2026年8月14日に発表された、株式会社アイスタイル2026年6月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
目次
吉松徹郎氏(以下、吉松):おはようございます。株式会社アイスタイル代表取締役会長兼CEOの吉松です。本日はお忙しい中、私たちの決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。さっそく、今期の決算説明についてお話しします。
本日は、まず代表取締役社長兼COOの遠藤から2026年6月期の決算概要および直近の運営サービスについてご説明します。次に、私のほうからアイスタイルの成長戦略と展望、株主還元強化を含む資本政策についてお話しします。その後、2027年6月期の事業計画をご説明し、質疑応答を行う予定です。
本資料のエグゼクティブサマリー

まず本資料のエグゼクティブサマリーとして、簡単にポイントをお伝えします。2026年6月期は、営業利益が予想を上回り、前年同期比で約30パーセント増の非常に良い数字で着地しました。
特に、マーケティングソリューションの数字が伸びてきたことが大きな要因です。Webメディアだけでなく、リテールとの両輪が回り始め、マーケティングの売上と利益が伸びたことが非常に重要だった期と考えています。
今期も2桁の増収増益を計画しており、次の成長につながるよい期だったと感じています。資本政策についても大きな発表を行いました。Amazon.com, Inc.が持つ新株予約権を今回私たちが買い取るかたちとなり、自己株式の取得に加え、安定的な株主還元として増配を計画しています。
これらの詳細については後ほどお話しします。それでは、遠藤から今期の決算概要についてご説明します。
通期累計 / 連結決算サマリー&トピックス

遠藤宗氏(以下、遠藤):代表取締役社長兼COOの遠藤です。2026年6月期決算の全体図についてご説明します。売上高は前年同期比19.0パーセント増、営業利益は前年同期比29.1パーセント増と、順調な成長を実現できたと考えています。
営業利益は業績予想を上回り、初めて40億円台に突入しました。マーケティング支援事業が成長の鍵であることは以前お伝えしたとおりですが、こちらも順調に成長し、利益成長を牽引したと考えています。
トピックスとして、ユーザーアクション総数も順調に成長しました。また、第3四半期に引き続き、事業環境に変化がありました。特定地域の地政学的問題や中東情勢などの影響もありましたが、一部ではインバウンド需要の減少が見られたものの、中東情勢の緊迫化に関しては、極めて影響が小さかったと考えています。
通期累計 / ハイライト(単位:百万円)

通期累計のハイライトです。各事業セグメントについては後ほどご説明しますので、全体を簡単にお伝えします。
マーケティング支援事業は売上高が前年同期比25.2パーセント成長し、営業利益も前年同期比24.6パーセント成長しました。リテール事業は売上高が前年同期比15.4パーセント増、営業利益は前年同期比15.6パーセント増です。グローバル事業については売上高が前年同期比37.9パーセント成長となりました。
グローバル事業の成長は、香港旗艦店の新規出店と越境ECの増収が大きく寄与したと考えています。一方で、営業利益は前年同期比マイナス3億5,600万円となり、香港旗艦店の立ち上げがまだ十分に軌道に乗っていない状況です。今期は下期に黒字化を実現できるよう、鋭意取り組んでいます。
その他では、営業投資有価証券の売却等があり、前年同期比で大きく伸びる結果となりました。コストについては、ほぼ計画どおりに進捗しました。
通期累計 / 連結業績予想に対する達成率

連結累計は、売上高が業績予想に対して98.6パーセントと若干未達に終わりました。その要因は、リテール事業が前年同期比では大きく成長したものの、アグレッシブな計画を立てていたため達成には至らなかったこと、そして香港のリテール事業の影響が挙げられます。
営業利益や経常利益などは、大きく目標を達成できました。
連結売上高 / 年別推移

連結売上高は、スライドに示されているとおり、順調に成長しています。
セグメント別売上高 / 四半期別推移

セグメント別の売上高について、各事業の概要はスライドをご覧ください。全体では前年同期比17.1パーセントの成長となっています。
マーケティング支援 セグメント別売上高 / 四半期別推移

マーケティング支援セグメントについてです。先ほどもお伝えしたとおり、このセグメントは私たちの利益成長の要であり、業績が順調に伸びていることを非常にポジティブに捉えています。
リテール事業の成長に伴い、広告領域だけでなく販促領域も拡大していることをこれまでお話ししてきましたが、そちらを十分に取り込むことで、大きく成長を遂げていると考えています。また、広告領域も同様に成長しています。
営業利益については、将来を見据えて営業基幹システムの改修のための投資を積極的に行っています。これは、売上が伸びてもコストがあまり増加しない環境を整えるためのものです。このため一定のコスト増加は発生していますが、そちらを吸収しつつ、利益をほぼ同水準で維持できていると考えています。
リテール(オンライン・オフライン) セグメント別売上高 / 四半期別推移

リテール事業についてご説明します。前年同期比では8.8パーセントの成長を記録しました。ただし、第4四半期においてはECの倉庫移転に伴い出荷遅延が発生し、多くのお客さまにご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。しかし、この問題はすでに解消されており、既存事業としては順調に成長したものと考えています。
一部店舗ではインバウンド需要の減少や、長年運営を続けている既存店の一部で苦戦する場面も見られましたが、ECが順調に倉庫移転の影響以外は成⻑したと認識しています。売上高も成長を維持しており、営業利益率もこれらの影響がある中でも前年とほぼ同水準を確保できたと考えています。
グローバル セグメント別売上高 / 四半期別推移

グローバルについては、香港旗艦店や中国越境ECの寄与によって増収となりました。しかし、香港旗艦店ではオペレーションの最適化に時間がかかり、売上が計画を下回ったため、営業利益が赤字となりました。ただし、全体としては前年に比べてかなり大きく改善しています。
改善の要因として、中国越境ECが大きく回復してきたこと、さらには韓国事業が順調に成長していることが挙げられます。これらによる利益の積み上げが、香港におけるマイナス分をある程度相殺したと考えています。
その他 セグメント別売上高 / 四半期別推移

その他のセグメントは、営業投資有価証券売却により増収増益となりました。
販売費及び一般管理費 / 四半期別推移

販管費率は全体として下降傾向にあります。コストについては一部増加しているものもありますが、コントロールの範囲内であり、特に問題はありません。
限界利益 / 四半期別推移

限界利益の推移です。利益率の低いリテール事業やグローバル事業がボリューム面で伸びていることもあり、限界利益率はほぼ横ばいで推移しています。
セグメント別営業利益 / 四半期別推移

セグメント別営業利益についてです。スライドは先ほど申し上げた内容をまとめたものとなっています。全体としては前年同期比で44.8パーセント増と大きく成長しました。通期の営業利益率も、微増ではありますが、全体を引き上げて着地できたと思います。
EBITDA / 年別推移

EBITDAも順調に拡大しています。稼ぐ力は過去最大となっており、今後もこちらを順調に伸ばしていく計画です。
ROE / 年別推移

ROEに関しては、Amazon.com, Inc.および三井物産株式会社のCB転換があったことで自己資本が増加し、前年同期比では減少しました。しかし、資本コストを上回って推移しているため、問題はないと考えています。
KPI ユーザーアクションの総数

