2026年6月20日にログミーFinance主催で行われた、ログミー IR Meet 2026夏 第4部・ギークス株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。
会社概要
曽根原稔人氏(以下、曽根原):はじめまして。ギークス株式会社代表取締役CEOの曽根原です。本日は最後のセッションで、4社目となります。みなさまお疲れかと思いますが、どうぞお付き合いください。
私からは10分ほどの短い時間ではありますが、当社についてご紹介します。
ギークス株式会社は2007年に設立され、まもなく20周年を迎える会社です。現在、本社は渋谷スクランブルスクエアにあり、国内では北海道、大阪、広島、福岡、名古屋に拠点を構えています。グループ会社を含めると、神戸、オーストラリア、フィリピンなどにも拠点があります。
事業は3つのセグメントに分かれており、国内IT人材事業、海外IT人材事業、そしてSeed Tech事業を展開しています。
グループ全体の売上規模は前期ベースで260億円で、そのうち国内IT人材事業が全体の63パーセントを占めており、当社の主要な事業となっています。
ギークスとは…

曽根原:当社を一言で表現するならば、「日本をDX・AXでアップデートする会社」と覚えていただければと思います。
市場課題とソリューション

曽根原:具体的にどのようにアップデートしていくのか、という点です。日本が直面している大きな課題として、以前よりIT人材が不足していると言われています。最近では、ITに限らず、DXや、AXへの投資が拡大していますが、それを担う人材が不足しており、実行力が足りないという大きな課題が存在しています。
これについて、当社ではスライド下部にある3つのボックスに示されたソリューションを展開しています。
まず、IT・AI人材に関する取り組みです。当社はITフリーランスのデータベースを保有しており、雇用ではなくフリーランスとして働く人材と、IT人材やAX人材を必要とする企業とのマッチングを行っています。これが日本国内における主要なIT人材事業です。
次に、「IT・DX・AXの人材育成」という取り組みを展開しています。当社が自社開発をした育成ツール「ソダテク」を活用し、フィリピンで英語とデジタル人材を育成する学校を運営しています。
「ソダテク」は個人および法人に提供しており、当社社員の研修ツールとしても活用しています。このように不足している人材を育成するソリューションを有しています。
最後の「DX・AXソリューション」については後ほど詳しくご説明しますが、IT分野では、クライアント層がインターネットサービス会社やシステム開発会社に集約されがちです。
しかし最近では、それ以外の事業法人に対し、DX・AXを推進するためのソリューションを、人材サービスを超えた提案として提供しています。以上の3つが主な事業です。
国内IT人材

曽根原:国内IT人材事業のポイントです。当社は全体で24,000名のデータベースを保有しており、フリーランスマッチングに関する事業はフリーランスという言葉が一般に浸透する以前から展開してきました。もともとのコンセプトは、フリーランスとして働く個人の方々をサポート・支援するということであり、その考え方に基づいて事業を進めています。
登録されたデータベースにいるフリーランスの方々には案件をご紹介していますが、それだけにとどまりません。フリーで働く際に発生する営業行為以外の業務、法人における管理部門に相当する業務も支援しています。具体的には、見積書・注文書・請求書の作成などのバックエンド業務を、当社のプラットフォームが担っています。
また、当社がすべてのお客さまとの契約を管理しているため、フリーランスの方々は当社との契約1本で仕事ができる仕組みです。このような法的リスクの少ない環境を用意し、フリーランスの業務を支援しています。
最近は、メンター的な機能も強化しています。個人で働くフリーランスの方々のキャリアに対するアドバイスやサポートを提供しています。特に早い段階から取り組んできたこととして、SaaS関連の環境変化やソフトウェア業界で「エンジニアはもう必要ないのではないか」といった声が出始めたことを踏まえ、早いタイミングでフリーランスの方々とキャリアや今後の展望について話し合ってきました。
具体的には、AI駆動開発やAIを理解できる人材になることの重要性を伝え、サポートしています。その結果、現状ではコーディングを行うプログラマーの案件は減少している一方で、プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)、コンサルタント、AI駆動開発などに関わる人材ニーズは非常に高まっています。
フリーランスの方々は勉強意欲が非常に高く、積極的にリスキリングに取り組まれていることもあり、最近ではこれらの案件数が増加し、マッチングも進んでいます。このように、フリーで働く方々の今後のキャリアをサポートする役割を当社は担っています。
私たちが雇用されて働く以外の働き方をサポートしている背景には、従来から「IT人材は不足している」と言われていたことがあります。そのため当社のプラットフォームでは、いわゆる「ダイナミックアサイン」を行っています。
企業が必要な時に、必要な人材を、必要な期間だけ活用できる状態を提供しようという考え方で、シェアリングエコノミーに近い発想です。このような仕組みを担うビジネスとして展開しています。
Seed Tech

