような側面も含まれています。しかし、このような業務のAI化を前提とした新しい提供価値の下では、非常に大きな追い風が吹いている状況にあると実感しています。適切にこの流れに乗ることができれば、コロナ禍の際に当社が受けた追い風以上の大きな波になるだろうと考えています。

結論として、当社は現在、国内で最もチャンスのあるポジションにいると思われます。ただし、内部の人間、お客さま、市場において、それがまだ明確に目に見えたり、数字や実感として表れたりしているわけではありません。

これをいかに全員にわかりやすく、確かなものとして示すかが、現時点での最大のポイントだと考えています。

ちなみに、当社もそれを見据えてミッションを変更しています。「リモートワークを当たり前にする」というミッションから「創り変える。働くの全てを。」に変更しました。これは現在の状況を予測しての変更です。

そのため、これまでの働き方を創り変えることで、当社にとって有利になるとご理解いただければ幸いです。

質疑応答:AIリスキリング研修に関する助成金について

「助成金はどういったものですか?」というご質問です。

これは人材開発支援助成金というもので、その中の「事業展開等リスキリング支援コース」です。

質疑応答:販管費のコントロールについて

「販管費の低減に奏功した施策は広告宣伝費のコントロールのみでしょうか? 広告宣伝費のコントロールであれば成長のためコストは減るため、成長は鈍化するのでしょうか?」というご質問です。

現時点では単に広告宣伝費を抑えるのではなく、主にその他の細かな販管費の効率化を徹底しています。現在、私自身がマーケティング活動にも直接関与し、広告宣伝費については状況に応じた機動的な投資判断を行っているというのが回答です。

また、販管費に関しては徐々に効果が数字として表れてくると思います。AI化により内容が大きく変わっており、このあたりは今期後半頃から影響が表れるのではないかと考えています。

質疑応答:「AI社員」の販売ルートについて

「『AI社員』の販売ルートを教えてください」というご質問です。

ビジネスモデルとして派遣に非常に近い部分があると考えています。ただし、派遣とは異なり規制産業ではない点が特徴です。そのため、結論として販売代理店をメインに展開しようと考えています。

過去のリリースをご覧いただければわかるように、販売代理で協力していただける企業が多数存在します。そのような企業のみなさまと協力しながら、代理店の方々の力を借りて、この分野の販売を加速していきたいと考えています。

また、PR活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。この点については、当社の努力や目立ち方次第ともいえますが、株主のみなさまにはご支援いただければ幸いです。それが1件の売上につながる可能性もありますので、どうぞよろしくお願いします。

質疑応答:顧客単価と契約継続率について

「BPaaS事業における顧客単価と契約継続率について、足元のトレンドと今後の改善余地について教えてください」というご質問です。

顧客単価には、それほど大きな変動は見られません。特筆すべきトレンドは現時点ではありませんが、エンタープライズのお客さまの比率は上場以降、少しずつ伸びており、今後さらに大きくなる可能性があると考えています。

逆説的に言えば、大きな契約であればあるほど、派遣分野でハイブリッド化が進んだり、AI関連事業のほうで売上が計上されたりするケースが出てくることで、BPaaS事業単体としては、それほど大きな変化はないということも考えられます。

そのため、今後も大きなトレンドが出るというよりは、AI化によって顧客単価が下がる可能性があり、その結果、取引社数が増加するというトレンドとなる可能性が高いと考えています。

契約継続率は、ご懸念されているのが「解約されていませんか?」ということと思いますが、足元の解約率は改善しており、むしろ良い状況になっています。現時点では個々の事例においてそれほど懸念する必要はないと思われます。

ただし、これを鉄壁と表現するわけではありません。むしろ、当社としては、既存のお客さまに向けてAI化の導入をなるべく進めており、特に積極的なお客さまからは全面的にご同意をいただき、AI化をかなり推進しています。一緒に協力しながら進めていることが、お客さまから支持されている要因の1つだと考えています。

質疑応答:AIによる費用削減について

「AIを活用して、どの程度の費用削減を今期の計画では想定していますか?」というご質問です。

今期の数字は、開示している数字のみとなりますが、理論的には、いくつかの数字を挙げたように、まずコストというよりは、オペレーションの量として業務の45パーセントから50パーセント削減できる可能性があります。

具体的な数字でお話しします。これはもちろんすべてではありませんが、例えば昨今話題になっているフリー社の「freee-mcp」というAI用の規格、いわゆるプロトコルの一部が公開されています。

これを使用すると、AIによって経理業務がどの程度自動化できるのか、それに伴うコミュニケーションがどの程度自動化できるのかといった点について、内部で検討を行った結果、予想値をある程度算出しています。完全には実現していませんが、現時点で公開されている技術でもおおよそ90パーセントはAIによって実現可能だという見解を社内で持つに至りました。

会社の経営上、90パーセント削減できるかというと、それはありえません。なぜなら、当社は従業員を抱えていますし、90パーセントすべてをAIに任せてしまった場合、顧客価値がそのまま安定するとは限らないためです。

安定化を図るため、絶対量としては削減が可能な部分もありますが、その中でバランスを取るというのが現時点での方向性です。今期の計画としては、すでに公開中のガイダンスの範囲内で、どのように削減するのかを検討しています。

来期の計画には、何かを織り込む状況になれば織り込む予定です。ただし、ここで急にサプライズのようなものを出すことはあまりないだろうと考えています。

質疑応答:主要サービスの売上構成比について

「BPaaS事業における経理、HRなどの主要サービスの売上構成比をご教示いただけますか?」というご質問です。

HR事業など主要サービスの売上構成比は、開示していません。

だいたいの全体感としてお話しすると、経理領域は全体の中で20パーセント強を占めています。労務に関しては10パーセントから15パーセント強で推移しており、この推移には諸々の時期的要因も影響しています。この領域はここ数年間で最も成長角度が期待できる分野と見込んでいます。

現時点では、事業の成長フェーズ等の観点から、サブセグメント情報の開示は控えています。来期以降この領域が主要軸となる場合は、段階的に情報を公表する可能性もあります。その際にはぜひご確認いただければ幸いです。

中川氏からのご挨拶

本日は夜遅くにもかかわらずご視聴いただき、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

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