続いて、直近の運営サービスの状況についてご説明します。ユーザーアクションの総数は順調に成長しています。
KPI @cosmeの会員数の推移

「@cosme」の会員数も順調に増加しています。
業界内外との共創する大型イベント「Tokyo Beauty Week」今年も開催

前期に初めて「Tokyo Beauty Week」という大きなイベントを開催しました。ユーザーのみなさま、ブランドのみなさま、そしてベニューパートナーのみなさまから非常に高い評価を得ることができました。
今期はこの「Tokyo Beauty Week」をさらにパワーアップして開催し、「ファッションのパリ、ビューティの東京」と評価されることを目指して、全力を尽くしていきたいと考えています。
以上、前期決算の概要についてお話ししました。次に、アイスタイルの今後の成長戦略と展望について、吉松よりご説明します。
成⻑戦略と展望

吉松:私からは「アイスタイルの成長戦略と展望」について、スライドの5つの観点からお話ししたいと思います。
1. 今、問われていること

1つ目の「今、問われていること」についてです。先ほど遠藤がお話ししたように、ここ数年をかけて私たちが取り組んできたメディア・EC・店舗の三位一体の基盤がようやく確立し、次の成長につながる非常に力強い手応えを感じることができました。
だからこそみなさまから問われているのは、「その次にアイスタイルはどうしていくのか?」「AI時代に口コミの価値はどうなるのか?」「店舗はどれぐらい伸ばしていくのか?」「化粧品業界はこれからどう変わっていくのか?」「その中で『@cosme』は本当に大丈夫なのか?」「アイスタイルはどこ・何を目指しているのか?」であると感じています。
2. この数年の振り返り

具体的に次に進むためには、この数年で私たちが何に取り組んできたかを振り返ることが重要です。スライドに示しているように、大きなポイントだったのは、「リテールの強化が私たちの成長基盤になる」という話が最も重要だったと考えています。
2-a. リテール領域の強化が成⻑基盤になる(FY21発表方針の再掲)

5年前の2021年6月期において、私たちはリテールをより強化していくという方針を打ち出しました。
これまでのようなメディアとしての規模感や、WebメディアでのMAU(月間アクティブユーザー)の成長だけにとどまらず、ブランドとユーザーをつなぐマーケティング支援において、販売力そのものが重要な要素となると考えたためです。
そのため、ネットとリアルの融合も視野に入れながら、私たちはリテールの強化に注力してきました。
2-b. 方針に基づいたアクション

その第1弾として、2020年1月に初の旗艦店「@cosme TOKYO」を出店しました。当時は、ネガティブな意見も多く寄せられました。振り返ると、当時は「これからECが伸びていくからショールーミング化していく」や「店舗の位置づけは大きく変わる」というお話もありました。
これまでに400坪を超えるような大型の専門店はなく、店舗の規模が異次元の大きさであったため、「どうやってお店を埋めていくのか」といった議論もある中で、私たちはネットとリアルを融合させた新しい提案型の旗艦店「@cosme TOKYO」を2020年1月にオープンしました。
その直後、コロナ禍という想定外の大きな困難が日本全体、さらには世界全体に影響を与えることとなりました。私たちも、それまで力を注いできた海外事業について、選択と集中の観点から大幅な縮小を余儀なくされました。
また、その2年間で資本にも損傷があったため、2022年にAmazonさまおよび三井物産さまとの業務資本提携を行い、資本の強化を図りました。そちらを受けて、2023年には「@cosme OSAKA」のオープン、さらにAmazonでの「@cosme SHOPPING」のオープンと、大きな一歩を踏み出しました。
2024年には、ソーシャルマーケティングの強化を目的にトレンダーズとの資本業務提携を締結しました。2025年にはデータコンサルティングのサービスをローンチし、第3の旗艦店「@cosme NAGOYA」をオープンしました。また、新しい取り組みとして「Tokyo Beauty Week」も進めています。
その中で、私たちは次のステージへとつながる重要な一歩として、昨年12月に海外初の旗艦店「@cosme HONG KONG」をオープンすることができました。
2-c. 当社業績の変化①:リテールとのシナジーでマーケティング支援(BtoB)が成⻑

私たちは、5年前に掲げた方針に向けて、一つひとつの施策を着実に実行してきました。その結果数字の面でも成果が現れ、2026年6月期においてはコロナ禍前の2019年6月期に対して、セグメント合計で売上高を3.5倍まで伸ばすことができました。営業利益も3倍まで成長しています。
なにより大きかったのは、マーケティング支援がリテールの規模と同じような営業利益を生み出せるようになったことです。
ここ数年、「『@cosme』はWebサービス・マーケティングソリューションからリテールの会社に大きく舵を切るのですか?」というお問い合わせをいただくことがありました。私たちは「マーケティング支援を行うためにもリテールを強化しているのだ」というご説明を続けてきました。
ようやくそれが実を結んだ重要な年だったと思います。
2-c. 当社業績の変化②:単一チャネルに依存しない事業成⻑

この数字を支えていたのは、メディアの成長に左右されない収益基盤でした。途中から私たちはMAUではなく、ユーザーアクション総数を大きなKPIに置き換えました。
ネットとリアルの融合、特にリテールの成長がマーケティング支援やユーザーとブランドの出会いに大きく寄与することを、数字としてもようやく実証できたと思っています。
2-d. 化粧品業界の変化①:J-Beautyの苦戦と流通チャネルの空洞化

一方で、化粧品業界全体の状況については、次のステージに進むための変革のフェーズからまだ抜け出せていないと考えています。具体的には、大手3社の時価総額の合計は、コロナ禍前の2019年と比較して60パーセント減少しています。
日本の化粧品市場全体としても3パーセントから4パーセントのCAGR(年間平均成長率)で推移しており、依然としてインバウンドに大きく依存しているという事実があります。さらに、日本の化粧品の海外輸出額は直近3年間で25パーセント減少しています。
流通においても、EC化率は10パーセント未満と他国に比べて低水準です。百貨店はピーク時の店舗数から半減し、ドラッグストアも店舗数が飽和気味になってきています。
2-d. 化粧品業界の変化②:マーケティングの高度化とシステム投資の肥大化

マーケティングは非常に難しいフェーズに入っています。顧客との接点はますます複雑化、多様化、細分化しており、その中でAIが急速に台頭し、生活スタイルそのものに大きな変化を生み始めています。
それに伴い、システム投資コストが増加しており、ITやEC分野でも新しい投資とともに維持コストが増えています。セキュリティリスクが高まるにつれて、そちらへの投資も必要となっています。
このように、マーケティングの高度化と多角化に伴うシステム投資が求められる状況ですが、投資を行ったとしても、実際の営業収支と直線的に連動するわけではありません。
そのため、収益性やROIの維持について、経営サイドとしては非常にコントロールやハンドリングが難しい時代に入ったと感じています。
2-d. 化粧品業界の変化③:際立つ@cosmeの強さ

このような状況の中で「@cosme」は、ネットとリアルを一気通貫し、両面のデータを多面的に捉えることで生活者の理解を深め、ネットとリアルの両方を活用したプラットフォームを通じてブランドや生活者を支援するサービスとして、ようやく確立されてきました。
私たちの強みとして挙げられるのは、「ネットの会社がリアル店舗を始めたから、あるいは流通に強い会社がネットサービスを買収したからといって、すぐにネットとリアルを融合させたサービスが実現できるものではない」という点です。
こちらを実現するためには、生活者中心の市場を構築するための組織体制が必要です。そして、私たちがその組織体制を整えていることは、数字では表せない私たちの強さだと考えています。この強みを背景に、この業界での独自のポジションを確立できていると感じています。
3. AIが引き起こす業界の変化

