2026年8月24日に発表された、DIC株式会社ケミトロニクス事業説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
目指すポートフォリオ像とケミトロニクス事業の位置づけ
田中智之氏(以下、田中):本日はご多用のところ、DICケミトロニクス事業説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。経営戦略部門長の田中です。
まずは私から、長期経営計画「DIC Vision 2030」Phase2における、ケミトロニクス事業の位置づけについて簡単にご説明します。
当社は、2030年に向けて営業利益800億円以上を目指しています。収益の柱である3つの中核事業の質的転換を進めると同時に、半導体、バッテリー、フィジカルAIといった成長領域を新たな事業の柱として育成していきます。
その中でケミトロニクスは、半導体や電子材料といった高成長・高付加価値領域へのポートフォリオ転換を牽引し、成長事業の業績拡大を担う重要なドライバーとなります。
メリハリのある経営資源の配分により事業ポートフォリオ変革を加速

その大きな方針を実行に移すため、当社は経営資源の配分に明確なメリハリをつけています。
不採算およびノンコア事業からの撤退を着実に進める一方で、ケミトロニクス事業ではスライドで星印を添えている半導体用エポキシ樹脂、活性エステル型エポキシ樹脂硬化剤、フォトレジスト用ポリマー等、事業拡大が見込まれる領域に対し、段階的かつ積極的に能力増強を進めています。
これは単なる増産投資ではなく、当社の事業ポートフォリオをより成長性と収益性の高い構造へ転換するための、戦略的な資源配分であるとご理解いただければと思います。
ケミトロニクス事業の具体的な強み、現在の進捗状況、そして今後の成長戦略について、ケミトロニクス事業本部長の原からご説明します。
スピーカー

原穂氏(以下、原):ケミトロニクス事業本部長の原です。簡単に自己紹介します。私は2001年に入社し、コーティング樹脂の営業を経て、光学関係や電子材料のマーケティングに従事してきました。光学関係ではディスプレイ関連市場を多く担当していました。
その後、インドネシアの樹脂子会社の社長を務め、2024年1月に新設されたケミトロニクス事業本部長に就任しました。現在、3年目となります。今後ともよろしくお願いします。
“半導体の進化を、見えない化学で支える。DIC”

本日お伝えしたい内容は、こちらのスライドに集約されています。「DICは、化学の力で、エレクトロニクスの進化を支えてきた そして今、先端の材料とソリューションで、AI融合社会の実現に貢献していく」「“半導体の進化を、見えない化学で支える。DIC”」とあります。
「DIC Vision 2030」Phase2では、AIが社会のあらゆる仕組みと統合されていく社会を「AI融合社会」と定義しています。素材およびソリューションを提供することで、実現に貢献することが我々の大きなビジョンです。
ケミトロニクスはファンクショナルプロダクツ部門の成長ドライバー

約1兆1,000億円の売上高のうち、3つの事業の中でファンクショナルプロダクツという部門が3,000億円弱の売上を占めています。売上構成比としては30パーセント程度ですが、営業利益ではこちらが44パーセントを占めています。
ファンクショナルプロダクツの中で、大きな成長ドライバーとなっているのがケミトロニクス事業です。
ケミトロニクス事業の年間見通し

ケミトロニクス事業の年間見通しについてです。本年の売上は781億円、営業利益は141億円を計画しています。売上高は前期実績から約20パーセント弱と大きく増加し、営業利益は前期実績の78億円から80パーセント以上の増加を見込んでいます。
これにより、全社に占めるケミトロニクス事業の比率は営業利益で約20パーセント弱まで伸長することとなります。
営業利益率は18.1パーセントとなる見込みで、2025年実績の12.0パーセントから大幅に改善する見込みです。これは全社平均の営業利益率(見通し)である6.8パーセントと比較して非常に高い位置にあり、全社の営業利益率を引き上げ、資本効率をさらに高める主要なドライバーとなると考えています。
ケミトロニクス事業の2026年上期実績:収益性が一段と上昇

