先進国との衝突は中国に大損
中国が、潤沢な資金を得られたのは先進国との貿易によるものだ。端的に言えば、中国は先進国貿易で稼いだ資金(経常黒字)を原資にして、一帯一路参加国のインフラ工事を行い、中国の国威を守れたのである。
だが、先の米ピュー・リサーチ・センターの調査結果では、先進国がすべて中国忌避である。これは各国が、中国との貿易を抑制し、中国からの直接投資を受け入れない、という間接的意思表示でもある。
米国は、すでに「米中デカップリング(分離)」に動き出している。このほか、他の先進国も「中国排斥」に動き出す前兆と読むべきである。
中国は今後、どの先進国と友好関係を維持できるか。そういう深刻な事態に直面している。
日本に擦り寄る中国
中国は、すでに日本を標的にしている。4~7月に日本国債を前年比3.6倍と爆買いしているのだ。
逆に、米国債の保有高を年初来から減らしている。にわか「親日・反米」を演出しているが、これで日本の対中観が緩むはずはない。日本は、世界一の「反中国」の国である。日本人は、声高に中国批判をしないが、心底深く中国を忌避しているのである。
次に、米ピュー・リサーチ・センターの調査による、中国への国際評価の国別結果を示したい。
<反中国意識>
2020年 2019年
日本 :86% 85%
スウェーデン:85% 76%
豪州 :81% 57%
韓国 :75% 63%
デンマーク :75%
英国 :74% 55%
オランダ :73% 58%
米国 :73% 60%
カナダ :73% 67%
ドイツ :71% 56%
ベルギー :71%
フランス :70% 62%
スペイン :63% 53%
イタリア :62% 57%
日本人の反中意識は、昨年・今年とも最高レベルである。昨年が85%、今年は86%に達している。尖閣諸島をめぐって、中国の連続100日以上の公船による領海接続線に現れるという異常行動が、日本人の神経に障っているのだ。
中国の尖閣諸島領有説は、周辺海域に石油資源が埋蔵されているという情報でにわかに自国領と言い出したもの。欲得に基づく行動であり、日本人がもっとも嫌う所作である。