AIは新たな変化を生み出そうとしています。これまで以上に生活者のスタイルが大きく変化しており、化粧品選びもさらにAIに依存するようになるでしょう。
しかし、大事なのは、AIが提示した答えの次にどのような一歩を踏み出すかということです。店舗を訪れることや人に相談することなど、さまざまな選択肢が考えられます。
何をもって次の一歩を選択するのか、このステップや次の体験をどのように作り上げるかが非常に重要になっています。AIは、入口の選択肢が1つ増えたにすぎないのです。
10年前にアプリが普及したことや、20年前にGoogle検索が伸びてきたことと同様に、最終的にはユーザーが商品を購入する前の選択肢が増えただけであり、AIからの次のステップが非常に重要になっています。
化粧品業界では、AIの活用によって、あるブランドでは研究開発が加速し、ブランドや商品の開発スピードが短縮されるという発表があります。
しかし、ブランドの開発スピードが向上し、世の中にブランド数が早く増えたとしても、この増加が生活者の課題解決につながるとは限りません。
すでに市場には、オーバーブランドと思えるほど多くのブランドや商品が存在しています。重要なのは、正しい出会いを設計することが不可欠であるという点です。
ただし、マーケティングにおいて各企業はユーザーデータを収集し、ユーザーの分析を行い、レコメンドやAIに注力することでユーザー理解を進めています。しかし、生活者のデータを深く理解しているからといって、それが生活者がそのブランドを好きになることに直結するかといえば、それは別の話です。
これは人間関係にも当てはまるでしょう。例えば、興味を持っている相手の情報を把握し、その人の生活パターンを理解したとしても、こちらがどれだけその相手を理解したからといって、相手が自分を好きになってくれるとは限らないのです。
重要なのは、相手に好きになってもらえる可能性を高めるためのプロセス設計です。これが非常に重要であり、視点を逆転させるべきだと考えています。次の時代に求められるのは、「ユーザーがブランドを好きになってくれるプロセスをいかに設計できるか」だと思います。
このプロセスは、ネットとリアルの境界を越え、口コミやAIなどあらゆる要素を統合して構築していく必要があります。それこそが、これからの時代において最も重要な取り組みだと考えています。
4. これからの市場競争における要諦

これからの市場で強くなっていく会社はどのような会社でしょうか? それは既存事業の構造の延長線上にはないということは、みなさますでにおわかりだと思います。
既存サービスの強化において、単に店舗数やリーチの拡大を図るのではなく、ネットとリアルが密接に連携する中で、生活者がブランドを好きになるプロセスを再設計することが求められます。
さらにそのことを、日本やその他の特定の国にとどまらず、国境を越えたプラットフォームの中できちんと実現していくことが重要です。
ネットとリアルの融合、ブランドを好きになっていくための体験設計、さらにグローバル展開を実現できる企業こそが、次の市場競争において強い企業となると、私たちは考えています。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望①

アイスタイルの成長戦略については、次の未来を見据えた3つの施策を考えています。「@cosme」のアップデート、新領域への事業展開、そして新しいグローバル展開を踏まえたBeauty経済圏の確立です。
「@cosme」のアップデートと新領域への事業展開については、以前の中期事業戦略でもお話ししました。スライド左側のグラフを、スライド中央の円グラフの中に当てはめると、これまでご説明してきたグラフになります。
特に「@cosme」のアップデートでは、これまでご説明してきたメディア、EC、店舗という三位一体に加え、SNSを含めたネットやイベントなど新しいエリアのサービス、さらにAIを統合し、三角形から六角形へのサービス進化を目指します。
このヘキサゴンのサービスに向かって「@cosme」をどのようにアップデートしていくかが、私たちの次の大きな一歩となります。
このような戦略を踏まえ、生活者がブランドを好きになる体験を設計し、新領域へと展開していきます。そして、グローバルも含めた新しい経済圏を確立することが、私たちの新しい成長戦略となります。
(参考)日本・韓国の化粧品輸出額 増減率推移

特に現在、韓国と日本の化粧品輸出額を比較すると、過去3年間で韓国は急成長し、日本の約3倍に達しています。一方で、日本は2021年に新型コロナウイルスの影響がピークとなったことで、投資が難しくなったためか、減少傾向が続いています。
この状況は非常にもったいないと言えます。業界に可能性があることは感じていますし、国全体としてもこれを大きな成長戦略の機会として捉えています。
(参考)オールジャパンでJ-Beautyの復興へ

昨年から、日本の化粧品業界の国際競争力を高めるために官民一体となって本格的に動いています。昨年12月には経済産業省から「化粧品産業競争力強化検討会」が立ち上がり、内閣府からも「新たなクールジャパン戦略ワーキンググループ」が発足しました。
与党の自民党でも「J-Beauty産業研究会」として国家戦略化に向けた政策提言が進められています。さらに、経済産業省が海外展開目標額として2兆円という現状比で約4倍の目標を表明し、具体的な数字を示してきました。
この業界に携わって30年近くになりますが、これまでなかなか動かなかった国が動き、この間の成長戦略の17分野に化粧品領域も含まれるようになりました。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望③:グローバル展開

韓国のコスメ市場の世界的な成長は、日本の化粧品市場の成長可能性を示唆しているにすぎないと考えています。
ご存じのとおり、「TikTok」や「YouTube」、「Instagram」といったすべてのプラットフォームが国境を超えて展開されています。あとは、それらを活用して、どのようにブランドやマーケティングを介在させ、具体的なサービスとして成長させていけるかが重要です。
私たちは、このような状況の中で、新しい東アジアのビューティ経済圏を着実に構築していきたいと考えています。
5. アイスタイルの成⻑戦略と展望④

海外も含めた「Beauty経済圏」の確立に向けた施策は、これから始めるのではなく、すでにこの数年間で私たちは手を打ってきています。
実際に、スライドの左側にある円の上の赤い三角形、つまり「三位一体」に関しては、より強化するためのサービスも設計しています。さらに新しい青い三角形を含めて六角形に進化させるための「@cosmeデザインLab」も、社内で立ち上がり、「@cosme」のアップデートに関する検討が進んでいます。
サービスとしては、トレンダーズさまとのソーシャルメディア強化を含め、「Tokyo Beauty Week」という新しいリアルでのイベントも進行中です。さらに、「ASIA BEAUTYTECH AWARDS」という取り組みも進行しており、AIを活用した新しいサービスの開発も進んでいます。
新サービスの観点では、「@cosme+」というサプリメント事業も立ち上がりました。これが第一歩となります。また、フェムケア系のサービスとしては、「carefull」というサービスが昨年当グループに参画し、次のステージへ進み始めています。
Beauty経済圏の確立に向けて、コロナ禍で一時撤退を余儀なくされた中でも、私たちが提供を続けてきたサービスがあります。韓国では「GLOWPICK」、そして「@cosme(台湾版)」、中国では「@cosme in Tmall Global」、さらに「Over The Border」というソーシャルサービスも展開しています。
昨年、「@cosme HONG KONG」という旗艦店でリアルでの展開を開始しました。この旗艦店では、韓国・日本・台湾の各ブランドから商品を集め、日本よりも多くのブランドが揃う新しいかたちで展開しています。
これまでスライドで示した赤い三角形を強化していくとお伝えしてきましたが、これからは次のステージへと入り、私たちの次なる大きな成長につなげていきたいと考えています。
これからの発表では、私たちがこの3つの成長戦略に向けてどのように進化していくのかということを踏まえて、お話ししたいと思います。
株主還元強化を含む資本政策の概要

