2026年5月27日に発表された、株式会社大真空2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
2026年3月期 実績(前期比)
長谷川晋平氏(以下、長谷川):みなさま、本日はご多用の中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社大真空、代表取締役社長の長谷川です。さっそく、私から当社の2026年3月期の決算についてご説明します。
2026年3月期の実績です。売上高は395億5,100万円、営業利益は11億3,300万円、経常利益は7億3,400万円、当期純利益は4億2,000万円と、前期比で増収増益の結果となりました。
なお、経常利益については、支払補償費として7億5,300万円を計上しています。
マーケット別販売実績(前期比)

マーケット別の販売実績です。通信市場は前期とほぼ同等、車載市場は7パーセントの増加、民生市場は3パーセントの減少、産業市場は6パーセントの増加となりました。
通信市場については市場全体としては比較的好調でしたが、上期に当社で発生した生産トラブルの影響により製品の供給が十分に行えなかったこと、それにより一部のお客さまとの取引でシェアを落としてしまったことにより、当初見込んでいた売上には届きませんでした。
車載市場については、車1台当たりの部品使用数が引き続き右肩上がりで増加しており、堅調に推移しています。
産業市場については、コロナ禍以降、市場在庫が多く停滞していましたが、FA/ロボット関連でようやく回復の兆しが見えています。
営業利益 増減分析(前期比)

営業利益の増減分析(前期比)です。2025年3月期の営業利益は9億1,500万円でした。
そこから、価格の変動により12億3,000万円の減少、限界利益の変動により14億4,000万円の増加、金の高騰による影響で1億1,000万円の減少、減価償却費の増加などによる固定費の変動で2億3,000万円の減少、人件費の減少などによる販管費の変動で3億5,000万円の増加となりました。
その結果、2026年3月期の営業利益は11億3,300万円となり、前期比で2億1,800万円の増加となっています。
2026年3月期 第4四半期実績(直前四半期比)

第4四半期の実績です。売上高は100億500万円、営業利益は6億900万円、経常利益は2億700万円、四半期純利益は3億1,400万円と、前四半期比で増収増益となりました。
マーケット別販売実績(直前四半期比)

マーケット別の販売実績です。通信市場と民生市場は、これらの市場の主な販売先である中華圏において、第4四半期は旧正月の影響により季節的な要因で減少しました。また、この季節的な要因に加え、通信および民生市場はメモリ不足の影響も受けています。
車載市場および産業市場は堅調に推移しています。また、主な販売先である欧米市場については、第3四半期のクリスマス休暇の反動も一部含まれています。
営業利益 増減分析(直前四半期比)

営業利益の増減分析(直前四半期比)です。第3四半期の営業利益は3億4,400万円でした。
そこから価格の変動により3億7,000万円の増加、限界利益の変動により6億4,000万円の減少、金の高騰による影響で2億2,000万円の増加、労務費の減少などによる固定費の変動で2億4,000万円の増加、人件費の減少などによる販管費・その他の変動で7,000万円の増加がありました。
結果として、第4四半期の営業利益は6億900万円となり、QoQで2億6,400万円の増加となっています。
棚卸資産推移

棚卸資産の推移です。2026年3月期の棚卸資産は245億円となっており、前期末比で65億円増加しています。
そのうち、為替の影響が約9億円含まれていますが、この為替の影響を除いた56億円の増加分のうち、大半が、スライドにオレンジで示した原材料の増加によるものです。この原材料の増加の大部分は、金の影響によるものです。
設備投資/減価償却費/研究開発費

設備投資についてです。2026年3月期においては62億3,400万円を投資しており、前期比で12億1,600万円の減少となっています。
もともと、この設備投資については期初に82億円を見込んでいました。この82億円のほとんどが、当社が開発を進めてきた「Arkh(アーク)」シリーズの量産設備向けの投資です。
残念ながら、「Arkh」シリーズ向けの量産設備については、一部当社が発注した設備メーカーで納期が間に合わず、今期に持ち越されるかたちとなりました。そのため、約20億円分が今期の投資となっています。
2027年3月期 通期業績予想