曽根原:Seed Tech事業についてです。国内とフィリピンを活用した事業で、「ソダテク」という育成ツールを用い、フィリピンではオフラインでのデジタル留学を実施しています。具体的には、フィリピンに渡航し、1ヶ月から3ヶ月、長い場合は6ヶ月ほど、転職活動の合間に英語やデジタル人材として必要なスキルを学び、帰国後に新たな職場へ転職する、といった活用方法が取られています。
法人向けには、企業の法人研修や新卒研修などを通じて、入口段階からAI活用を学べる取り組みを提供しています。また、グローバルな価値観に触れてほしいというニーズに応える研修も展開しています。もちろん、オフラインに限らず、オンラインでも提供しています。
さらに、このツールを活用し、グループ内の人材育成も進めています。
フィリピンでイチから事業法人を立ち上げてから10年以上が経ちますが、フィリピンでIT人材を目指す若い人材も増えています。オフショア開発として外国人人材の活用も進めるため、「事業共創型ラボ」という形式で、私たち自身がフィリピン人の採用・育成を行い、日本のシステム開発会社やインターネットサービス会社の開発業務を担い、運用しています。
また最近は、新たに「DX職 -デジショク-」というサービスも推進しています。背景には、大手企業ではDXやAXが進みやすく投資も進んでいる一方で、日本の中小企業ではなかなか進んでいないという実情があります。経営者は代替わりで若い方が増えているものの、DXやAXをどのように進めればよいのかわからないという課題を抱える企業も少なくありません。
そうした中でAI技術が登場したことで、大手コンサルティング会社に高額な費用を支払ってDXやAXを改善することができない企業に対しても、私たちがAIを活用し、廉価なサービスを提供できるようになっています。
このようなかたちで、中小企業向けのコンサルティングを小規模で行っています。これが「DX職-デジショク-」の取り組みです。この取り組みは基本的に、ITやインターネット関連企業ではなく一般事業法人をターゲットとしており、例えば物流や食品といった業界への展開を始めています。
海外IT人材(Launch Group)

曽根原:海外IT人材事業についてです。こちらは、オーストラリアのシドニーおよびメルボルンを中心に展開しており、M&Aにより取得した会社です。カジュアル雇用といい、実質的に日本のフリーランスに近い契約形態のIT人材をオーストラリアのグローバル企業や事業会社、さらに政府や行政機関向けに派遣しています。
もう1つ「MSP」というサービスがありますが、こちらは日本ではあまり馴染みがありません。企業の人材調達部門を担い、ペイロールを含む人材管理業務を行うものです。自社登録の人材を派遣するだけでなく、他の人材エージェントも管理し、人材を派遣してもらう仕組みです。非常に大きな売上につながる契約で、入札形式で受注し、現在売上の約半分を占める重要な事業となっています。これがオーストラリアのLaunch社による事業です。
この3年間はオーストラリアの経済状況の影響を受け、非常に厳しい状況が続いていましたが、前期より黒字化を実現しました。M&Aの背景として、実は日本とオーストラリアの間で「ボーダレスマッチング」を図りたいという構想があります。日本のフリーランスの中で技術力が高く、英語ができる方をオーストラリアの案件にマッチングさせることを目指しています。
為替は現在円安となっていますが、オーストラリアには単価の高い案件があり、時差が少ない点も踏まえ、日本でフリーランスとして働いている方でも対応可能です。今後このボーダレスマッチングを実現し、さらなる拡大を図っていきたいと考えています。
上場以降の売上推移

