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ラクトJPN Research Memo(3):乳原料・チーズ部門が収益基盤、ライフサイエンス事業部門が成長けん引(1)

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■事業概要

1. 事業概要
ラクト・ジャパン<3139>は、乳製品原料、機能性食品原料、食肉及び食肉加工品などの食品原料を輸入・販売する独立系の食品専門商社である。乳製品原料の輸入販売を基盤として事業領域を拡大し、現在では国内外における原料販売に加え、アジアでのチーズ製造販売や機能性食品を取り扱うライフサイエンス分野にも展開している。

事業セグメントは食品事業の単一セグメントであるが、事業部門は、乳原料・チーズ部門、食肉食材部門、ライフサイエンス事業部門、アジア事業の乳原料販売部門、チーズ製造販売部門、その他で構成される。

2026年11月期中間期の売上構成比は、乳原料・チーズ部門が64.1%、食肉食材部門が12.2%、ライフサイエンス事業部門が6.5%、アジア事業の乳原料販売部門が12.1%、チーズ製造販売部門が3.9%となっている。乳原料・チーズ部門が引き続き売上高の約3分の2を占めるなか、ライフサイエンス事業部門及びアジア事業のチーズ製造販売部門の構成比が上昇しており、事業ポートフォリオの高付加価値化が進んでいる。

同社は、原料の輸入・販売にとどまらず、顧客課題に応じた包括的なソリューション提供企業であることを掲げている。同社が提示するソリューションは以下のとおりである。

調達:世界各地の主要産地から、安全・高品質な原料を安定的に調達する能力
輸入:乳製品・食肉などセンシティブな商材に対応する高度な輸入手続き
供給:需給変動・気候変動リスクを見据えた安定供給体制の構築
提案:顧客ニーズに即した原料・製品・ソリューションの提案とカスタマイズ

これらは単なる販売機能ではなく、食品メーカー・卸・小売など顧客企業に対して企画提案型の価値提供を行うことを意図したものである。

2. 事業部門別の概要
(1) 乳原料・チーズ部門
同社の基幹事業であり、日本国内における乳原料・チーズの輸入販売を担う部門である。世界各国から乳製品原料・チーズを調達し、乳製品メーカーや食品メーカーへ供給している。取扱品目は全粉乳、脱脂粉乳、乳脂肪原料、バター、ホエイパウダー、カゼイン類など幅広く、チーズについてはナチュラルチーズをプロセスチーズ、シュレッドチーズの原料として輸入・販売している。また、乳製品原料は顧客特有の仕様に応じたカスタマイズ供給にも対応しており、機能性提案も行う。これらの供給力は、世界の主要産地に展開する調達ネットワークと、長年培った品質管理ノウハウに支えられている。

近年は汎用品中心の販売から、高付加価値原料や顧客仕様品の比率を高めることで収益性の向上を進めている。

(2) 食肉食材部門
同社は乳原料・チーズに加え、食肉及び食肉加工品の輸入・販売も行っている。主力品目としては豚肉(チルド・冷凍)、生ハム、サラミ、ベーコンなどがあり、近年は鶏肉及び鶏肉加工品などへの取り扱い拡大も進んでいる。欧米由来の高品質食肉及び加工肉を対象に、専門性の高い調達・品質管理・物流サービスを提供し、日本国内の食品メーカーや卸売業者、小売店へ安定供給している。また、2025年11月期より取り扱いを開始した香辛料及び香辛料抽出物など関連食材も含めたラインナップの拡充により、顧客の加工食品・業務用ニーズに包括的に応える体制を構築している。

(3) ライフサイエンス事業部門(旧 機能性食品原料部門)
健康志向の高まりを背景に、従来の原料輸入・販売に加えて機能性食品原料・高付加価値原料の取り扱い・提案を強化している部門である。乳由来たんぱくや植物由来たんぱく、ゼラチン・コラーゲンなどの高機能素材に加え、健康食品・スポーツニュートリション・介護食マーケットに対応した素材を取り扱う。原料輸入にとどまらず、顧客企業との共同開発支援、OEM企業の選定支援、レシピ提案など、製品企画開発フェーズからのソリューション提供を行っている。同社では、1) 世界的なたんぱく需要の高まり、及び2) たんぱく原料の安定調達体制を構築及び代替たんぱく質の取扱拡大という2つの観点から、ライフサイエンス事業部門を中長期的な成長ドライバーの1つとして位置付けている。

1) 世界的なたんぱく需要の高まり
世界的な人口増加や健康意識の高まりを背景にたんぱく需要は拡大を続けている。一方、主力原料であるホエイプロテイン濃縮物(WPC)はチーズ製造時に生じる副産物であるため、高たんぱく原料だけを単独で増産することは難しい。チーズ需要自体の成長率は年率1〜2%程度にとどまる一方、高たんぱく原料の需要はそれを大きく上回るペースで拡大している。また、短期的にはGLP-1(Glucagon-Like Peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬市場の拡大により欧米を中心に需要が高まっている。

2) たんぱく原料の安定調達体制を構築及び代替たんぱく質の取扱拡大
短期的にはGLP-1受容体作動薬関連の需要拡大、また中長期的には新興国の人口増加や所得上昇を背景に、世界的にたんぱく需要が高まることが予想され、将来的にはたんぱく質が不足することが懸念されている。同社は強みであるグローバルな調達力を活かし、たんぱく原料の安定調達体制構築に加え、乳由来たんぱくだけでなく、大豆たんぱくをはじめとした植物由来たんぱくなどの代替たんぱく原料の取扱いも拡大しており、多様化するニーズへの対応力を高めるとともに、持続的な成長機会の創出を図っている。

(4) アジア事業・乳原料販売部門
同社は日本国内のみならず、アジア市場での乳原料販売事業も展開している。シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、中国などの現地法人を通じて、乳製品原料の販売を行い、現地食品メーカーのニーズに応える体制を整えている。各拠点はそれぞれの地域市場の特性に応じた価格と品質の最適化を図り、現地企業だけでなく多国籍食品メーカーや日系企業への供給も行う。需給変動や気候変動リスクの把握・対応を含めた調達戦略を実行し、安定供給力を維持している点が強みである。

足元では市場環境の変化に対応しながら、ベトナムやインドネシアなど新たな成長市場への営業強化を進めている。

(5) アジア事業・チーズ製造販売部門
アジア地域におけるチーズの製造・販売事業であり、同社の商社機能に加え、製造機能を持つことが大きな特徴である。シンガポール、タイ、インドネシア※に自社工場を設置し、業務用プロセスチーズやナチュラルチーズ加工品などを製造・供給している。現地の食文化・市場ニーズを踏まえた製品設計・提案力を持ち、アジアの食品メーカーや外食チェーンなど顧客の用途に合致した製品を提供していることが強みである。また、輸入原料を加工することで付加価値を創出し、原料輸入・販売のみでは実現しづらいビジネスモデルの深化を図っている。同社の事業部門の中でも利益率が高く、中長期的な最大の成長ドライバーと位置付けられている。シンガポール新工場の稼働により、生産能力拡大と販売地域の拡大を図る計画である。

※ インドネシア工場は合弁会社の加工工場。

(6) その他
アジア以外の海外現地法人による食品原料の輸出事業などを行う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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