スライドは上期の実績です。AI向け半導体需要とモバイル端末向けの採用が拡大し、売上と利益の両方を大きく押し上げています。グラフで示している数値がその結果であり、年間見通しを達成するための大きな足がかりとなることが見て取れます。
ケミトロニクスとは

あらためてケミトロニクス事業について説明します。ケミトロニクスとは、ケミストリーとエレクトロニクスを合わせた造語です。この新しい事業本部は2024年に設立され、3つの目的があります。
1つ目は「合成樹脂の知見」、いわばテクノロジーの統合です。当社が持つ幅広い樹脂の分子設計や精密合成技術を、電子材料業界にしっかりと展開します。
2つ目は「電子材料の顧客対応」として、マーケティング顧客網の統合を進めます。幅広い電材業界での顧客網に対し製販技を統合してスピード対応を図ります。
3つ目は「量産・品質の統合」です。当社は長い歴史に裏付けられた高い品質と供給の信頼性をさらに高めていくことを目指します。
これら3つの目的を統合し、DICの総力を結集した事業プラットフォームを構築していきます。
DIC 118年の歩み

DICの歴史についてです。当社は100年以上の印刷インキの歴史を持ち、この印刷インキの原料である顔料と樹脂、これら2つの原料を柱に事業展開を進め、拡大してきました。
特に合成樹脂では非常に幅広いラインナップを有し、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂など、豊富な種類の樹脂を提供しています。この点が他のケミカルメーカーと比較して大きな特徴となっています。
特に熱硬化性樹脂において、グローバルでトップレベルのラインアップを持っていると自負しています。
これらは当社の樹脂が持つ基盤技術として根づいており、さらに展開することで事業を拡大してきました。
エレクトロニクス向け樹脂事業のあゆみ

エレクトロニクス向け樹脂のあゆみにフォーカスしたスライドです。1962年および1971年にそれぞれフェノール樹脂とエポキシ樹脂の量産を開始して以来、電材樹脂の市場に確固たる地位を築いてきました。
1985年、1994年には特殊な樹脂を電材向けに開発しました。この時期の要求特性は、主に耐熱性や、湿気を吸いにくい低吸湿性のように、物理的な特性が中心でした。
2003年には、活性エステル型エポキシ樹脂硬化剤の開発に成功し、非常に誘電率が低いという電気的特性の要求を満たす樹脂が登場しました。これが非常に大きなポイントとなっています。
その後、特殊なエポキシ樹脂やさらに低誘電の樹脂を開発し、現在に至ります。このスライドからおわかりいただけるように、当社は半世紀以上にわたり、見えないところでエレクトロニクスの進化を支え続けてきました。
サプライチェーンにおけるケミトロニクスソリューション

サプライチェーンを示したスライドです。上部が半導体、下部がFPD(フラットパネルディスプレイ)のサプライチェーンを表し、完成から最終的にスマートフォンになるまでのプロセスをイメージしています。
例えば半導体であればウエハの回路を形成する前工程があり、その後、出来上がったチップのパッケージ化を行う後工程があります。さらに基板の配線・実装化、セット組立を行うアッセンブリ工程へとサプライチェーンが進んでいきます。
ご覧のように、当社の材料は前工程、後工程、実装、アッセンブリまで幅広く採用されていることがわかります。FPDにおいても同様に幅広い展開をしているのが当社の特徴です。
当社は幅広い顧客網を持ち、それらを統合してさらに情報量を増やし、強みを強化していることが見て取れるかと思います。
ケミトロニクス事業本部の生産・開発拠点

スライドはケミトロニクス事業本部の生産開発拠点を示した図です。エレクトロニクス業界の中心はアジアであるため、比較的アジアに拠点が多い状況です。
また、開発やブランドオーナーが所在する北米にも拠点を設けています。カナダを含めて、グローバルな顧客対応が可能な体制を整えています。
サプライチェーンにおけるDICのポジション