曽根原:上場以降の売上推移についてです。2024年には、先ほどお話ししたオーストラリアの会社であるLaunch社のM&Aがあります。
また、2025年には、日本の人材派遣会社であるアライヴ社が加わります。主にNTTグループに特化した会社です。
売上高は伸びており、今期予想は283億円となっています。
上場以降の営業利益推移

曽根原:営業利益の推移です。2023年と2024年に、業績が大きく落ち込んだ時期がありました。当社では10年以上前から、スマートフォン向けゲーム開発を行う子会社をイチから立ち上げ、運営してきました。社員は約300名の組織でした。
しかし、ご存じのとおり、現在のスマートフォンゲーム市場は非常に厳しい状況です。当社でもいち早くその厳しさを認識し、売却を進める決断をしました。このゲーム部門が業績にマイナスの影響を及ぼしていたため、2024年に売却を完了しています。
以降は、IT人材領域に再び集中する方針を掲げ、Launch社のM&Aや、先ほど触れたNTT向け人材派遣会社のM&Aを実施して業績を伸ばしました。その結果、今期は営業利益が10億円台に達する見通しです。
株主還元

曽根原:株主還元についてです。当社では投資家のみなさまに向けて、連続で配当を出しています。2027年3月期は1株あたり32円の配当を予定しており、配当性向は50パーセントを目安としています。
荒井沙織氏:ここからは、「ギークス」について詳しくお話をうかがいたいと思います。まずはkenmoさんからお願いします。
kenmo氏(以下、kenmo):本日4社目ということで、みなさまお疲れかと思いますが、あと30分ほどお付き合いいただければと思います。
個人投資家はIRに何を求めているのか。

kenmo:個人投資家がIRに求めるものについてです。知りたいことは大きく3つあると思います。1つはビジネスモデルの理解、もう1つは変化があるかどうかです。変化があることで株価が大きく動き、利益を得られる可能性が高まるため、その変化を探ることがポイントになります。
さらに、業績変化に対する蓋然性も重要です。「中計でこの数字を出してるけれども本当にそれを達成できるのか?」といった具体的な内容を、このようなIRの場で確認することが大切だと考えています。
売上構造の理解:主要ビジネスモデルの方程式

kenmo:ビジネスモデルを理解する上では、まず売上がどのように成り立っているのかを理解する必要があります。人材の会社であるため、一見するとスライド左下の人材派遣の「単価×人数×稼働率」を指すのかと思ってしまいます。
売上構造の理解:主要ビジネスモデルの方程式

kenmo:しかし、実はこの会社は、どちらかというとSaaS型に近いビジネスモデルになっています。
売上構造の理解:主要ビジネスモデルの方程式

kenmo:企業から業務委託料を受け取り、フリーランスに報酬を支払い、その差額であるマージンが収益となる構造です。そのため、人材派遣というより、SaaSに近いビジネスモデルだといえます。
また、1回のマッチングで紹介料300万円が発生するような正社員紹介とは異なり、マッチング成立後に何ヶ月稼働が続くかが重要です。売上は「稼働人月数×受注単価」と分解できるため、稼働人月が伸びるか、あるいは受注単価が伸びるかといった点を注視する必要があります。
【質問観点】

kenmo:本日の質問の観点は、大きく4つです。これらの点について順番にお聞きしたいと思います。
国内IT人材(稼働人月数 · 受注単価)