2027年3月期の通期業績予想です。売上高は410億円、営業利益は14億円と、前期比で増収増益を見込んでいます。
また、設備投資は48億円を見込んでいますが、そのうち約20億円は先ほどご説明した前期からの持ち越しである「Arkh」シリーズの量産設備分となります。
マーケット別販売計画

マーケット別の販売計画です。通信市場では8パーセントの増加、車載市場も同じく8パーセントの増加を見込んでいます。一方、民生市場は5パーセントの減少、産業市場も2パーセントの減少を見込んでいます。
通信市場については、メモリ不足の影響を受け、スマートフォン向けの需要が低迷しています。ただ、GPSやGNSS向けの需要は非常に堅調で、スマートフォン向け需要の減少を補っています。
また、光トランシーバー向けの拡販が現在進行しており、こちらの市場向けの増加が見込まれます。
車載市場については、引き続き1台当たりの部品使用数が増加傾向にあり、地域別に温度差はあるものの、総じて堅調に推移しています。
民生市場についてはメモリ不足の影響を受けており、産業市場についてはFA関連が先ほどお話ししたとおり回復傾向にありますが、今期はスマートメーター関連がモデルチェンジのタイミングなどの影響を受け、少し弱含みの状況です。
営業利益 増減分析(通期業績予想)

営業利益の増減分析(通期業績予想)です。2026年3月期の営業利益は11億3,300万円でした。
ここから価格の変動で2億円の減少、限界利益の変動により35億円の増加、金価格の高騰による影響で10億円の減少、減価償却費の増加に伴う固定費の変動で13億円の減少、人件費の増加などによる販管費・その他の変動で7億5,000万円の減少となる予想です。
その結果、2027年3月期の営業利益は14億円を見込んでおり、前期比で2億6,700万円の増加となる見通しです。
こちらの金の高騰による影響について、先ほど少し説明し損ねたのですが、営業利益増減分析における金の影響額は、金の単価高騰によるマイナスの影響と、当社が保有する金の評価益を相殺した金額を計上しています。
今期の見通しに関しては、金の価格がある程度高い水準で安定していることもあり、当社保有の金の評価益が見込めない状況です。そのため、金の高騰による影響額として、前期に発生した評価益分をマイナスとして見込んでいます。
金の高騰については非常に大きな影響が出ているため、当社としてもお客さまに対して心苦しいのですが、価格是正のお願いをしています。また、あわせて金の使用量を少しでも削減するための新たな設計を、VA提案としてお客さまにご提示している状況です。
Arkhシリーズ – Arkh.3G

ここから、当社の新製品「Arkh」シリーズの進捗についてご説明します。この決算説明の場では「Arkh」シリーズについて何度もご説明してきましたので、内容をご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、初めてお聞きになる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、簡単に「Arkh」シリーズについてもご説明します。
従来の水晶デバイスは、セラミックのパッケージの中に個片として加工した水晶片を1つずつ搭載するものでした。
これに対し、当社の「Arkh」シリーズはまったく新しい構造を採用しています。
スライドに記載のように、水晶のウエハの状態ですべての加工を完了させており、3枚のウエハを接合した後、最後にレーザーで切断するという、これまでの既存製品とは異なる、まったく新しいコンセプトの製品です。
Arkhシリーズ – Arkh.2G

また、この「Arkh」シリーズの「Arkh.3G」という振動子を使った「Arkh.2G」という水晶発振器については、従来製品のパッケージ内に加工済みの水晶片とICを搭載する構造と比較し、同じパッケージ内にすでに水晶振動子として加工が完了した「Arkh」の振動子を搭載しています。
このような構造により、先ほどご説明したとおり、大幅に向上した生産性を従来のパッケージと同じものを用いて達成することが可能になっています。
Arkhのコンセプト