サプライチェーンを異なる視点から示したスライドです。当社は化学メーカーとして、どちらかといえば川中に位置しています。
当社は、昔ながらのいわゆる化学メジャーとは異なり、モノマーを基本的に保有していません。反対に、モノマーを購入してポリマー化し、特徴的な化学製品としてお客さまに届ける事業を展開しています。
当社は日本でのプレゼンスが高いエレクトロニクス材料分野でビジネスを展開しています。このエレクトロニクス材料の中で、特にスライドで色をつけていない部分に関しては、直接製品を作るわけではなく、その素材を製造している点が大きな特徴となっています。
ケミトロニクスポリマーの主な用途

AI半導体に求められる先端パッケージ構造についてです。パッケージ構造に使用されるさまざまな材料は、前工程ではフォトリソグラフィ、後工程では封止材、パッケージ基板材料、さらにその後の実装に使用されるプリント基板材料などがあります。
AI半導体では、これらの材料に対してさらに高い性能が求められることは、みなさまもご存じのとおりです。前工程では微細化、パッケージ基板では高密度実装や信頼性といった要求特性が年々高まっています。当社はポリマー技術を用いて、陰で支える立場にあります。
フォトレジスト材料事業のあゆみ

ここからは当社の強みについてご説明します。まず、前工程材料についてです。
2016年にフォトレジスト用ポリマーの量産を開始し、2023年にはカナダのPCAS Canada(現Innovation DIC Chemitronics Inc.、以下IDC)を買収したことで、半導体フォトレジスト用ポリマーの大きな基盤を得たことが大きなトピックスとなっています。
DICの強み:前工程材料

量産技術を手に入れたことで、半世紀以上にわたり当社が磨き上げてきた樹脂設計技術を、前工程の分野にしっかりと展開し、半導体の進化に貢献するという方向性を持っています。
IDCは1989年からフォトレジスト材料を提供してきた歴史があります。また、長らく高品質の製品をお客さまに届けてきた実績を基盤に、当社の材料を展開し、広げていくことが大きなポイントになっています。
また、前工程材料では非常に高い品質が求められます。高品質を維持するためには、高度な分析能力や管理能力が必要とされます。これらを備えている点も当社の強みです。
さらに、高純度の素材を設計開発から試作、お客さまの評価を経ながら、量産化まで一貫して取り組める強力な体制を整えています。開発担当者が直接お客さまと技術ディスカッションを行いながらニーズに応えるというビジネススタイルを採用している点も特徴的です。
先端レジスト向け精密重合技術

当社が持つ合成技術の強みの一例として、リビングラジカル重合という精密重合技術をご紹介します。この手法を用いることで、分子の大きさのばらつきを軽減し、非常に狭い分子量の範囲内で樹脂を設計することが可能です。
これにより、耐熱性が向上するほか、小さい分子量の成分を排除することができるなど、さまざまなメリットがあります。これらは先端半導体に非常にプラスになる性能となっています。
どんどん先端世代が進み、技術が精密化するほど、このような技術が求められるようになります。当社は分子設計と合成技術を掛け合わせることで、従来の樹脂に新たな価値を与えていきたいと考えています。
前工程用樹脂の製造拠点

前工程の樹脂の主な生産拠点はカナダIDCにあります。この工場では、昨年、生産キャパシティを増強するための工事を完了し、今年から量産を開始し、お客さまへ供給しています。
スライドの右側の画像は完成披露会の様子です。今後は、さらなる拡大に対応可能なレベルで増産を進めています。
後工程の技術動向:現在のAI需要はDICの強みに追い風

後工程材料の強みについてご紹介します。こちらの技術動向については、みなさまもご存じのとおりかと思います。メガトレンドとして、高速通信やAIによる大容量・高速対応の需要が増大しています。その進展に伴い、伝送損失の問題が非常に重要なトピックとなっています。
伝送損失による電力の一部は熱に変わり、その分電力の消費量が増えるという構図です。伝送損失を低減する手法の1つとして、樹脂による低誘電率や誘電正接の低下が重要なポイントとなってきます。
DICの強み:後工程材料