kenmo:まず、国内IT人材についてうかがいます。昨今「AIディスラプト」の話題もある中で、足元の稼働人月数は前年同期比で5.2パーセント増と伸びている状況です。この伸びは、今後AIの台頭によって鈍化するリスクはないのでしょうか?
曽根原:実は今期、この点については少し踊り場に差しかかっていると思います。これまでは、システム開発に携わる人材には、例えばコンサルタントやPMの設計、開発とありますが、これまでは開発工程のボリュームが非常に多く、それが私たちの稼働を大きく占めていました。しかし、最近はそのニーズが変化し、代わって上流工程の人材をより多く求めるニーズが増えています。
したがって、以前ボリュームが大きかった領域が減少し、上流工程が増えるという、いわばバランス調整の局面にあります。そのため、稼働数としては伸ばしづらいタイミングだと考えています。
一方で、スライドのグラフにある受注単価は、昨年平均で83万2,000円となっています。特に東京では足元で非常に伸びており、上流工程の単価が大きく増加している状況です。
お客さまのニーズが上流工程に集中しているため、先ほどご説明したデータベースでも、PMやコンサルタント、AI駆動開発が可能な人材、そして最近のキーワードであるFDE(Forward Deployed Engineer:前線配備エンジニア)といった職種の人材ニーズが高まっています。こうした職種への需要が増えているタイミングのため、単価が伸び、結果として利益率も高まっていると考えています。
kenmo:今後、上流工程がさらに伸びることで、単価も徐々に上がっていくという理解でよろしいでしょうか?
曽根原:おっしゃるとおりです。
kenmo:そうすると、個人的に気になるのが、ITフリーランスの方々です。彼らは、いわゆる「自由に働きたい」「組織に属したくない」というタイプの方々だと思います。
一方で、上流人材はPMなど、グループやチームを束ねるといった、組織的な働き方になります。ここに大きなギャップがあるのではないかと感じていますが、その点はいかがでしょうか?
曽根原:その点について言えば、企業というかたちの組織に属したくない方でも、なにかを作るプロジェクトという意味での組織には、特に違和感なく取り組めると思います。開発人材も基本的にいずれかのプロジェクトに参加しているため、その点は問題ないと考えています。
国内IT人材(取引企業数·ITフリーランス新規登録者数)

kenmo:足元の取引企業数が順調に増えてきていますが、営業組織の状況など、その背景についてお聞かせください。
曽根原:クライアントについてですが、特にIT・インターネット業界では、当社の認知度は一定程度浸透しており、評価をいただいています。そのため、新規開拓に特別注力してきたのではなく、多くのお問い合わせをいただいています。
いただいたお問い合わせに対し、当社のサービスでどこまでマッチングできるかがポイントとなります。その結果、取引企業数は増加しているものの、すべてのお客さまに対して十分なマッチングを実現できていない状況もあります。
kenmo:どちらかと言うと、登録されているフリーランス人材の供給がボトルネックになっている、という理解でよろしいでしょうか?
曽根原:当社としても毎年可能な限りフリーランス人材の確保に努めており、十分に集まっています。ただ、お客さまが求める特定のスキルや条件に合うフリーランスとのマッチングでは、倍率が高い状況が続いているのが現状です。
kenmo:ニーズとのマッチングがうまくいくかどうか、という状況ですね。
曽根原:そのとおりです。
海外IT人材(売上高·セグメント利益)

kenmo:海外はこれから伸ばしていく分野かと思います。現在の取り組みについてはいかがでしょうか?
曽根原:海外は日本の商習慣とは異なり、マージンをオープンにした契約が基本となります。グローバル企業、例えばAmazonのような大手クライアントの場合、規模が大きくなるほどマージンが低くなる傾向があります。
当社の戦略は、オーストラリア国内の中小企業をターゲットにし、人材の不足が深刻な企業を狙うというもので、マージンが高くても受注が可能な案件を取り込む方針です。従来は政府関連の大手企業を中心に展開していましたが、最近は中小企業を攻めることで利益率の改善を図っています。
国内IT人材:課題に対するギークスの施策

