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先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

経常黒字減少で発言権も縮小

中国経済は、国際収支が大幅経常黒字を維持できて初めて、一帯一路という「大風呂敷」が実現可能である。経常黒字は、総合的な貯蓄高を示すものである。貯蓄が減れば、海外支援も海外投資も絵に描いた餅になる。

その経常黒字は、パンデミック前のIMF(国際通貨基金)の19年春季予測では、2022年以降に赤字予想であった。従来は、2024年以降であったが、前倒しになっている。

中国の経常黒字減少は、貿易黒字の減少をそのままストレートに表わしている結果である。中国は2018年において、日本、ドイツに次いで、世界第3位の対外純資産を有している。それにもかかわらず、その利子・配当金等で構成される第一所得収支が赤字であるのは、対外資産から得られるリターンが著しく低いことを意味するのだ。

これは、一帯一路という発展途上国向けの投資が主体である結果である。中国が、債権回収ができず、担保を差し押さえる高利貸し商法を始めているのは、非効率融資を象徴している。中国は、低採算地域へ国威発揚という政治意図で投資を増やしても、リターンは少ないのだ。

その結果、経常黒字が減って赤字になれば、国威発揚も不可能になる。こういう根本的な矛楯を抱えたまま、修正もせずに突っ走っている状況だ。

日本が、太平洋戦争で敗色が濃くなっても、なんら手を打てなかった状況と瓜二つの場面である。日本は軍事政権下、中国は習近平独裁下と同じ局面である。経常赤字問題は、中国の不吉な未来を予告しているのである。

経常収支の赤字化は不可避。転落後に待つ地獄

中国の経常収支が赤字になるのは、不可避の情勢である。

IMFが予測した2022年が前倒しとなれば、来年がその魔の時期に至る。中国は、必死になってその時期を遅らせようとしている。法人や個人の大口預金引出を牽制すべく、引出の予約と引き出した後の支出まで聞き出すという念の入れようである。違法な海外送金を阻止する目的でもある。

戦時中の日本は、国民から宝石や金属類を供出させて軍艦や飛行機を製造するという窮地に追い込まれた。中国では、習氏が国民に向かい大食いをするな。残飯を残すな、といった訓示を出すほどの緊縮ムードである。

まさに、「負け戦」覚悟の振る舞いである。ここまで不利な立場になっても、習氏は自ら辞任しないだろう。権力にしがみつく。第二の毛沢東の醜悪さを見せるのであれば、中国の不幸は倍加する。

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