「Arkh」シリーズのコンセプトは、「小さく、軽いものは、安い」です。
従来の製品では、製品を小型化していくと生産の難易度が上昇し、我々が外部から購入しているパッケージの単価も上がってしまいます。そのため、製品のサイズが小さくなるほど単価が上がるという状況でした。
この製品では、1枚の水晶ウエハから製品サイズを小さくするほど多くの製品を取ることができるため、サイズが小さくなるほどコストを削減できます。また、このウエハのサイズを大きくすることで、1枚のウエハからの取れ数がさらに増加します。
従来ではアウトプットの数を増やすためには設備の台数を増やし、設備が収容しきれない場合には生産拠点を増やすしかありませんでした。
しかし、この新しいコンセプトの製品では、従来と同じ面積でアウトプットを増やすことが可能です。ウエハの大判化と製品の小型化が、利益率向上と環境負荷低減に直結した製品です。
注力するドメイン(事業領域)

水晶市場の動向については、半導体と同じく約10年で2倍以上の成長を見込んでいます。
ただし、我々が今後注力する事業領域は、水晶市場全体ではなく、AIデータセンターやウェアラブル機器など、高周波や薄型・軽量といった高付加価値が求められ、かつ拡大が期待される市場です。
このような市場に向けて、我々の独自の製品および戦略で事業拡大を目指しています。
光トランシーバー市場の動向

ターゲットとしている市場の1つである光トランシーバー市場の動向です。
現在、主に使用されている規格は800ギガビーピーエスで、水晶デバイスでは156.25メガヘルツの周波数が使用されています。この部分はスライドに青色でハイライトしています。
この市場については、当社は正直なところやや出遅れています。ただ、昨年から次の規格である1.6テラビーピーエスの市場が急速に立ち上がっています。この規格では312.5メガヘルツという、さらに高い周波数が使用されます。
このように周波数が高まると対応できるメーカーの数は減少します。また、市場が急速に立ち上がることから需給の逼迫も十分に考えられます。そのため、当社が今後参入する余地は十分にあると考えています。
Arkhシリーズ 生産・販売構想

我々の「Arkh」シリーズの生産および販売構想です。
上期には「Arkh」シリーズの量産が立ち上げられる見込みです。さらに、下期には量産数量を拡大し、来期中にはこのラインをフル生産体制に持っていく計画で進めています。
設備立ち上げ当初は償却費が高額になるため、可能な限りこの設備を高利益率の差動出力発振器の生産に充てていきたいと考えています。
また、製品の小型化や、使用するウエハのサイズを大きくすることで、このラインの生産能力を向上させることが可能です。その能力が向上する段階では、車載向け発振器や、IC、ウェアラブル製品に内蔵する振動子など、次の市場や次世代製品を積極的に立ち上げていくことを検討しています。
当面の課題として、直近のデータセンター市場は非常に活況ですが、当社は実績が少ないため、シェア拡大には時間を要します。そのため、当社にとっては販売チャネルの拡大が必須の状況です。
多角的な販売手法でArkhの市場シェア拡大化

これまで当社はエンドユーザーへの直接販売を中心に行ってきましたが、こうした状況を踏まえ、今後は直接販売に加え、アライアンスや商社の活用を積極的に進めていきたいと考えています。
KGDモデルを活かしたアライアンスによるArkhの業界標準化とサプライチェーンの変革

従来の水晶発振器の製造工程は、スライド上部の図のようにセラミックのパッケージ内にICと加工済みの水晶片を一緒に搭載し、封止を行った後に検査を実施するというものです。
この工程では、検査後に水晶発振器の特性が規格外と判定された場合、原価の中で最も高価なICやパッケージも廃棄することになります。
しかし、同業他社さまが当社の水晶振動子「Arkh.3G」を購入してICとともに振動子を搭載する場合には、検査を終えた完成品の水晶振動子を使用するため、その後の歩留まりはほぼ100パーセントとなり、部材のロスが非常に少なくなります。
この点について、同業他社さまから非常にメリットのある製品であるとご評価いただいています。
水晶エコシステムによる競合技術への対抗