kenmo:足元のAI時代におけるポジショニングについてです。AI・AXソリューションチームなどを発足されたということですが、その狙いや背景をあらためて教えてください。
曽根原:スライドの表にもあるとおり、先ほどお話ししたように、案件の中身が変化してきています。そうした状況を踏まえ、データベースの人材の育成を進めていきたいと考えています。そのための機会も提供していく方針です。
フリーランスの方々も自主的に勉強されていますが、当社としてもリスキリング機会をさらに提供し、データベースの変化を通じてお客さまのニーズにより応えられるよう努めています。
また、AIについても社内で積極的に取り組んでおり、人材会社の中でも特にAI活用を進めていると言っても過言ではないほど、対応を強化しています。
これにより、当社の社員がPM機能も担い、従来のフリーランスのマッチングにとどまらず、当社がITフリーランスとのチームを編成し、お客さまの開発ニーズに応えるソリューションを提供する体制を整えています。
kenmo:上流人材についてですが、引く手あまたで取り合いの状況だと思います。上流のニーズはある一方で、人材確保は難しいのでしょうか? このような人材獲得競争において、勝ち筋があるのかどうか、その点をお聞かせください。
曽根原:おかげさまで、当社のデータベースには多くのITフリーランスの方が登録されています。実は、テックやプログラミングを十分に理解しないままAIに取り組む方と、プログラミングを理解した上でAIに取り組む方とでは、後者のニーズが高い状況にあります。
したがって、当社のデータベースに登録されているみなさまが、さらにAIへの理解を深めていくことで、最終的には目視でコードをチェックする能力も求められるようになると思います。その中で、テックを理解する人材が継続的にリスキリングされていく状況は、当社の強みだと考えています。
Seed Tech:重点施策=中小企業向けDX推進サービス「DX職-デジショク-」

kenmo:Seed Tech事業は、新しいビジネスかと思います。サービス内容や特徴を詳しくお聞かせください。
曽根原:こちらは中小企業向けに「社長の右腕になっていく」というコンセプトです。当社の「DX職-デジショク-」は、1人あたり1社に対して約20万円から提供しています。1人で10社を担当すれば、月200万円程度の仕事を獲得できる状態を目指しています。
サービス内容は、お客さまによって多岐にわたります。例えば、「『Slack』を導入したい」といった初歩的な対応ができていない会社も非常に多く存在します。当社は、そうした細かな点にも対応しながらサービスを提供していきます。
また、SaaSの使い方がわからず、選定に悩むお客さまもいます。その場合は、なにかを押し付けるのではなく、選定をサポートする立場として当社から提案します。導入から運用までに加え、企業のDX・AX人材の育成まで、先ほどご説明したツールを使ってサポートすることを提供しています。
質疑応答:PM・PLおよびコーディング人材の人数と単価について

