長崎海星高いじめ自殺事件で伏せられた第三者委「報告書」の仰天中身

shutterstock_1489593845
 

以前掲載の「長崎海星高、いじめ自殺を『突然死』に。学校・県ぐるみで事実隠蔽か」でもお伝えしたとおり、「在校生の自殺はいじめが主原因」とする第三者委員会が取りまとめた報告書の受け入れを拒否するなど、信じがたい対応を見せた長崎市の私立海星高校。なぜ同校はその報告を頑なに認めようとしないのでしょうか。今回のメルマガ『伝説の探偵』では著者で現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、現在は伏せられているその報告書を独自に入手し内容を紹介。そこには学校側が表沙汰にしたくない調査結果が記されていました。

【関連】長崎海星高、いじめ自殺を「突然死」に。学校・県ぐるみで事実隠蔽か

【関連】ミッション系高校の悲劇。長崎「いじめ自死」学校の呆れた対応

メルマガのご登録により阿部さんの活動を支援することができます

 

長崎海星高校いじめ自死問題で署名活動がはじまった

2021年2月6日、各報道は大まかに下記のように伝えた。

2017年4月に長崎市の私立海星高校2年の男子生徒が自殺し、第三者委員会が「いじめが主たる要因」とした報告書をまとめたが、これを学校が受け入れない問題で、在校生ら有志のグループが、自殺の原因などに関する見解を対外的に説明するように学校側に求める署名活動を近くオンラインで始めた。

 

発起人は地元の学習塾経営者の男性で、有志には保護者や卒業生らも加わっている。署名は3月中に学校側に提出する予定。

そもそもどんないじめであったのか?

いじめは中等部(中学校)からあった。軽微だと思われるかもしれないが、当初はお腹の音が鳴ったとからかわれることから始まり、椅子を動かす音やその他の音がなれば、それをお腹の音だと決めつけられてからかわれるということが続いた。次第に被害者であるA君は、おにぎりや軽食を時間の合間などに食べるようになるなど、行動に現れるようになった。

A君は極めて音に敏感になっていき、何か音がするたびに自分のせいにされるという事態に怒りを覚えていた。こうしたことは高等部(高校)に上がっても続き、何かの音がすればいじめをする生徒が「のどをならす」という行動をとるようになった。これは「定番の喉鳴らし」などと言われており、A君はノイローゼといえる状態に陥っていた。

何かの音がなれば自分のせいだと勘違いされ、うるさいなどと言われたり、音がしないように緊張することで、唾をのむ音すら苦痛になっていった。

これらは、A君自殺後の第三者委員会の調査でも、いじめであると認定されており、継続的ないじめ行為によって心身の苦痛を常に感じている状態であったのだ。

しかし、これだけではなかった。あくまで推測でしかないが、学校が違う部分があるとして報告書の説明も提言すら受け入れなかった理由は、次の事実であろう。

遺書には、先生に頻繁に注意されたという記載があった。

複数の生徒たちによれば、「数名の生徒が私語をしていてもA君だけが怒られる」などA君だけがなぜか怒られるという事態が起きていたことがわかる。

また、動画を見る授業でA君がメモを取っていると、「メモを取るより動画を見ろ!」と言われ、その次の回はメモよりも動画に集中していれば、「なんでメモを取らないんだ!」と強く怒られていたという。こうした様子から周囲の生徒は理不尽に先生から怒られていたと見られており、自分がA君のようだったら辛いなと考えていたのだ。

こうしたことが報告書の中には記載があり、生徒間のいじめのみならず、先生による理不尽な指導やいじめられている生徒への対処が全くなかったという指摘があった。

一方、学校においてはA君自殺後、とんでもない対応が明るみに出ている。

学校や県職員の対応の異常性

A君の自殺後、警察の調べがあるがその対応は、当時学校には校長がいたにもかかわらず、教頭を筆頭に教職員が当たっている。

それのみならず、2020年11月の報道によれば、学校側がご遺族に対し、「突然死ということにしないか?」と提案したというのだ。長崎県の私立校を監督する課の責任者もその場には同席したが、「突然死までは許せる」とこれを追認する発言をしたという。

また、この前提には、学校側は当初「転校したことにしないか?」という提案をしたと言われている。これは事実に反するから駄目だとしたうえで、では、「死」は同じだから、いじめを苦に自殺したのではなく「突然死」であったと公表しようという会話の流れであったという。

これは完全なる隠ぺいの提案であり、ましてや遺族に発するなど言語道断と言えよう。極めて信じがたい提案であるが、これは報道されており、これを知った人は言葉がなかっただろう。

メルマガのご登録により阿部さんの活動を支援することができます

 

print
いま読まれてます

  • 長崎海星高いじめ自殺事件で伏せられた第三者委「報告書」の仰天中身
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け