DICの強みとして、低誘電化や誘電正接の分野において、非常に優れた能力を持っています。
当社はもともと特殊エポキシ樹脂で大きなシェアを持ち、また、活性エステル型エポキシ樹脂硬化剤についても非常に大きなシェアを有しています。
業界内で非常に大きなシェアを占め、これまでさまざまな賞を受賞しています。お客さまとの関係も非常に深いものであり、マレイミド樹脂やビニル樹脂のような、次世代で求められるさらに低誘電化に対応した開発にも取り組んでいます。
次世代、次々世代の樹脂についても、さらに強みを発揮していきたいと考えています。一見して、当社の事業説明などでよく取り上げるエポキシ樹脂以外の樹脂種が並んでいます。実態としてこれらはエポキシではない樹脂です。
顧客が求める電気特性を実現するため、当社はもともと幅広い樹脂種のラインアップを有しているという背景から、エポキシ樹脂に対するこだわりはそれほど強くありません。お客さまにソリューションを最短距離で提供するための技術開発が、非常に大きなポイントとなっています。
あわせて、基板用エポキシ樹脂の特許は非常に高い位置づけにあり、とりわけ樹脂メーカーの中では圧倒的な優位性を持ちます。
後工程用樹脂の製造拠点(今後の増産体制)

今後の増産体制についてです。ご存知のように、半導体需要は非常に旺盛であり、電材樹脂の主力工場であるDIC千葉工場などで、段階的に増産体制を整備しています。
また、半導体用エポキシ樹脂については、2025年に大規模投資を決定し、2029年からの稼働開始を目指して着工しています。現在、予定どおりに生産能力増強に向けた工事を進行中です。
ケミトロニクスポリマーの成長戦略

まとめとして、ケミトロニクスポリマーの成長戦略についてお話しします。当社は分子設計技術を強みに最先端ニーズに応え続け、現在のトップクラスのシェアを維持していきます。
前工程においては高品質化と新規ポリマーのニーズに、後工程においては低伝送損失と高信頼性のニーズに応える開発を進めます。
また、急激な成長需要を取り込むための量産基盤として、積極的な投資を継続していきます。
これらにより、市場成長性が高く付加価値も高い製品の売上を伸ばし、付加価値の高い製品の比率を着実に上げていく考えです。
ケミトロニクス事業 サマリー

サマリーです。半導体市場の追い風により、当社の材料のニーズはますます高まっています。
高付加価値材料の需要をさらに取り込むことで、2030年に向けて飛躍的な成長を見込んでいます。
また、戦略的投資を通じて生産キャパシティを十分な水準で確保する予定です。
AI融合社会に貢献する低誘電材料

我々が手掛けている開発ソリューションの一例をご紹介します。伝送損失の分野においては、もともとポリマーで強みを持つ中で、さらに応用製品などの開発を進めています。
伝送損失を低くするためには、ポリマーサイドでの誘電損失を低く抑える技術に加え、導体損失を低くする技術も大きな効果を発揮します。
この2つの方向性から伝送損失をさらに抑える材料開発を進めており、低遅延・高速大容量の通信に対応可能な材料の開発を推進しています。
エレクトロニクスからフォトニクスへ

