ファーウェイ進出に大きな壁
前記調査は世界4大陸の1万4,276人を対象に実施され、既述に通り平均で73%が中国に対して厳しい批判的見方を示した。中国にとって調査開始以来で最悪の評価である。これは、中国にとって深刻な問題のはずである。
こうした「反中意識」の急増は、中国ファーウェイの進出が極めて困難になっていることを示している。ファーウェイの次世代通信網「5G」は、欧州で苦戦しているのだ。
英国とフランスはファーウェイ拒否姿勢である。ドイツは、旗幟を鮮明にしていないが、国内的に中国批判が高まっている折り、ファーウェイ導入は難しくなろう。
日米欧の世界3極構造が、一斉に「反中国意識」を高めていることは、中国との貿易・投資のビジネス活動が狭まる前兆と見るべきだろう。
これは、中国にとって死活問題になるはずだ。それに気付かず、中国外交部が記者会見で「戦狼外交発言」を続けるのは、自分で自分の首を締める愚行である。お山の大将で、自分が一番偉いと思い込んでいる国である。この傲慢さが、自らを窮地に追い込んでいる最大要因である。
中国経済は「外需」が消えたら萎んでいく
中国の将来は、グローバル経済活動がどこまで可能かという一点に尽きる。これは、意外と認識されていない。
習近平氏は最近、今後の中国経済は内需を中心とし、外需(輸出)が補足手段という「双循環経済論」なるものを発表した。一見、斬新な経済計画に見えるが、まったく逆のパターンである。これは、「中国縮小経済」以外の何ものでもないのだ。
習氏は、中国が「世界の孤児」になった認識を持っているので、先回りして「双循環経済論」なる造語で、国民の目を欺こうとしている。中国経済が、大幅な縮小過程に入っているとの批判に対して、あらかじめ用意した「双循環経済論」を持ち出し、煙幕を張る作戦である。
習氏は、完全に遁走姿勢である。自らの責任追及を回避しながら、自己の政治生命をいかにして維持するか。中国の将来を考えない点で、毛沢東の晩年に引き起こされた、文化大革命と同じ混乱が起こるであろう。