楽天と日本郵政の資本・業務提携を市場は好感していますが、うまく行くでしょうか?郵便局で楽天携帯を売るという話も出ています。私は金融事業とEC事業の物流のメリット、これが今回のディールのシナジーが最大に発揮できる分野だと思います。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。
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楽天は「モバイル事業」に全力
楽天は3月12日、日本郵政との資本・業務提携を発表しました。
日本郵政が楽天の第三者割当増資を引き受け、約1,500億円出資して8.32%の株を保有します。
今後はDX(デジタル・トランスフォーメーション)による物流の効率化や、郵便局での楽天携帯の販売などで業務提携を行い、今後EC(電子商取引)や金融の分野でも協業を模索していく考えのようです。
また楽天は同時にテンセントやウォルマート等にも同時に第三者割当増資を行うようです(テンセントについては、子会社のImage Frame Investmentが引き受けます)。
資金調達総額は2,423億4,669万2,500円になり、楽天はその全額を携帯電話の基地局整備の増強等に使っていく計画のようです。
マーケットは好感し、発表翌日の楽天の株価はストップ高になりました。

楽天<4755> 日足(SBI証券提供)
楽天側にとってのメリットは資金調達により携帯事業が強化できる、郵便局での楽天携帯の販売などわかりやすいのですが、日本郵政側のメリットは何でしょうか?
日本郵政にメリットはあるか?
報道では、物流のDX化などのノウハウを楽天から得るというようなことが言われていますが、DX化を進めるだけならば、他のコンサル会社等に頼むこともできます。
大きなメリットとして、楽天のEC事業の配送を将来独占的に(もしくは優先的に)請け負える可能性があるということはあるかと思います。
もう1つは、金融事業での提携です。
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