今後、当社はアライアンスを通じて、水晶のエコシステムによる競合技術への対抗を図っていきたいと考えています。
Phase1では、他社の製品に組み込んでいただくことで市場への浸透を図り、その後、Phase2で領域を拡大、Phase3でプラットフォーム化することで、水晶デバイス市場全体において性能、コスト、品質の向上を実現し、競争優位性を発揮していければと思います。
中東情勢の影響

地政学リスクについてお話しします。現在、中東情勢の影響により、さまざまな材料の調達にリスクが生じています。その中で、主な部材の現状についてご説明します。
ヘリウムについては、当社が取引をしているメーカーさまで、1年分の必要量を確保していただいています。
導電性接着剤については、現時点で6ヶ月分まで確保していただけています。ただし、これは7ヶ月目で突然供給が途絶えるというわけではなく、現時点で確約いただけるのが6ヶ月分までという状況です。
洗浄用のアルコールについては、すでにマルチソース化に対応済みであるため、この中東情勢の影響があっても生産に問題はありません。
総じて調達リスクはあるものの、当面の生産に問題はない状況です。
10年長期経営計画「OCEAN+2」戦略の7年目に入ります。

当社は、2026年度をもって10年長期経営計画「OCEAN+2」戦略の7年目を迎えます。「Arkh」シリーズがいよいよ量産の段階に入り、従来のOne by Oneの製造からウエハレベルのパッケージへのパラダイムシフトが、理論の段階から量産・普及の段階にようやく到達しました。
1社供給の「One」については、ウェアラブル向けで「Arkh.3G」が大手メーカーさまに採用検討いただいており、「Cost」戦略では、「Arkh.2G」による発振器のコスト競争力が非常に強みとなっています。
材料関連の「Element」では、4インチ、6インチの水晶原石の大型化に加えて、次の8インチ、12インチのロードマップも進めています。低原価構造の構築を着実に進めている状況です。
「Alliance」については、先ほどご説明したとおり、同業他社さまをお客さまとする販売戦略を推進しています。
また、「+2」の新事業では、熱管理のパラダイムシフトを可能にするセンサの開発を完了し、現在事業化を検討しています。こちらの新しいセンサについての詳細は、次回ご説明します。
この製品は従来の部品を販売する事業にとどまらず、熱管理のソリューションを提案する事業として展開する予定です。部品の単価ではなく、お客さまのROI(投資対効果)に価値を感じていただけるような事業を目指します。
今後とも長期経営計画を着実に進めていきますので、何卒引き続きご支援のほどよろしくお願いします。私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:製品の価格変動状況と需給環境について

質問者:スライド13ページ、YoYでの営業利益の増減についてです。前期と比べて価格変動による減益影響がかなりマイルドになっていると感じています。
おそらく、台湾ドルなど為替の影響もあるかと思いますが、これを除いた純粋な製品同士の比較における価格変動や値下げの状況について教えてください。
また、その背景にある水晶デバイス全体の需給環境や市況感が、1年前と比較してどのように変化しているのかについてお聞かせいただけますか?
長谷川:まず、価格変動の点についてですが、今期においては、先ほどご説明したとおり、金の単価上昇の影響が非常に大きく作用しています。
そのような状況を受け、当社としては、できる限り価格の下落を抑えるべく、お客さまとご相談しながら対応を進めています。また、金の価格上昇分の価格是正をお客さまにお願いしているところです。
まとめると、為替の影響ではなく、実際の価格の下落率が今期は非常に小さくなると見込んでいます。
実際の需給バランスの状況についてですが、当社の生産状況を稼働率でご説明すると、全体の稼働率は75パーセント程度です。ただし、ほぼ日常的に流れているメインの機種については、稼働率がほぼ100パーセントで継続している状況です。
昨年から過去注残を引きずっている状況でして、需要については非常に強いといえるかと思います。
質問者:金価格の影響をグロスで10億円くらい見ているとのことですが、それに対して値上げによる効果がどの程度含まれていて、価格変動の影響がトータル2億円となっているのでしょうか? 値上げによる増益分や取り戻し分がどの程度織り込まれているのか、補足でコメントいただけますか?
長谷川:実際に具体的な数字については回答を控えさせていただきたいのですが、金価格の影響を前期評価益の10億円と仮定した場合、この10億円分すべてを価格変動や価格是正でカバーできるかといえば、実際にはそこまでの是正金額は見込めていません。
ただし、その一部については今期中に是正が可能であるという見込みを織り込んでいます。
質疑応答:312.5メガヘルツ差動出力発振器の光トランシーバーの市場展開について

