台湾を囮にして尖閣諸島を狙っている?
仮に近々、中国が尖閣諸島を攻略に動けばどうなるか。
2022年の北京冬季五輪は、日本・米国を初め西側諸国の不参加となろう。これだけでない。米国は、インド太平洋戦略の重要拠点を防衛すべく、NATO(北大西洋条約機構)を共同防衛に引き込む手立てを打つだろう。別に、日米防衛力に不安があるからという理由でない。インド太平洋戦略の「クワッド4ヶ国」とNATOを結びつける絶好の機会を利用するのだ。
中国は、尖閣諸島を攻撃して同時に世界を敵に回すという、世にも愚かな「自滅の道」に嵌まり込むのだ。
中国は、しきりと台湾に攻勢を掛けている。そのたびに、米国から台湾への武器売却が増えている。中国が、それを承知で台湾を脅迫しているのは、「囮」(おとり)戦術であろう。台湾攻略に見せかけて、尖閣諸島攻略を狙っているとも言える。
米の深慮遠謀で守り完璧
日米軍部は、すでに島嶼防衛に特化した戦術を磨いている。自衛隊も米海兵隊と同じ部隊編成を立ち上げ、合同訓練している。米軍部隊は島嶼別に展開し、大部隊の編成から小部隊編成に変わった。大部隊の移動は、中国軍に発見されやすいためだ。こういう地道な戦術で、中国軍の奇襲作戦に備えている。
サイパンの米空軍基地は、地下に格納庫を建設している。中国軍のロケット攻撃に備えている。このほか、中国のロケット攻撃が届かないインド洋のディエゴガルシア島に空軍基地を持つ。元英軍基地だったもの。2003年、ステルス型のB-2爆撃機専用シェルターとして改修された。これにより、B-2爆撃機の南シナ海への飛行時間が短縮される。当然、尖閣諸島防衛に役立つ。仮にB-2が米ミズーリ州基地から発進した場合、最速でも南シナ海に到達するには12時間かかる。しかし、同島からだと飛行時間はわずか5時間という。
B-2爆撃機が3機、インド洋基地に駐留する。中国にとっては、不気味な存在だ。ステルス型戦略爆撃機だけに、レーダーの捕捉は困難である。ある日、突然の攻撃があっても不思議ないだけに、改めて尖閣諸島や南シナ海の侵略を後悔するであろう。
中国経済は前途多難
中国は経済面でも世上、言われているような楽観論に立つわけにいかないのだ。
改めて指摘するまでもなく、経済の潜在成長率は人口動態が決定要因である。15~64歳までの生産年齢人口比率が、潜在成長率の大枠を左右する。
むろん、これだけでない。生産性動向がこれを補足する。中国では、生産性を大幅に向上させる要因が見当たらないのだ。専制政治が、経営者の創意工夫の発揮を拒む要因になっている。具体的には、通販最大手のアリババが当局から発展の網を掛けられていることだ。具体的には、後で取り上げる。