「BNPL払い」で新規顧客獲得。その裏で?
BNPLがネットコマースに占める割合は、アメリカでも今はまだ2%程度と見られている。しかし「顧客の間口を広げる」効果は、店側の売り上げ成長を促す効果がとても大きい。
オーストラリアやヨーロッパでは、すでにBNPL払いがネットコマースの1割にまで及んでるという調査もある。さらに「分割払い」となることで、限度内なら高額の商品をディスカウントすることなく売りやすいという調査結果も。
店側がBNPL払いを他の支払い手段よりも選好していくのではないか?今後成長が見込まれるというのは、そういう点だろうと思う。アマゾンが提携したのもそういう売上拡大狙いだろう。
というのが、良いニュース。でもこれ、「アメリカ経済が新たな爆弾を抱え込んだ」というふうにも見えたりします。
リーマンショックの“悪夢”を再現する恐れ
現状、法規制が追いついていないBNPL払いは、クレジット残高や信用情報に記載されない。いわゆる当局が把握できない「シャドーバンキング」といってもいい側面がある。
極端な例で言えば、クレジットカードやローンで目一杯お金を借りてる人間が、さらにBNPL払いで債務を増やしまくっていくことがあり得る(BNPL払いの与信枠はクレジットカードの与信枠の対象とは相互にまったく関係ない)。
そう、十数年前のサブプライムローンショック(あるいはリーマンショック)で見た悪夢の再現となる可能性。
「フィンテック」とか「BNPL払い」と言えば聞こえはいいけど、それは60日限定で、利息は店側が負担する消費者金融そのもの。しかも、当局がその残高を捕捉したりコントロールすることは、現状の法規制ではできない。
Amazonに置かれるであろう「BNPLボタン」。これが、いつかくる将来の経済混乱を呼び寄せるボタン(利益を与えてくれるけど、実は一定回数押されるとガラガラ経済崩れる自爆ボタンみたいな)なのかもね。頭の隅っこに入れておいて。