株主還元強化を含む資本政策についてです。特に重要なのは、Amazon.com, Inc.が保有する第24回新株予約権を私たちが取得し、消却することです。さらに、自己株式の取得と安定的な株主基盤の強化という、3つの大きな取り組みを発表しました。
1. 第24回新株予約権(潜在株式)の取得①:概要

まずAmazonさまの新株予約権ですが、全体として4,300万株という、全体の40パーセント以上の希薄化を含む大きなものでした。当時、私たちはAmazonさまに対して、2つのCBと新株予約権の発表を行いました。
CBは資本の増強を目的として借入金の返済に充当し、新株予約権は次の事業成長を見据えたシステム成長やセキュリティ投資に使用すると説明しました。
CBについては、昨年実際に株式に転換されました。新株予約権については、Amazonさまと討議を重ねてきましたが、私たちの事業成長が予想以上に早く進んだことにより、システム成長やセキュリティ投資について新株予約権を行使せずとも対応できると判断しました。そのため、今回は新株予約権を行使せず、当社が買い取って消却する計画としました。
これにより、大きな希薄化を伴うことなく、次の成長に進むことができたと考えています。
1. 第24回新株予約権(潜在株式)の取得②:業務提携の継続・強化

Amazonさまとの業務提携については、今後もより強く継続・強化していくことを両社であらためて認識し、次の一歩を進めています。商取引に関する契約も新たに更新予定で、取り扱い商品の「@cosme SHOPPING」も引き続き大きな成長を遂げています。
2・3. 自己株式の取得決定・増配

株主のみなさまに対しては、自己株式の取得として28億円、株式総数で最大750万株の取得を視野に入れた対応を実施することになりました。また、配当については前期の倍となり、金額としてはまだ小さいものの、1株あたり1円から2円への増配を行うことになりました。
これによって、従来のアイスタイルにとどまらず、次のフェーズへ進むためのスタート地点となる土台がようやく整い、第一歩を踏み出すことができたと考えています。こちらを基盤として、さらなる事業計画と成長を目指し、今期の第1期の事業計画を策定してきました。
EBITDA / 年別推移

EBITDAについてです。再掲となりますが、稼ぐ力が向上しており、今期は70億円、80億円と、次の成長に向けてさらに稼ぐ力を伸ばしていきたいと考えています。
今期の事業計画については、遠藤からご説明します。
2027年6月期 事業計画 / 概要

遠藤:2027年6月期の事業計画についてご説明します。2027年6月期の事業計画では、売上高は900億円を目標とし、営業利益は50億円を計画しています。こちらは前期比で売上高がプラス10.0パーセント、営業利益がプラス22.4パーセントの増加を見込んでいます。
先ほど吉松がご説明したとおり、新株予約権を消却するにあたり、特別損失を計上するため、純利益は14億円となります。特別損失計上前の計画では34億円を見込んでいましたが、最終的にこの消却を決定し、純利益は14億円に着地する見込みです。1株当たり配当金は2円を計画しています。
2027年6月期 事業計画 / 各セグメント

各セグメントの計画についてです。マーケティング支援事業では前期比11.7パーセント増の売上高135億円を目指しており、営業利益は前期比5.2パーセント増の37億円を見込んでいます。
この点については、みなさまからさまざまなご質問をいただくかもしれません。売上高は前年比11.7パーセントの成長を予測していますが、営業利益についても、事業自体の成長はさらに上回ると見ています。ただし、マーケティング支援事業にはアイスタイルグループのテクノロジー関連の費用など、さまざまなコストが含まれています。
具体的には、セキュリティやデータベースの再整理など、近年5年間にわたってテクノロジー関連、特にセキュリティやデータベースの移行等に関わる投資を行ってきました。
その投資分が今期から償却費として反映されることもあり、営業利益がやや弱含みとなる見通しです。しかしながら、トップラインのさらなる成長により、従来と同様の成長性を今後示していけると考えています。
リテール事業においては、売上高が前期比8.1パーセントの成長、営業利益が前期比13.9パーセントの成長を見込んでいます。グローバル事業では、売上高が前期比39.0パーセントの成長を目指しており、営業利益についても前期は赤字でしたが、今期は黒字化を目指します。
2027年6月期 事業計画 / 計画の前提

マーケティング支援事業については、既存の広告・ソリューションサービスにおける取引ブランド拡大に近年努めてきましたが、こちらをさらに伸ばしていきます。
新しい広告サービスについては、以前お話ししたとおり、今期の後半に立ち上げる予定ですので、事業計画上ではほとんど考慮していません。
ただし、そのための先行投資として、DX人材やAI人材の確保、セキュリティコストなどの費用を進めていくため、利益成長は限定的になる見通しです。
リテール事業においては、新たに2店舗の新規出店と3店舗の既存店改装を計画しています。既存店改装といっても、基本的には店舗規模を拡大する内容であり、かつての新規出店に相当するような規模の改装を計画しています。
ECでは、メディアや店舗との連携をさらに強化し、「@cosme BEAUTY DAY」も順調に成長していることから、新たなお客さまの獲得を進めていきます。
グローバル事業については、冒頭で申し上げたとおり、中国の越境EC事業が非常に順調に成長しています。この成長に加え、「@cosme HONG KONG」はオペレーションの改善がほぼ完了し、これから攻める段階になったと考えています。そちらの利益貢献を下期から見込んでおり、セグメントのトータル黒字化を今期目指していきたいと考えています。
営業利益の増減要因 / 販管費別

全体で見た営業利益の増減要因についてです。前期は営業利益が40億9,000万円でしたが、今期は売上総利益がプラス38億円となります。一方で、人材関連費用が11億円、システム関連費用が6億円、物販関連費用が5億円、その他費用が7億円の増加を見込んでおり、最終的な営業利益は50億円に着地する見通しです。
人材関連費用については、マーケティング支援事業の体制強化を図るとともに、国内での新規出店が進み、店舗数の増加に伴って人員が増えることで、これらのコストを見込んでいます。
システム関連費用については、セキュリティコストやシステム基盤の改修を進めています。短期的な視点ではなく長期的なものを見越し、この分野への適切なコスト配分を会社方針として掲げているため、費用は今後も増加する見込みです。
ECに関しては基幹システムを全体的に見直すプロジェクトを継続しています。この投資は今期も継続中です。物販関連費用は変動費であるため、大きな問題はないと考えています。その他費用については、大きな投資ではありませんが、積極的に攻めていくための費用として計上しています。
リテール(オンライン・オフライン)店舗:今後の新規出店・改装の予定

店舗展開についてです。今期は新規で2店舗、増床で3店舗を計画しています。新規店舗としては、2026年10月に京都河原町、2027年6月に福岡天神に新店舗をオープンします。なお、福岡天神店のオープンは今期の終わりにあたります。
増床については、来月に東京有楽町、2026年11月に函館を予定しており、函館については増床計画ながら、ほぼ同面積となります。さらに、新たに1店舗を増床する計画があり、時期は未定ですが今期中の実施を予定しています。
来期については、新規店舗を1店舗、増床を3店舗計画しています。特に大規模な増床計画も含まれていますので、発表可能なタイミングになりましたらあらためてお知らせします。
2029年6月期に関しては、現在1店舗の増床を決定していますが、他案件についても多くのご提案をいただいています。そのため、吉松のご説明のとおり、リテールをしっかりと伸ばす一方で、BtoBビジネスも成長させていきます。
私たちは、ネットとリアルの融合を実現するにあたり、新しい店舗を次々と作るのではなく、増床などを通じてさまざまな体験ができる場を提供し、ネットとリアルがより密接につながる体験を創出していきます。このような取り組みにより、店舗での大幅な売上・利益の成長を見込んでいます。
連結業績の推移(売上高・営業利益)