質問者:312.5メガヘルツの差動出力発振器の光トランシーバーについてです。競合他社のお話では、今期は800ギガピーピーエスがメインとなり、その市場向けにかなり単価が高い発振器を供給していくようなアグレッシブな動きがあると認識しています。
800ギガビーピーエスを飛び越え、1.6テラビーピーエス向けの製品を投入することによるシェア拡大の蓋然性や、量産していく際のクオリティや顧客評価について、どのような見通しをお持ちでしょうか?
また、現時点でサンプル出荷や認定取得などを行っていると思いますが、引き合いの状況についても教えていただけますか?
長谷川:156.25メガヘルツ、800ギガビーピーエス市場については、現在ピークの状況にあると考えています。現時点でのシェアは比較的低いというのが正直なところですが、まったく参入できていないわけではありません。
したがって、156.25メガヘルツの製品の経験なく312.5メガヘルツの生産に取り組んでいるわけではありません。
312.5メガヘルツのサンプルを評価していただいているお客さまからの現時点での評価としては、品質面で特に問題はなく、順調に進んでいます。
800ギガビーピーエス市場ではいくらか出遅れているものの、312.5メガヘルツ製品が評価されている背景には、312.5メガヘルツ製品の品不足により、お客さまが新たな購入先を探しているという事情があります。
以上のことから、312.5メガヘルツについては、今後さらに拡販していくことができると考えています。
質疑応答:新たに始まる「Arkh」の量産における生産トラブル防止策について

質問者:終わった期においてですが、フォトリソ関連の露光機トラブルなどがありました。今回、「Arkh」の量産が本格化するにあたり、新たなラインや設備の追加、新しく使用するものが出てくる可能性があると思います。
新しいもの、新しいコンセプトの量産を立ち上げるタイミングで、再び昨年のような生産トラブルが発生しないか懸念しています。
その点について、どのようなコミットメントをされているのか、また、新しいラインや新しいものを作るにあたり、どのような変化や対応が予想されるのか、コメントをお願いします。
長谷川:昨年は非常に大きな問題を起こしてしまい、その点についてご心配いただくことは当然のことだと思います。この件については、深く反省しています。
まず、昨年のトラブルの原因について、我々が電気的特性の検査に過度に依存していたことが大きな問題の1つであったと認識しています。
製品を作るにあたり、水晶自体の特性が最終的に電気的特性に反映されます。そのため、水晶のサイズのわずかな差異が特性として現れるケースがあります。これを電気的特性だけで判断していたことが大きな反省点です。現在は、製品のサイズも含めた検査を順次追加している状況です。
また、流出防止についても、結果から考えると十分でなかったと言わざるを得ません。
昨年から異常処置を大きく変更し、異常処置のランクをA、B、Cで分類しました。ランクAの異常が発生した際には、ラインをすべて停止することを現在徹底しています。
この異常処置の実施以降、現時点では、同等の異常や不良が顧客のもとで発生していません。同じような問題を二度と起こさないよう、引き続きしっかりと改善に取り組んでいきます。
また、今後立ち上げる「Arkh」シリーズについては、現在の段階ではフルオートとは言えないものの、従来の製品と比べて、人の手が介入する工程が大幅に減少しています。そのため、不良が発生するリスクが限りなく低い構造となっています。
例えば、水晶の不良の中で最も大きいものは異物です。スライドに示されている図のように、すでに封止されている場合、異物があってはならないものの、仮に異物があったとしても振動部には何の影響も及びません。
また、接着剤から発生するガスの影響も受けないなど、製品の構造上、不良が起こりにくい設計となっています。その点についてはご安心いただければと思います。
質疑応答:今期の業績予想における限界利益の変動と営業利益水準について