「エレクトロニクスからフォトニクスへ」ということで、現在はCo-Packaged Optics(CPO)と呼ばれる光通信向けのポリマー光導波路材料の開発に注力しています。これが今後の大きな流れとなっています。
まだ主流とはいえませんが、生成AIのサーバーのような非常に大きな通信量が発生する場面では、このフォトニクスも長期的な方向性の1つと捉えています。
当社は産総研と協力して材料の開発に取り組んでおり、さまざまな展示会で基板のサンプルを出展しています。
引き続き当社はAI融合社会の実現に挑戦していきます。本日はありがとうございました。
質疑応答:エポキシ樹脂の差別化要因について
質問者:エポキシ樹脂についておうかがいします。先ほど「エポキシ樹脂において当社はトップメーカーではあるものの、あまりこだわりがない」というお話がありました。その真意をもう一度ご説明いただけますか?
さらに、日系の大手化学会社ではエポキシ樹脂や特殊エポキシ樹脂の分野で強みを持つ企業があるかと思います。そのような企業はエピクロロヒドリンやビスフェノールAなどの原材料を保有している場合がありますが、御社ではそれらを保有していない中で技術によって戦っていると認識しています。差別化要因について、もう少し詳しくご説明いただけますか?
原:先ほど「こだわりがない」と言ったのは、「お客さまの要求特性があった時に、それを達成することを無理にエポキシ樹脂でやろうとしない」という意味でした。エポキシ事業に対してこだわりがないわけではありません。
質問者:エポキシ樹脂だけでなく、いろいろな樹脂を取り扱っているというのが真意でしょうか?
原:おっしゃるとおりです。
差別化要因については、まず当社は圧倒的に電子材料に強いことが大きな特徴です。ご指摘のとおり、エピクロロヒドリンやビスフェノールAといった基本原料を持つことでコスト競争力を持つケースも散見されます。しかし、当社は特殊な樹脂の設計能力において他のメーカーにはない設計を行ってきました。

当社はフェノール樹脂の量産から事業がスタートし、その後エポキシ樹脂の量産へと展開しました。スライドにはさまざまな種類のエポキシ樹脂の構造が描かれていますが、その構造の中心部分をよく見ると、実はすべてフェノール類で構成されています。
当社は、化学構造のいわば核心部分において、自社独自の設計を行い、特殊な樹脂を生み出す力を持っています。
歴史的に、こうした取り組みを繰り返す中で、お客さまのニーズにいち早く応え、電材向けの特殊な要求に対応することでシェアを伸ばしてきました。そのような意味で、他社が持っていないような製品を多く保有していることが、当社の強みであると考えています。
質疑応答:ケミトロニクス事業の下期の営業利益について