連結業績の推移についてです。中期事業目標として掲げていた計画は、今期の900億円から1,000億円を目指し、順調に進んでいる状況です。営業利益についても、今期は50億円で、目標として掲げている利益率8.0パーセントの80億円の達成に向けて進行中です。
私たちとしては、売上高1,000億円や営業利益80億円といった目標はあくまで事業を進めていく上での通過点と考えています。先ほど吉松が述べた戦略を実現していくことで、さらに大きなビジョンを目指したいと考えています。
そのため、縮小均衡ではなく、投資が必要な部分には適切に投資を行うという従来のスタンスを崩すことなく継続していきたいと思っています。
ROE / FY27見込み

ROEについてです。自己株式の取得や特別損失の計上などが影響し、一時的に6.6パーセントまで下がります。しかし、明確な意思を持って進めてきた結果であり、一過性のものであると考えています。その点についてはご安心いただければと思います。
特別損失計上前の最終利益では、ROEは13.1パーセントとなります。前期より下がっているように見えるのは、一部税金の計算が変更された影響によるもので、事業には大きな影響はありません。その点をご理解いただければと思います。
想定質問と回答

「想定質問と回答」として、一部、みなさまから寄せられるであろう質問を記載しました。
「インバウンド需要はどうなるのですか?」というご質問に関しては、前期に影響を受けたため、リテール事業に前期下期の実績ベースで反映しています。そのため、大きなずれはないと考えています。
マーケティング支援事業については、中東情勢による地政学的リスクなどはあまり影響しないと見込んでいます。
ECの倉庫移転に伴う発送遅延については、今年5月の時点で倉庫業務が正常化に向かい、解消されています。倉庫管理を委託している物流代行会社との交渉も終わり、補償金は前期の業績に反映済みです。そのため、今期の業績に対するマイナス影響は一切ありませんので、ご安心ください。
グローバル事業について、「『@cosme HONG KONG』は大丈夫なのか?」という疑問にお答えすると、店頭や倉庫のオペレーションがようやく落ち着いたところです。そのため、これからは攻めに転じる時期だと考えています。
私たち自身も生活者理解をさらに深め、本当に生活者に支持され、愛される企業となることを目指しています。特に香港市場に関しては、生活者の視点をあらためて見直しながら攻めのフェーズに移行する計画です。今期の下期から黒字化を実現するべく、現在進めています。
以上、今期の計画についてご説明しました。最後に吉松から、あらためてご挨拶します。
吉松:前期の実績と今期の計画について簡単にご説明しましたが、次の新しいフェーズに明らかに入っていると社内メンバーも感じています。
数字としても確実に達成していきたいと思いますし、先ほどの話にもありましたように、投資すべきところにはしっかり投資し、還元すべきところにはしっかり還元していくという、新しいアイスタイルになったと考えています。
みなさまのご指導を今後ともいただきたく思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
質疑応答:Beauty経済圏の東アジアへの集中と国際展開戦略について

司会者:「成⻑戦略について質問です。Beauty経済圏は中華圏などに偏っている印象です。ここもとインドネシアやフィリピンなど、急激にアジアのEC化が進み、Kビューティーも急伸しています。アジアの対象地域をカントリーリスクの高い中華圏依存度を下げる選択肢はないのでしょうか? 地域戦略の補⾜をお願いします。
また、K-Beautyからのインプリについてです。K-Beautyは先行指標と発言がありました。K-Beautyはインフルエンサーマーケティングの活用、OEM中心など、いくつか特徴があります。何を採用強化していくのでしょうか?
また、AI活用のマーケティングコンサルのさらなる強化の部分で、期待するとよいですか? 27年6月期下期に立ち上がり、28年6月期にはどのくらい利益貢献するのでしょうか?」というご質問です。
菅原敬氏(以下、菅原):取締役副会長兼CFOの菅原から回答します。今、3つのご質問をいただいたと思います。
1つ目は、海外戦略において、東アジア、中華圏を中心にターゲットにしているが、大丈夫なのか? というご質問でした。
2つ目は、K-Beautyを参考にすると、先行指標だというコメントがありましたが、どのようなものを取り込むのか? というご質問でした。
3つ目は、AI活用のマーケティングコンサルティングの強化は、どのように期待したらいいのか? というご質問でした。この3つのご質問について、1つ目については私のほうから回答します。
我々は、ひとまずは東アジアに集中したいと思っています。これはむやみに対象国を広げてリソースを分散することは、競争力強化につながらないと考えているからです。
では、なぜ東アジアと考えているかというと、中華圏に傾倒しているわけではなくて、「@cosme」という我々のブランドの認知率が高い国が東アジアだからということです。
我々は2012年から東アジアでビジネスを始めているので、相当知名度を持つことができています。まずはこれをうまく活用するのがねらいで、その先に東南アジアというコメントがありましたが、東南アジアにおいて一つひとつの国はインドネシアを除いて大きくありません。
東南アジア、あるいは北米、ヨーロッパのどのような国に、どのような戦略で入っていくのかは、個別に、当然その先として検討したいと考えています。
濱田健作氏(以下、濱田):上級執行役員兼CSO兼経営戦略室長兼越境貿易ユニット長の濱田です。菅原が申し上げた1つ目の質問について補足すると、私たちにとって東アジアでの成功の基盤が必要であると考えています。
その中でも香港の役割が非常に重要であり、香港の店舗成長とともに、ネットとリアルをどのようにつなげていくかが重要な実現ステップになります。このことを踏まえて東アジアを起点とし、その先に東南アジアへの進出を考えています。
さらに、日本を中心に考えた場合にインバウンドという新たな需要が生まれています。その結果、北米や欧州への拡大の可能性も見えてくるのではないかと思います。
このような可能性を実現するためには、まず足元をどのように強化するかが重要であり、その基盤を東アジアで構築していく方針です。
吉松:2つ目の韓国のK-Beautyに関して、おっしゃるとおり、インフルエンサーをどのように活用していくのか等、さまざまな指標があります。そちらについて、現時点では具体的に発表できる内容は、正直なところまだありません。
ただ、菅原のご説明にもあったとおり、私たちはすでに韓国や香港、台湾、その他の領域で長く活動してきましたので、これまでのリソースを再構成しながら、さまざまなアクションを進めていきたいと考えています。
この点については、これからまさにトライしていく段階だとご理解いただければと思います。
遠藤:3つ目のコンサルティング事業について「いつ利益に貢献するのか」という点ですが、今期ではなく来期になるかと思っています。この事業を丸1年取り組んできました。
その中で判明したこととして、「@cosme」のデータはマーケティング戦略の立案において非常に有効であると、私たちも認識しています。また、実際に多くのクライアントからリピートで案件をいただいている状況から、その有効性が示されています。
私たちだけでなくクライアント側にも「@cosme」のデータが非常に有用であることをご理解いただけているのではないかと思います。
また、ビューティ産業の現在のプレイヤーだけでなく、先ほど吉松のご説明にもあったように、国を挙げてビューティを一つの産業として確立し、グローバルに通用させようという流れもあります。さらに異業種からの参入も増えてきています。
少し時間がかかってしまいますが、そのあたりをターゲットにしながら事業を拡大していきたいと考えています。
質疑応答:マーケティング支援事業の計画の保守性と利益見通しについて

