中国は過去最大の危機を迎えている。すべての先進国から忌避される存在になったからだ。中国の将来は、グローバル経済活動がどこまで可能かという一点に尽きる。これは、意外と認識されていない。内需だけではやっていけないのだ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)
※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2020年10月12月号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。
中国は「人権弾圧」で先進国を敵に回した
中国は、過去最大の危機を迎えている。すべての先進国から、忌避される存在になったからだ。
10月6日、公表された米ピュー・リサーチ・センターの調査結果によると、先進14カ国を対象とした「反中国意識」は、昨年に比べて軒並み10ポイント以上の悪化になった。それによると、中国に対する否定的な認識は73%にのぼり、肯定的な認識の24%を圧倒していることが分った。各国別の詳細は、後で取り上げる。
中国忌避の原因は、いくつか上げられる。
1)新型コロナウイルスによるパンデミック
2)香港への「国土安全維持法」導入によって、「一国二制度」を破棄
3)新疆ウイグル自治区での住民弾圧
これら項目に共通しているのは、人権弾圧である。人権擁護は、世界共通の価値観である。中国は、無謀にもこの普遍的人権へ挑戦しているのである。中国がいくら抗弁しようと、先進国がこの中国を受け入れるはずがない。
世界から嫌われた中国に未来はない
先進国が中国を忌避することは、中国の将来にとって極めて危険なシグナルになる。
中国は、このことに気付くべきである。現在の中国は、「一帯一路」プロジェクトで175ヶ国の参加を得ていると強気だが、それは薄氷のような存在である。中国の将来を保証するものではない。ただ、中国マネーに群がった国々である。
EU(欧州連合)でも、東欧諸国がこぞって「一帯一路」に参加したが、現在は「反中国」的な存在になってきた。中国が当初、約束した経済援助を実行しないからだ。
金の切れ目は縁の切れ目という、国際間の厳しい現実が、中国を襲ってくるであろう。