■トーカイ<9729>の中長期成長戦略
1. 中期経営計画の概要と経営数値目標
同社は2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画を2025年5月に発表した。「人々の『清潔』で『健康』な暮らしを支えるインフラ企業として、“健康長寿社会”の実現に貢献する」という長期ビジョン「Vision2035」の実現に向け、「収益性向上と新たな価値創出に向けた種まき」を行う期間として位置付けている。同社グループは、「清潔と健康」「レンタル」をテーマとして「医療・介護」の分野を中心に幅広く事業を展開しており、70年にわたる事業活動を通じて培ってきたレンタルサービスのノウハウや豊富な顧客基盤を有している。こうした強みを生かして、各事業における収益性向上を最優先課題として取り組むとともに、10年先の成長をけん引する新規事業の開発に着手している。
同計画における基本方針としては、「利益最大化に向けた各事業における事業構造の改革」「10年先の成長をけん引する新規事業の開発」「グループシナジーの創出および最大化」「人的資本への投資が成長につながる好循環の確立」「バランスの取れた成長投資と株主還元の実施」の5つを掲げている。
経営数値目標としては、2028年3月期に売上高1,700億円、営業利益95億円、ROE8%を掲げた。年平均成長率は売上高で4.4%、営業利益で5.0%となり、堅実な成長を目指す。2028年3月期までの中期経営計画の期間中に、10年先の成長をけん引する新規事業の開発に積極的に取り組み、長期ビジョンとして掲げた2035年3月期に売上高2,500億円、営業利益160億円、ROE10%の達成を目指す。初年度の業績は計画を上回って進捗し、2年目はコスト環境変化に伴う減益要因を最小限に抑え、最終年度の業績目標の達成を目指す。2027年3月期の業績が計画どおりに進捗すれば、業績目標を達成する可能性は十分にあると弊社では見ている。
収益性向上施策については、各事業を取り巻く事業環境を踏まえながら、収益性と成長性の2軸で4つの事業ポートフォリオ(成長けん引事業、安定収益事業、収益性強化事業、新規事業)に分類し、各種施策を遂行している。同社では収益性と成長性の2軸から、シルバー事業と寝具・リネンサプライ事業を成長けん引事業に分類している。また、安定した収益が見込める領域として病院関連事業と清掃事業を安定収益事業に位置付けているほか、ビジネスモデルの再構築により安定収益化を目指す領域として、調剤薬局事業、給食事業、リースキン事業を収益性強化事業としている。新規事業としては豊富な経営リソースを有するヘルスケア領域での強みを生かし、「在宅」「医療・介護の予防」「未病改善※」などをテーマとした事業開発を進めている。
※ 健康と病気の間にある状態を未病といい、これを改善して病気の発症を防ぎ、健康維持につなげること。
セグメント別の業績目標を2028年3月期までの年平均成長率で見ると、健康生活サービスが売上高で5.0%増、営業利益で8.1%増、調剤サービスが売上高で4.0%増、営業利益で4.1%減、環境サービスが売上高で3.2%増、営業利益で6.8%増となる見通しだ。調剤サービスの利益が低迷する計画となっているが、これは毎年行われる薬価改定や2026年度調剤報酬改定による影響などにより、厳しい経営環境が続く想定によるものだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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