司会者:「今期のマーケティング支援事業の増収率は、前期比12パーセント程度を見込んでいます。第4四半期実績が前年同期比20.4パーセントの増収だったことを踏まえると、やや保守的にも見えます。
足元は受注好調とのことですが、上期は強めで下期に一定の減速を見込んだものなのか、足元の状況も十分に織り込んだ前提なのか、考え方を教えてください」というご質問です。
遠藤:ご質問をいただくと思っていました。私たちとしても、この計画を最終的に決定する上で、さまざまな議論を重ねました。スピード感を弱めているわけではありませんが、若干保守的に見ている部分があるのも事実です。
ブランド数の拡大は順調に進んでいます。上期が強く、下期に一定の減速を見込んでいるわけではないものの、ある程度保守的に見ている部分があるのは事実です。そのため、今回の計画は下限として捉え、必ずクリアすることを前提とする思いで、最終的にこの計画で決定しました。
営業利益については、マーケティング支援事業に計上されているセキュリティやデータベース関連のコストが全体的に上昇していることもあり、そちらを考慮して伸び幅は若干限定的になると見ています。
現在の計画は必ず達成し、それを大きく上回ることを意識して、今期はマーケティング支援事業を進めていきたいと考えています。
質疑応答:マーケティング支援事業の新サービス開発と営業利益率への影響について
司会者:「マーケティング支援事業は、今期は先行投資期ということで理解しました。来期以降にトップラインの成長が顕在化する想定でしょうか? 再来期に営業利益率8パーセントを達成するためには、同セグメントのトップライン成長、利益率向上が必要となると思います」というご質問です。
遠藤:おっしゃるとおりです。マーケティング支援事業については、これまで体験型コンテンツを用いて事業を強化してきましたが、新しいアドオンサービスとして、よりユーザー行動に基づいて新しい出会いを創出する広告サービスを現在鋭意開発中です。
この事業のインパクトが出るのは、来期や再来期になると考えています。ご指摘のとおり、この成長が8パーセントの営業利益を達成できるかどうかの重要なポイントになると思われます。そのため、現在この開発を鋭意進めており、今期の最終段階でリリースできることを目指しています。
少なくとも来期には、しっかりと事業インパクトを出せる状態に持っていきたいと考えています。
吉松:1点補足します。次の事業の成長投資をどのセグメントに計上するかについては、私たちも現在悩んでいます。現状では、どうしてもマーケティングソリューションのセグメントに、セキュリティコストなど、先ほどスライドでご説明した赤い三角形と青い三角形のさまざまな要素がすべて含まれています。
事業のセグメントを大きく変えるつもりはありませんが、投資の見方やどの利益率をどう報告していくかについては、あらためて検討する必要があるかもしれません。
質疑応答:Amazonとの商取引契約更新について