質問者:先ほどkenmoさんが質問された内容についてです。これまではコーディング人材の引き合いが多かった一方で、今後はPM・PLなど上流の仕事が増えていくとのご説明がありました。該当する人材はそれぞれどの程度いるのでしょうか? また、各人材の単価はどのくらいでしょうか? 説明資料に記載があるかどうかも教えてください。
曽根原:開示資料には、全体の平均単価が掲載されており、わかりづらい部分がありますが、足元ではPM・PLの単価は100万円から120万円程度に達しています。
地方も含めた平均単価では83万円となっていますが、関東を中心にPM・PLでは100万円から120万円、場合によっては130万円程度の案件もあります。
質疑応答:支払利息の増加と財務戦略について
質問者:支払利息についてです。前年同期比でおよそ倍の4,500万円ほどとなっており、今後利上げ局面に入ると無視できない金額になると考えます。この先バランスシートをさらに拡大し、M&Aや投資に使う計画があるのか、それとも利益を着実に上げて返済を進め、自己資本を厚くする予定なのか、御社の方針をお聞かせください。
曽根原:M&Aのソーシングに関しては、常に取り組んでいます。先ほどのDX・AXを中小企業向けに進めていくために必要な関連企業を探しています。ただし、現時点では大規模なM&Aは検討しておらず、当社の次のビジネスとシナジーが見込める企業を探しています。
一方、資金面では、現在インボイス制度の導入に伴う経過期間にあります。当社では従来、いわゆる免税事業者分の2パーセントを企業側で負担する仕組みを採用し、フリーランスの代わりに負担していました。しかし、今年10月からはこの負担をすべて停止します。その結果、現在18パーセント強の粗利率は、20パーセント程度まで改善する見込みです。
来年にはこの変更による影響が通年で寄与するため、利益率は大幅に向上すると考えています。このようなかたちで、適切に事業資金を確保していく予定です。
佐久間大輔氏(以下、佐久間):借入については年々返済が進み、金利負担もかなり低い水準の金利での借入を維持しています。今後も金利動向を注視しつつ、財務バランスをしっかり見極めていきたいと考えています。
質疑応答:競合環境下でのITフリーランス人材を増やす取り組みについて
質問者:今後、IT人材はさらに増加していくと考えられます。御社としても、上流工程を担える人材を求める方針であれば、難易度は高くなると思います。競合企業もいる中で、新しいITフリーランス人材をコミュニティとしてどのように増やしていくのか、また競合企業との比較についてもおうかがいできれば幸いです。
曽根原:以前はIT人材が不足し、倍率も非常に高かったため、案件さえあればマッチングが成立すると言われていました。そのため、サポートを積極的に行うスタンスは、他社ではあまり見られませんでした。
当社は、フリーランスとして個人で働く方々の働き方を支援することをコンセプトとしており、以前からオフラインでフリーランスの方を集めた勉強会を提供してきました。以前はPHPやJava、Pythonを学ぶプログラムを提供していましたが、最近の研修ではコミュニケーション研修を行っています。
技術面はすでに備わっている方が多いため、お客さまとどのように話し、何をするかをしっかり決め、答えを導き出す力を身につけた人材になってほしいという趣旨で、異なる内容の研修を実施しています。このような研修を行う企業は、実はあまり多くありません。
ここは当社の強みの1つであり、フリーランスの方々からも喜ばれています。「いつもテックの研修ばかり用意される」という声に対して、「そうではない視点」を私たちは伝えています。
質疑応答:登録人材の価値の定量的把握について
質問者:先ほど、データベースに登録されている人材とのコミュニケーションのお話がありましたが、登録人材の価値は、どのようなKPIや指標で定量的に把握されているのでしょうか?
曽根原:私たちは「GEECHS AI」というシステムを社内で開発し、主要システムとして運用しています。このシステムには、IT人材の技術スキルに関する情報だけでなく、これまでに構築してきたお客さまとの関係性や評価など、さまざまな情報を蓄積しています。
さらに、どのようなチームに所属し、どのポジションでどのような役割を果たしてきたかといった詳細も記録しています。そのため、1人あたりの情報は非常に濃密です。
これらの情報を用いて企業とのマッチングを行っており、例えばAという方を10社に提案する場合でも、各社に異なる推薦内容を提示できるようになっています。証券会社のシステム案件を例に挙げると、その人にとって重要なポイントにフォーカスする内容や、特性を活かせる焦点をAIが解析し、提案内容の作成までをすべて自動化しています。その結果、マッチング効率が大幅に向上しています。
質疑応答:複数の中小企業を担当する人材確保の考え方について