質問者:今期の計画における限界利益の変動についてです。売上の変動額に比べ、限界利益の効果が比較的大きいように見えますが、その背景についておうかがいします。それが棚卸などの影響によるものなのか、製品ミックスの変化が要因なのか、ご教示ください。
さらに、そのことを踏まえて実態としての営業利益の水準について、今回のガイダンスの数字をそのまま受け止めてよいのかも教えていただけますか?
長谷川:今期の営業利益の増減分析において、限界利益の変動額が売上の増加と比べて多すぎるとのご指摘についてお答えします。
こちらに関しては、今期に立ち上げる「Arkh」シリーズの在庫を一部積む計画です。
というのも、来期からの本格稼働や現時点で検討中のアライアンスに対し、十分な在庫を確保して一気に攻勢をかけるため、今期については「Arkh」シリーズの在庫を下期に一定量生産する計画も見込んでいます。限界利益にはその影響が一部含まれています。
質疑応答:直前四半期比での第4四半期における限界利益の変動について

質問者:第4四半期の実績では逆にマイナスが発生していますが、先ほどと同様の視点で見ると、どのように評価されますか?
長谷川:第4四半期については、旧正月や日本の正月、また前期においてはインドネシアのラマダンという長期休暇が第4四半期に含まれていたため、稼働日数の減少による限界利益の減少が大きく影響しています。
質疑応答:「Arkh」シリーズの売上を見込む用途分野について

質問者:今期の「Arkh」の本格稼働についてですが、今期に「Arkh」として売上が計上されるものが、どのような用途分野に関連しているのか教えてください。複数ある場合は、可能な範囲でご教示ください。
長谷川:今期の「Arkh」シリーズの販売については、主に光トランシーバー向けの差動発振器を中心に展開します。先ほど周波数に関する話題がありましたが、今期は312.5メガヘルツに加え、156.25メガヘルツについても一部売上を見込んでいます。
また、すでに一部の同業他社さまとアライアンスの話が進んでおり、そのようなお客さま向けに水晶振動子としての販売も一部見込んでいます。
質問者:光トランシーバー向けの312.5メガヘルツの製品で、アライアンスが始まるのでしょうか?
長谷川:312.5メガヘルツだけでなく、156.25メガヘルツについても引き合いをいただいています。
質問者:他の競合メーカーにとっては、この周波数帯の製品はなかなか製造が難しいため、御社のご提案を受け入れる顧客がいるという理解でよろしいでしょうか?
長谷川:はい。
質疑応答:「Arkh」シリーズのウェアラブル用途の採用進捗と新しいアプリケーションの展望について

質問者:「Arkh」シリーズの他の用途での採用状況はいかがでしょうか? スライドに「『Arkh.3G』のウェアラブル向け大手メーカー採用が追い風」と記載されていたり、以前お話の中でパッケージ組み込み型アプリケーションの開拓もされていたかと思います。これらの新たな動きについてはいかがでしょうか?
長谷川:今期は、パッケージ組み込み型ではまだ売上が見込めていない状況にあります。ウェアラブル向けについては、前回少しご報告したように、眼鏡型などで採用検討されています。これが非常に大きな追い風になってくると考えています。
なにより市場での実績が、他のお客さまにとって利用しやすい材料になると考えていますので、大手メーカーさまで採用いただくことが非常に大きいと認識しています。
質問者:そのような動きを考えると、今期の進捗がショーケース効果のようなかたちとなり、来期以降につながることが期待されるということでしょうか?
長谷川:おっしゃるとおりです。
質疑応答:「Arkh.2G」の進捗状況と受け入れシナリオの変化について