司会者:「Amazonとの商取引の契約更新について、提携の維持以外に更新する内容はありますか?」というご質問です。
菅原:Amazonとの商取引契約の更新に関しては、単なる維持だけでなく、適時開示に関わる可能性があるため、追加項目を盛り込んでいきたいと考えています。
質疑応答:営業利益80億円達成のための戦略について
司会者:「再来期の営業利益80億円に向けて、成長率を上げていく点で重要と考えていることを教えてください」というご質問です。
菅原:先ほど遠藤が述べたとおり、再来期の営業利益80億円に向けてマーケティング支援事業を中心に営業利益率を向上させていく必要があると考えています。
質疑応答:香港事業の課題について
質問者:数字の話が多かったため、少し異なるテーマで質問します。香港事業の立ち上がりがうまくいかなかった要因として、オペレーションに関する話が多かったと思いますが、内部環境と外部環境の双方の要因があるのではないでしょうか?
それらの要因についてもう少し整理し、香港事業の黒字化に向けて、「@cosme」らしさがどこにあるのかを具体的に教えてください。
戦略を描く上で、マツキヨココカラ&カンパニーやドン・キホーテのような競合がある中で、どのように成長し、黒字化を実現していくのかをお聞きしたいです。
濱田:香港については、おっしゃるとおり、内部要因と外部要因が明確に存在すると考えています。内部要因としては、日本で行っている取り組みを丁寧に展開しているつもりですが、生活者理解の面では日本ほど深まっていない印象があります。
このため、現地の方々、すなわち生活者や旅行者を含め、現地で求められるニーズについてさらに理解を深める必要があります。
その上で、一歩あるいは半歩先を行くような体験の創出が求められています。具体的には、店舗内での体験はもちろん、アプリやSNSを通じたネット上での体験についても、日本と比較すると課題があると感じています。これらが、香港における明確な内部要因です。
これらに加えて、オペレーション面でも課題がありましたが、半年をかけて改善を進めました。このため、今後は生活者に近い部分での工夫を進めることが、香港において重要な取り組みの1つになると考えています。
外部要因としては、昨今の世界的な環境変化の影響が挙げられます。特に大雨の影響については、日本同様に香港も大きな被害を受けています。
旗艦店は、その場所柄からどうしても少し歩かなければいけない距離にあるため、大雨や台風が来ると客足が減ってしまうという課題が、オープン後に具体的に感じられました。
天候そのものを変えることはできませんが、どのようなコミュニケーションを展開できるか、まさにネットの活用が重要になると思います。この点を強化していくことが、外部要因に対応するために私たちが取れる手段だと考えています。
質疑応答:中国越境ECの好調の要因について
質問者:中国越境ECが好調な理由やその背景について教えてください。
濱田:私たちがコロナ禍以降を振り返った際、中国市場を単に13億人のマーケットとして捉えるのではなく、日本や日本の化粧品に対して特に興味を持つ方々に注目しました。
そのような方々がどのような商品を望んでいるかを、国内のデータや海外のSNSを分析しながら丁寧に理解する取り組みを進めてきました。その結果、地道ではありますが、商品の調達と販売が着実に向上していると考えています。
質疑応答:東アジアにおけるプラットフォーム連携について
質問者:プラットフォーム構築において東アジアを対象に取り組むというのは、国や地域を越えて連動を図るということだと考えます。その具体的な進め方についておうかがいしたいです。
もし連動を図らないのであれば、東アジアに限定せず、「@cosme」のブランド認知が高い国や地域をつなぐという選択肢もあると思いますが、その点についての見解をお聞かせください。
濱田:私たちは日本、韓国、台湾、香港といった地域で現地のメディアを持ち、それらを活用したWebサービスを展開しています。これにより、口コミが蓄積される仕組みを構築し、生活者の声を理解できる点が私たちの強みです。これらの声を翻訳するなどして、各国で価値化する取り組みを進めています。
その代表的な例として「@cosmeベストコスメアワード」というアワードがあります。このアワードを4ヶ国で同時に発表し、アジアにおけるベストコスメを広げていく仕組みとして連携を深めていきたいと考えています。
最後に、もう1つ連携が可能なのは、マーチャンダイジングの分野ではないかと考えています。先ほど述べたとおり、韓国の化粧品は韓国国内で人気があるだけでなく、現在では世界中で活躍しています。
そのような商品の調達も可能だと思いますし、今後は間違いなくK-Beautyに並ぶほどC-Beautyが広がっていくと予想されます。そのため、中国における魅力的なブランド商品の開拓も連携の可能性があると考えています。このような取り組みを、仕組みと仕掛けを通じてつなげていくというイメージを持っています。
質疑応答:店舗拡大の方針について
質問者:私の記憶では、店舗数を将来的に80店舗程度にするというイメージがあったように思います。一方で、先ほどのお話では、店舗数を追うよりも売り場面積を広げることや、国内における売り場面積の価値を高めることが重要であると感じました。その場合、どれほど売り場面積を広げていくかという指標について教えてください。
遠藤:「店舗数よりも面積に注力しているか?」というと、特にそうではありません。また、「店舗数に強いこだわりがあるか?」というと、それも違います。
どのような考えで出店を進めるのかという点ですが、私たちはオンラインとオフラインをいかに融合させるかを長年考えながら取り組んできました。
そのため、単純に店舗を出したい場所に次々と出店するということではなく、オンラインユーザーの分布、「@cosme」を利用している人や「@cosme SHOPPING」を利用している人が、リアルの場で接点を作りやすい場所、また、押さえておくべきマーケットを考えながら、どの面積で商圏をカバーするかを議論しています。
現時点では、「@cosme」ユーザーが多いにもかかわらず、店舗が存在しないエリアがいくつかあるため、それらを優先的に埋めていく方針です。そのエリアの店舗については、小型店舗をより大きくする対策も進めています。
例えば、東京近郊では「@cosme」ユーザーが非常に多いため、まだカバーできる余地が大きいと考えています。地方についても、時間をかけながらエリアごとに出店を進めていきたいと思っています。
ただし、出店の方法としては、完全にゼロからお店を作るだけではなく、一部フランチャイズにも取り組んでいますし、今後はM&Aの可能性も出てくると考えています。そのように、マーケット全体をどう押さえていくかについての議論が必要だと考えています。
質疑応答:生活者視点の組織作りについて
質問者:生活者視点の組織作りについて、どのように考えていらっしゃるかを教えてください。
遠藤:アイスタイルはもともと「生活者中心の市場の創造」を掲げて活動を行ってきました。そのマインドは会社の中に浸透していると考えています。
ただし、ビジネスが成長するにつれて、生活者視点よりもビジネス的な観点が優先される場面がこれまでにもありましたし、直近でもそのようなケースがあったと思っています。
そのため今期は、生活者視点で物事を考えることが「@cosme」の思想そのものであるという位置付けを再確認しました。
その視点で、各サービスで個別に完結させるのではなく、「@cosme」、eコマース、店舗を一体で捉え、生活者視点でどのようにビジネスを構築するかを考える組織に変更しました。この3つを束ねて、1つの疑似カンパニーのように運営しています。
このように、ネットとリアルを単独で完結させずに本当に融合させ、生活者を中心に据えた新たなブランドとの出会いを提供する組織へと変革してきています。
その成果は今後大きく現れると考えていますし、今回のタイミングでこのような組織変革を実施してよかったと思います。さらに進化を続けていくのではないかと考えています。
質疑応答:「@cosme」が創り出す新しい価値について
質問者:3つの成長戦略はよく理解できました。しかし、御社の歴史を振り返ると、化粧品業界の常識を少し壊しながら、新しい需要を創造してきた会社であると私は考えています。
そう考えると、その3つの戦略を実施しつつ、AI時代やJ-Beautyといった流れの中で、「@cosme」が新しい価値を生み出すにはどのようにすべきか、また、どのように考えているのかについて教えてください。
吉松:新しい価値についてお答えするのは非常に難しいテーマです。しかし、あらためて質問をうかがって、私自身が今回の発表の中で考えたのは、ユーザーがブランドを好きになっていくプロセスと、マーケティングの在り方についてです。
これまでは、ブランドがどのように情報を伝えるのか、どの枠を押さえるのかといった観点に焦点が当てられてきました。ネットの世界においても、予約型や運用型など、ブランドが主語になって語られてきたように思います。
しかし、ここで私たちが生活者がブランドを好きになるプロセスを設計できるようになること、それが最も重要なことではないかと思います。
これまでの「@cosme」、EC、店舗に加えて、ソーシャルやリアル、そしてAIとの連携が求められる時代になっています。特に、AIは完全に生活者一人ひとりに寄り添い、育まれるような世界をつくり出す可能性を秘めています。そこにおいて、私たちがブランドとのつながりをどのように形成するのか、その設計こそが最も重要であると思っています。
特に重要なのはネット側の進化です。「@cosme」がどのようにアップデートできるかが鍵となります。これまでの口コミを中心としたサイトの枠を超え、より大きな「@cosme」の可能性を広げることが今の課題です。そのために、個人的にも会社としても「@cosmeデザインLab」の構築に時間を割いて取り組んでいます。
これは日本国内にとどまらず、全世界を対象とし、本当に生活者の本質をどう変えていけるかが問われる話です。
先ほどプラットフォームの東アジア経済圏について触れました。「今まで日本から出たアプリで強くなったのはあるんだっけ?」という疑問がよく聞かれます。まだ完全にコンセンサスを得ているわけではありませんが、このビューティ業界において「@cosme」の次のアップデートが実現すれば、少なくともアジアや世界に通じるようなサービスになっていく可能性があります。それが達成できれば、さらに大きな可能性が広がるのではないかと考えています。