質問者:先ほどの重点施策について、「1人の人材が複数の中小企業を担当する」とお話しされていたかと思います。ただ、その人材自身が複数の企業を担当したいと思うのか、少し疑問があります。
会社側としては、1人が多くの業務を担うことで実りが大きくなる点は良いことだと思います。一方で、取り組む側は把握すべきことが増えるため、優秀な人材ほどそのような働き方を敬遠するのではないかと思います。この点、人材の確保についてどのようにお考えでしょうか?
曽根原:ここについては、フリーランスではなく、当社で採用した社員をイチからデジタル人材として育成しています。その際、先ほどご説明したツールを活用して教育を行っています。
そのため、これまでとはまったく異なる職種でも、むしろそのような職種や領域に挑戦したい人材が集まっています。私も「AIのコンサルタントになれる」を切り口に採用・育成を行っているため、この仕事を敬遠することはほぼないと思います。
なお、1人で10社を担当しますが、実際に1人ですべてを行うわけではありません。主にデジショク人材がフロントのコミュニケーションを担当し、裏側には当社のバックエンド部門があり、この1人をサポートするチームが存在します。また、AIも活用して支援を行っています。
例えば、工数のかかる案件についてはチームに割り振っていき、チームがベースを作成してフロント側の人材が納品に行くという仕組みを構築しています。したがって、すべてを1人で抱えているわけではありません。チーム全体で10社を支援し、その中でフロントに立つのが1人というイメージです。
質疑応答:手元キャッシュを確保する目的と有利子負債の運用方針について
質問者:直近の決算では、有利子負債が18億円ある一方で、現金を37億円ほど保有されています。負債を返済せず、手元にキャッシュを残している目的や使用用途について教えてください。
佐久間:これまでオーストラリアのLaunch社の買収や、先日買収した国内のアライヴ社といったケースでは、銀行からの借入で資金を調達しています。
一方で、当社はフリーランスの方に毎月一定額を支払っており、運転資金として、ある程度のキャッシュポジションを確保する必要があります。当社のお客さまからの入金よりも、フリーランスの方への支払いが先行するため、その分の資金を準備しておく必要があるためです。
また、余剰資金は配当に充てることもありますが、今後の成長に向けた事業投資やM&Aに活用する資金も念頭に置き、これらのバランスを考慮しながら財務運営を行っています。
なお、M&Aは基本的に借入で資金調達する方針ですが、案件によっては自己資金で対応する可能性もあると考えています。
質疑応答:社員の引き抜きリスクと対応について
kenmo:会場からの質問を聞いているうちに、いろいろと聞きたいことが出てきました。
社員のKPIに関するお話がありましたが、例えば優秀な人材ほど、お客さまと密に関わる中で引き抜きが起こりそうな印象があります。実際の現場はいかがでしょうか?
曽根原:もちろんそのようなケースはあります。ただ、当社では基本的にフリーランスの方に、お客さまからお誘いを受けた場合は必ずご報告いただいています。それだけの関係性を築けており、そうした状況でも当社は「NO」とは対応せず、ビジネスマッチングの一環として手数料を少しだけいただいています。
「直接お客さまと契約して仕事してください」とお話しするのですが、興味深いことに、みなさま最終的には戻ってきます。
kenmo:それはなぜでしょうか?
曽根原:プロジェクトには必ず終わりがありますが、フリーランスの方は社員として雇用されているわけではないからです。プロジェクトが終了すると、「また仕事を探したい」となりますが、データベースに登録されているため、当社はいつでもリーチすることができますので、問題ありません。
質疑応答:フリーランス事業における足元のお客さまのニーズについて
kenmo:「足元のお客さまのニーズには、業務効率化やコスト削減、あるいは売上の拡大など、どのようなものが多いのでしょうか?」というご質問です。
曽根原:フリーランス事業のお客さまのニーズ、ということでしょうか?
kenmo:そうですね。
曽根原:両方ありますが、当社のクライアントはインターネットサービス系の会社が比較的多く、自社プロダクトへの投資として必要な開発人材などをご要望いただきます。また、それらの会社が保有されているサービス外の投資でもニーズを感じます。
質疑応答:DX・AX関連案件の単価上昇による利益率改善の見通しについて
kenmo:「DX・AX関連案件は従来案件と比べて案件単価や利益率の向上につながると考えていますか? 特に今後の収益性改善にどの程度寄与すると見ていますか?」というご質問です。
曽根原:まさに先ほどのポイントだと思います。DX・AX関連案件の単価が上がってきているため、先ほどご説明したインボイスの件も含めて、スプレッドとしての粗利率が大きく変化しています。そのため、利益率は高まっていくと考えています。
質疑応答:AI普及と案件の一巡予想について