質問者:「Arkh」シリーズのうち「Arkh.2G」について期待されていましたが、今日のご説明では比較的「Arkh.2G」に関する説明が少なかったように感じました。「Arkh.2G」の進捗および顧客側での受け入れシナリオに変化はありますか?
長谷川:説明が不足しており、申し訳ございません。「Arkh.2G」は当社の「Arkh.3G」という振動子を使用した水晶発振器ですが、先ほどお話しした光トランシーバー向けの差動発振器がこの「Arkh.2G」に該当します。
また、アライアンスについても、「Arkh.2G」の発振器で引き合いをいただいているお客さまがいらっしゃいますし、中には「Arkh.2G」タイプの水晶発振器を生産するために水晶振動子の状態での「Arkh.3G」の購入をご検討されている方もいます。
質疑応答:営業利益率、配当、株価に関する考え方について
質問者:本日のアナリストミーティングで、他社では資本コストや株価に関するコメントがあることが多くなっています。
今回、営業利益について絶対額の話をおうかがいしましたが、営業利益率に関する考え方や、また、配当や株価については、資料ではわかりづらかった部分があります。なにか注意点やコメントがあればお聞かせいただければと思います。
長谷川:配当についてですが、当社は安定配当を常に掲げて取り組んできました。今年度は第2中期経営計画の最終年度にあたりますが、今期もこれまでと変わらない配当を予定しています。
来期以降については、次回の決算説明会において次期中期経営計画をご報告する予定ですので、次期中期についてはあらためてその際に詳細をご説明します。
営業利益率ですが、直近では金の価格上昇や、新たに投資した「Arkh」シリーズの量産設備の償却の影響を受け、負担が増す見込みです。
しかし、ご説明したとおり、まったく新しい構造のもとで生産性が従来の製造方法とは大きく異なるため、数量を増やしても投資を抑えることが可能となります。そのため、長期的には営業利益率は確実に向上していくものと考えています。
直近は厳しい条件が重なり、現時点では思うような営業利益率には至っていませんが、営業利益率を改善するための土台はようやく整ったと考えています。
直近の株価については、現在の当社業績によって株価が上がっているというわけではなく、市場全体の状況や、AIデータセンター市場で利用されていることから、ある意味で引っ張られた株価だと捉えるのが適切であると考えています。
この状態から、私たちの営業利益率を高めていき、株価に反映させていければと考えています。
質疑応答:光トランシーバー向けの「Arkh.2G」の歩留まり改善について

質問者:光トランシーバー向けの「Arkh.2G」の歩留まりについて確認します。現状の歩留まりは満足できるものになっていますか?また、いつ頃満足できる歩留まりになるのでしょうか?
156.25メガヘルツと312.5メガヘルツで大きく異なると思いますので、この2つについてそれぞれの歩留まりの考え方を教えてください。
長谷川:「Arkh.2G」、特に光トランシーバー向けの差動発振器の歩留まりについてのご質問ですが、具体的な歩留まりの数値については申し訳ありませんが、回答を差し控えます。
ただし、現状として156.25メガヘルツについては、ある程度歩留まりが十分な水準に達しており、量産レベルとしてまったく問題のない状況です。
312.5メガヘルツについては、改善ポイントがほぼ明確になっており、量産稼働までには安定した歩留まりが見える状況です。
先ほどご説明したとおり、当社製品である「Arkh.2G」は、振動子の状態で一度検査をしたものを搭載しているため、最も単価の高いICをほとんど無駄にすることがありません。そのため、現時点でも後工程の歩留まりは非常に高いといえます。
また、この振動子についても、現状ではまだ若干の改善余地がありますが、量産に向けてほぼ見通しが立っています。
質問者:うかがった感じでは、156.25メガヘルツのほうが先に安定した歩留まりで量産が可能になるという理解でよろしいでしょうか?
長谷川:そのとおりです。156.25メガヘルツと312.5メガヘルツを比較すると、312.5メガヘルツのほうが難易度が高いのは事実です。
その分、市場価格も312.5メガヘルツのほうがかなり高くなりますので、今後歩留まりを十分に向上させることができれば、非常に高い利益率が期待できると考えています。