グローバルの各ブランドとの対話を重ねる中で感じるのは、「『@cosme』みたいなのは他にはないんだよ」とも言われる日本独自の特性を活かしつつ、化粧品を愛するオタク層にしっかり向き合った独自のサービスを世界へと進化させることができればすばらしいということです。
それが実現すれば、私自身もたいへんうれしく思いますし、現在そのための「@cosmeデザインLab」を構築しています。
一方で、ブランドについては、日本のユーザーを意識しない「俺の化粧品ブランド、もう気づくと9割が中国の人で、残りがインドネシアで、残りが韓国で」といったようなブランド開発を日本のブランドが進めるような新しい世界があっても良いのではないかと考えています。
質問者:それでは、その好きになるプロセス作りのような部分が「@cosme」らしさとして、他の企業より先行しているという理解でよろしいですか?
それとも、競合も同じような部分を非常に意識しており、現在の時代に合ったブランドを愛してもらえるユーザー作りに取り組んでいるため、そこに対して「@cosme」らしさを示していくという理解でよいでしょうか?
吉松:他の企業もおそらく狙っていると思います。そのような中で、実際に私たちが持つ実現力が最大の違いだと思っています。やはり、どこかと協力するとしても、組織を越えるのは容易ではないため、そこが私たちの最大の強みだと考えています。
質疑応答:J-Beauty成長のための課題について
質問者:J-Beautyについてですが、官民一体に関するお話もありました。最近では、各ブランドがJ-Beautyを非常に意識しており、さまざまな発表会でもその機会が増えているようです。
このJ-Beautyの飛躍のために、御社の役割として、どのように活性化や飛躍に貢献されるのかを教えてください。また、J-Beautyの成長に必要なことや課題について、現在どのようにお考えか教えてください。
吉松:現在、J-Beautyにおいて大きなテーマの1つとして議論されているのは、各ブランドが日本の化粧品ブランドをどのように伝えていくかという点です。このテーマはさまざまな場面で取り上げられており、それに伴って薬機法などの規制の見直しも進んでいると思います。
一方で、非常に重要だと考えているのは、ブランドを磨くことよりも、それを世界に届けるための流通を含めた仕組みをどのように構築するかという点です。この分野を大きく担っているプレイヤーが、現在のところまだいないというのが現状です。
世界を超えた流通の仕組みをどう構築していくかについては、もっと積極的に取り組むべきであり、私たちとしてもそこに可能性を見出すことができるのではないかと考えています。
次に、日本の化粧品ブランドを守り、育てていくことも重要だと思っています。現状、日本の化粧品ブランドが海外ブランドや外資系ファンドなどに買収されるケースが増えており、日本のブランドや企業、資本がより強くなる必要があると感じています。
こちらに対しては明確な答えがまだ出せていませんが、日本のブランド力を戦わせると同時に、それを支援していく資本としての国との関係性をどのように築いていくかを考えること、そしてその可能性を伝えていくことも、私たちが担っている重要な役割の1つではないかと考えています。
質問者:「流通」というお話がありましたが、商品を届ける、展開するという部分に加え、情報を発信する面でも、やはり御社ならではの強みが発揮されるという理解でよろしいでしょうか?
吉松:おっしゃるとおりです。ただ、現状のアイスタイルだけでは十分に対応しきれない部分もあると考えています。そのため、業務提携や、場合によってはその先の資本提携、M&Aといった選択肢も視野に入れつつ、さまざまなかたちで海外市場やネットユーザーとの情報伝達の在り方やネットワークの構築を進めていきたいと思っています。
質疑応答:K-BeautyとJ-Beautyの違いと日本市場での課題について
質問者:K-Beautyとの比較についてですが、非常に大きな差があるというお話がありました。K-BeautyにあってJ-Beautyにはまだないもの、足りないものについて、どのように見ていますか?
菅原:あまりメディアでは取り上げられていないのですが、実際に韓国事業を視察し、韓国のメーカーやK-Beautyのエコシステムとお話をする中で、大きな違いとして感じたのは資本市場です。
韓国では、インディブランドのスタートアップに対するベンチャーキャピタルからの投資が圧倒的に豊富で、資金力が際立っています。ベンチャーキャピタルが次々とブランドへ投資を行い、それがうまくいかなかった場合でも買収するプライベートエクイティ(PE)ファンドが多く存在しています。この仕組みが、韓国のインディブランドのダイナミクスを支える基盤となっていると考えます。
質問者:それでは、日本ではまだこのような風土があまり整っていない印象がありますが、国を挙げて取り組むような流れになることで、このような面でも強化が進み、成長が期待できるということでしょうか?
菅原:すべての委員会に私たちが人を参加させているわけではありませんが、金融市場に関する施策も十分に考えられると思います。
また、韓国のブランドが未上場の段階で金融機関から資金提供を受けたり、買収してもらえる理由として、過去の成功事例となる良いディールがあったことが挙げられると思います。そのため、私たちとしてもそのような支援を今後行っていくことを考えています。
質疑応答:新しい店舗での工夫および体験価値の向上について
質問者:国内で店舗を増床したり改装する際、単純に面積を増やすことで商品数が増えるという点は理解しています。それに加え、店舗での体験価値や商品種類が増えること以外に、どのような工夫をされているのか、新しい店舗の工夫についてもう少し詳しくおうかがいできれば幸いです。
遠藤:現在、基本に立ち返る作業をしながら新しい取り組みも加えつつ、さまざまな試みを行っています。その中で特に進めていきたいと考えているのは、店舗というオフラインの場を利用している顧客が、よりオンラインを活用することで利便性を高め、さまざまな商品や体験に出会える仕組みを徹底することです。これまでも取り組んできたつもりではありますが、まだ十分ではないと感じています。
現在短期的に強化しているのは、店舗を訪れる顧客が「@cosme」や「@cosme SHOPPING」と積極的に触れ合い、新たな体験や出会いを生み出せるような仕組みの整備です。この部分をさらに強化していきたいと考えています。
一方で、基本的な取り組みとして重要視しているのは、先ほど吉松が申し上げたように、AIの進展が進む中での人の役割です。ソーシャルメディアが普及した時と同様に「本当に自分に適したものは何か」を求める際に、人の助けを必要とする流れがあると考えています。
AIが台頭している中でも、人の価値があらためて見直される時期が来ると認識しており、私たちとしても人が関与することで体験がより充実する点を重視しています。そのため、人材の育成およびトレーニングへの投資をさらに強化していく方針です。この取り組みが顧客の体験価値向上に大きく寄与すると考えています。
いろいろな体験を作る中で、肌診断なども実施していますが、それも結局は出会いを作るための1つのプロセスに過ぎません。人がどのように介在し、ユーザーさまがオンラインとオフラインをより行き来しやすく、出会いやすく、そして購入しやすいものにするかを考えています。
私たちはこれまで「試せる、出会える、運命コスメ」としてお店を運営してきましたが、この新しい時代において、そちらをどのように進化させていけるかを突き詰めたいと思っています。
質疑応答:香港の生活者の特徴と日本との違いについて
質問者:先ほど「香港については、内外どちらも振るわない要因があり、生活者に寄り添った分析を進めるべきだ」というお話がありました。この香港の生活者の特徴や、日本との違い、現在のトレンドについて、もう少し詳しく教えていただけると幸いです。
遠藤:これは私たちの見方にすぎないので正確かどうかはわかりませんが、1つ違う点として挙げられるのは気候の違いです。この点により売れる商品が大きく変わってきます。
また、ソーシャルメディアへのアクセス時間や、インフルエンサーの数や質についても、現時点では日本のほうが圧倒的に高いと考えています。そのため、情報感度という点では、香港の人々は日本の生活者よりも高いとは言えず、逆に影響を受けやすいと見ています。
そのような特徴を踏まえ、香港ではメディアだけでなく、「@cosme」やソーシャルメディアで何がユーザーに響いているか、どのようなものに興味を持っているのかをしっかり分析することが重要だと考えています。この分析を現在進めているところです。
もう1つは、香港の市場における消費者の動きを見てみると、スマートできれいなお店よりも、商品が豊富でごちゃごちゃしており、テンションが高まるような店に人が集まりやすいと感じています。
実際、私たちの店舗の1つであるモンコックのお店は、オープン時から順調で狭いながらも売上が高いのですが、店内は非常にごちゃごちゃしており、それでも常に人が訪れています。
そのような観点から言うと、これは日本にも当てはまりますが、居心地の良さよりもテンションが上がるかどうかが、私たちがリテールを手掛ける上での最大の強みであり、長所だったと感じています。しかし、事業規模が拡大すると「居心地を良くしたいよね」という方向に変化していくのではないかと考えています。
この点について、今期は「Back to Basics」を掲げ、さまざまな取り組みを進めています。本来の私たちの強みを見つめ直し、それが適切に表現されているかをあらためて確認する必要があると考えており、香港についても見直しを進めているところです。
質疑応答:美容医療/クリニック事業の展開について

質問者:3つの成長戦略のうち、「新領域への事業展開」には美容医療やクリニックが含まれています。そちらについて現時点での見通しや、具体的にどのようなかたちで展開を考えているのかを教えてください。
吉松:現時点で具体的にお話しできることはまだありません。美容クリニックの方々や美容の学会の方々とさまざまなお話をしながら、何ができるかを検討している段階です。なにか発表できる段階になりましたらお話ししたいと思います。
この市場が大きく成長していることは、みなさまもよくご存じだと思います。私たちもその成長とともになにか取り組めればと考えていますが、現在はまだその段階にあります。