kenmo:「AI関連の案件が一巡した後は、どのようになるとお考えですか? 5年先など、その後の展望についてお聞かせください」というご質問です。
曽根原:正直に言えば、AIの普及も含めてこれだけ変化が速い中で、5年先を予想するのは非常に難しいです。ただ、AI案件が一巡することはまずないと思います。
さまざまなアプリケーションレイヤーの新しい商品で、AIが活用され、新商品も登場しています。そのような開発ニーズも多く存在していますので、AI案件の一巡はまだないと考えています。
質疑応答:ギークスの変化への柔軟性と組織構造について
kenmo:これほど変化の大きい世の中で、御社は変化に柔軟に対応しやすい組織構造だと思いますが、その理解で合っていますか?
曽根原:おっしゃるとおりです。まさにそのとおりだと思います。
質疑応答:AI開発案件の将来性とギークスの中長期的成長ビジョンについて
質問者:先ほどのkenmoさんの質問にも関連しますが、AI関連の案件などは今後もなくならないとお話しされていました。私たち素人にはまったく想像がつかないのですが、今後も案件は増加していくのでしょうか? また、単価は今後どのように変化していくのでしょうか? 長期的に必要とされ続けるのかについて、御社の考えをお聞かせください。
加えて、我々のような個人投資家が御社の株を購入する際、御社の成長をどのように信じていけばよいのか、成長のポイントがどこにあるのかについて、いまひとつイメージが湧きません。そのため、中長期的な考えやビジョン、戦略についてもお聞かせいただければと思います。
曽根原:AI開発のニーズについてですが、当社は日本でインターネットが普及し始めた頃から四半世紀、つまり25年にわたり、ITフリーランス事業を継続してきました。
この間、開発案件は途切れることなく存在し、人手不足だと言われ続けてきました。その背景を踏まえると、今後はAIの活用によって、1つのプロジェクトの期間が大幅に短縮されると思います。
一方で、AIによって新しいことに挑戦しやすくなる側面もあります。ですので、私は案件がなくなることはないと考えています。時代の変化とともに常に新しいものが生まれるため、この分野にはまだ伸びしろがあると思います。
また、先ほど「変化に強い」とご指摘いただきましたが、最近は当社に対して「ソフトウェアエンジニアばかりを抱えていて大丈夫なのか」といった声をよく耳にします。しかし、当社も先を見据えています。ITフリーランスの方々も、プログラマーだけでは将来的に仕事がなくなることは明らかで、このままでいるわけにはいきません。
このような観点から、ITフリーランスの方々も状況に適応し、リスキリングを進めています。そうした流れの中で、当社のデータベースは、私が言うのも恐縮ですが、今後ますます求められるものになる見込みです。
「アクセスしたいデータベース」「ギークスから人材が欲しい」といった声が、再び増える時期が来ると考えており、中長期的なギークスのメイン事業の成長に期待しています。
当社ではこれまでも、いち早く取り組みを進めてきました。その結果、足元で案件環境が変化する状況にも、十分に対応できています。一方で、同じスピードで対応できていない企業では、仕事が減少しているケースもあります。
これほどIT人材が不足している一方で、開発会社が多いこともあり、社内で人材が余り始めている企業も出てきました。当社はそのような変化をいち早く察知し、対応するスピードが速かったと考えています。
質疑応答:IT・コンサル業界の人月ビジネスから成果物ベースへの移行と対応について
kenmo:IT業界やコンサル業界は、いずれ人月ビジネスから成果物ベースの収益へと、徐々に移行していくのではないかと思います。海外でも同様の動きが見られますが、そうした変化に御社が対応できるのか、また社内でディスカッションが行われているのかについてお聞かせください。
曽根原:当社では、人材事業を超えたサービスを構築する取り組みの一環として、AIソリューションに注力しています。IT人材ビジネスのソリューション部門では、当社自らITフリーランスを活用し、人月型ではなく成果物型で納品する取り組みを開始しました。
また、中小企業向けの「DX職-デジショク-」についても、基本的には人月型ではなく成果物型で対応する想定です。
このようなサポートを進める中で、アップセルを図りつつ、お客さまに開発が必要であれば、「私たちがフィリピンで開発しましょう」「ITフリーランスを活用して、開発を行いましょう」といった提案が可能になります。これにより、人材ビジネスの枠を超えた挑戦を進めています。
大手SIerは基本的に人月ベースで対応していますが、当社は成果物型のソリューションを中小企業やインターネットサービス会社に提供していこうと考えています。
曽根原氏からのご挨拶
曽根原:冒頭で業績についてご説明しましたが、ゲーム会社の売却などを経て、業績は回復基調にあります。また、当社のデータベースに対するニーズは、今後より一層高まってくると考えています。
さらに成長を遂げられるよう、あらためて努力していきますので、ぜひご注目いただければと思います。本日はありがとうございました。
