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中国は尖閣侵略で自壊する。日米の守り鉄壁、世界が習近平の敵に回る日=勝又壽良

中国は世界外交の主導権を握れるチャンスを掴めないどころか、大きな失敗に陥った。安全保障・経済という2大リスクに直面し、自滅への道を歩みだしている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

覇権を握るチャンスを逃した中国

中国は、米国トランプ政権による「米国第一主義」の間隙を縫って、世界外交の主導権を握れるチャンスを掴めないどころか、大きな失敗に陥った。新型コロナのパンデミックをもたらし、世界経済を大混乱させたからである。

それだけでない。香港への国家安全法導入で民主化弾圧、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒の100万人拘束、南シナ海での島嶼占領による人工島建設、軍事力で台湾をねじ伏せようとする強硬策など、数え上げたらきりがない「いざこざ」を生んでいる。

香港への国家安全法導入は、中英で結ばれた「一国二制度」を破棄するもので、条約や協定という国際間で遵守されるべき国際法に違反した。これが、中国への信頼感を根底から奪うことになった。

また、中印国境における中国軍のインド軍急襲で、約20名を殺害する軍事紛争を引き起した。これに反発したインド政府は、経済面での対中国関係を見直し制裁に踏み切っている。これを契機に、インドは日米主導の「インド太平洋戦略」(日米豪印=クワッド4ヶ国)の関係強化に乗出した。

二大リスクに直面の中国

中国は、自ら種を蒔いている紛争によって、外交的な危機感と孤独感を深めている。

その証拠に、習近平国家主席が中国はさまざまなリスクや課題を予見すべきとした上で、「ブラックスワン」や「灰色のサイ」のような事象に備える必要があるとの考えを示したのだ。新華社が1月29日に伝えた。

「ブラックスワン」とは、予見が困難で起こる確率は低いものの、発生した場合には甚大な影響をもたらす事象を指す。「灰色のサイ」は、高い確率で深刻な問題を引き起こすと考えられるにもかかわらず、軽視されがちなリスクを意味する。習氏は、こうした「ブラックスワン」と「灰色のサイ」に備える必要性を訴えたのだ。

「ブラックスワン」と「灰色のサイ」は、具体的な中身が不明である。これは、安全保障と経済の二面を意味するはずだ。

<リスクその1:安全保障>

安全保障では、米国バイデン政権が、同盟国を団結させて対抗する兆候を明らかにしてきた。米国の国務長官認証聴聞会で「イラン」には73回、「中国」には66回も言及。国防長官認証聴聞会でも「中国」には74回、「イラン」には10回言及したという。

これは、総合的な外交と防衛の戦略で、圧倒的に中国に焦点を合せていることを明らかにしている。米同盟国は先進国を網羅しており、とうてい中国の及ぶところでない。

それだけに、一旦緩急あらば、中国は包囲される潜在的リスクを抱えている。習近平氏は、このリスクに気付かず「火遊び」を重ねてきた。今やこの積み重ねによって、大きな危険性を身に纏ったのである。

<リスクその2:経済>

安全保障リスクだけが、中国の運命を脅かしているのではない。経済面でも大きな課題を抱えている。

昨年の中国経済が、主要国で唯一のプラス成長(2.3%)を実現したことで、2020年代後半に米中GDPが逆転するという予測が出始めている。これは、成長の中身を問わない外形(成長率の高さ)を単純に未来へ延長した「無責任」予測という色彩が濃いのだ。

人口動態の急速悪化というアキレス腱を無視して、経済のマラソンレースの順位を予想するような無謀なものである。この点は、これまでの日本経済分析で得た私の知見をフルに発揮して、米中GDP逆転はあり得ないと言うほかない。この問題は、後半で取り挙げたい。

Next: 高まる反中感情。南シナ海・尖閣を侵略する中国「国家犯罪」の手口

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