質問者:ケミトロニクス事業の上期営業利益が81億円となった一方で、下期が上期より減益となる理由を教えてください。
原:上期と下期の差について、売上高は上期376億円、下期が405億円と、トップラインは増加していることが確認できます。一方で、営業利益は上期が81億円、下期が60億円となっています。
この要因として、上期に一定程度増加した高コストの在庫の影響により、上期と下期で価格スプレッドが縮小したことが非常に大きいです。加えて、上期については円安が追い風となった側面もありますが、下期は1ドル150円とやや保守的に見込んでいます。
この2点が大きな要因となっており、141億円という数値自体は上振れ余地のある推定値としてお考えいただければと思います。
質疑応答:2030年全社目標におけるケミトロニクス事業の位置づけについて
質問者:2030年の全社目標として営業利益800億円以上を目指す上で、ケミトロニクス事業の数字の見通しについて教えていただけますか?
田中:2030年に営業利益800億円以上を目指し、その内訳として中核事業で690億円、成長事業で170億円の営業利益を見込むと発表しています。
この成長事業の170億円のうち、かなり大きな割合をケミトロニクス事業が占めるとお考えいただいてけっこうです。
もちろん、成長事業の中にはフィジカルAIやバッテリーも含まれますが、2030年の時点では、まだ、それらの貢献は大きな数字にはならないと見込んでいます。
成長事業の営業利益においては、今年の推定ですでに140億円まできています。以前のアナリスト向け説明会などでも「果たして実力はどうなのか?」というご質問をいただきましたが、実力の体現として170億円という目標を達成し、全社で800億円以上を実現すべく、取り組んでいます。
質疑応答:エポキシ樹脂の今後の需要動向について
質問者: AIの需要が今後増加することによって、御社の強みである活性エステル型エポキシ樹脂硬化剤の需要は増加していくのかについておうかがいできればと思います。
原:一般論としてお聞きいただければと思いますが、AI需要の拡大に伴い、従来のパッケージ基板がより大きなサイズになり、層の数も増えるといった方向性が間違いなく進行していくと考えています。
そのような意味では、従来のマザーボードの需要増加と比べ、パッケージ基板材料の需要増加は非常に大きく、顕著なものになると推定しています。
当社の材料が使われている部分は、パッケージ基板材料やマザーボード用銅張積層板(CCL)があり、中でもパッケージ基板材料の需要は当然増えていくと考えています。AI需要の拡大に伴い、自然と我々の材料に占めるパッケージ基板材料向けの比率が高まると想定しています。
質疑応答:半導体用エポキシ樹脂の生産キャパシティについて
質問者:2029年稼働予定の半導体用エポキシ樹脂新プラントについてうかがいます。現在、需要が伸びている中で、来年や再来年も需要がさらに増加することが予想されます。
そのため、来年や2028年中頃には、フルキャパシティになってしまうリスクがあるのではないかと考えています。そのような場合について、御社ではどのようにお考えでしょうか?
原:当社は常にお客さまと密接に情報交換を行いながら、お客さまの需要に間に合うよう、しっかりとスケジュールを設計しています。不足が生じる場合には、追加投資も含めて検討していく予定です。
先ほど少し触れましたが、千葉工場では段階的に設備投資などを行い、キャパシティ増加への対応を進めています。
2029年に新たな生産設備が竣工するまでの間も、順次、生産キャパシティを増強しながら、お客さまにご迷惑をおかけすることのないよう増産を進めていきます。さらなる増産余地も十分にあるため、2029年まではこのような方法で増産に取り組んでいく方針です。
質疑応答:既存技術とフィジカルAIを組み合わせた取り組みについて
質問者:御社はCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を設立し、フィジカルAIの領域でも技術獲得を進めているかと思います。御社の既存技術とフィジカルAIを掛け合わせた場合、どのようなところで強みを発揮できるかについて教えていただけますか?
田中:フィジカルAIについては、新聞やニュースでも取り上げられるようになっています。当社の強みを発揮できる分野でしっかり競争していく考えです。
具体的には、米国のいわゆるAIエコシステムを牽引する大手企業や、中国が急速に量産を進めている分野と対峙するというよりも、当社の強みを出せる領域で戦うことを目指しています。
その中で、当社が考えているのは、AIの発達によるAI融合社会が進む中で、フィジカルAIの発展とともに、AIと現実世界、テクノロジーと人々との接続をいかに実現していくかという点です。
いわゆるインターフェイスという表現が適切かと思いますが、その接続部分については、化学的な素材や部材、モジュールを含め、我々にとって親和性の高い領域が必ず出てくると見ています。
当社としては、化学メーカーとしての強みを発揮しながら、AI分野で本日説明しているような部材との親和性を活かし、フィジカルAIの分野においてDICが戦える戦略を構築していく考えです。
質疑応答:工業用テープの用途や競争状況について
質問者:工業用テープについて、過去には2年に1回、あるいは3年に1回程度良い時期があり、いったん落ち込む局面もあるというように記憶しています。
現在は持続的に良い状況にあるように思いますが、例えばスマートフォン大手でどのような用途に利用されているのか、また工業用テープの競争状況についてもおうかがいできますか?
原:お客さまとの関係があるため説明が難しいのですが、当社のテープは一言で言うと両面テープで、非常に特殊な用途にご採用いただいています。
この特殊な用途というのは、スマートフォンなどのデバイス自体が複雑化するほど、そのような特殊なものが求められる箇所が増えるという傾向があります。
したがって、単純にスマートフォンを含むデバイスの成長とは異なり、これら特殊な部材の採用箇所が増えるという側面により、直近は成長しているとご理解いただければと思います。
質疑応答:IDC社製品のアジア向け展開状況について
質問者:カナダのフォトレジスト用ポリマーの会社についてお聞きします。フォトレジスト用ポリマーの主戦場はアジアですが、アジア向けへの展開状況などはいかがでしょうか?
原:こちらは順調に展開できています。IDC社は北米にありますが、もともと輸出によるビジネスが非常に多い会社です。その点を踏まえると、アジア向けのビジネスを順調に増やしていることが大きなポイントであり、今後もこの状況を継続できると考えています。
