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「親ガチャ」依存が示す1億総中二病時代。人生は抽選ではなく先着順、いつ自分のダメさに気づくかの勝負=午堂登紀雄

生まれる国もガチャである

たとえばシリアやアフガニスタンなどで生まれていれば、生きるか死ぬかという状況に直面します。内戦や人権弾圧から逃れるために難民にならざるを得ないかもしれません。

私もかつてカンボジアのゴミ集積場で働く孤児や(貧困で育児放棄する親が少なくないらしい)、フィリピンの路上で生活するストリートチルドレンなどを見てきましたが(フィリピンはクリスチャン国家で中絶が法律で禁止されている一方、性教育も行き届いていないため、シングルマザーや孤児が多い)、壮絶な貧困、未来も希望も見えない絶望がどのようなものかも肌で感じました。

むろん育児放棄する親は日本でもいますが、完全に子を路上に追い出すのはやはりレアケースですし、新興国よりは保護制度が整っているでしょう。

そうしたことが日常的ではない日本という国に生まれたというだけでも、実は人生ゲームで最初からサイコロの6の目を出して始めたに等しいぐらい恵まれたことなのです。

生まれた時代もガチャである

また、時代ガチャで言うと、たとえば私の父親は小さいころに父親(私から見れば祖父)を戦争で亡くし、生活を支えるため小学生の頃から新聞配達をしていたそうです。

当時は有無を言わさず戦地に駆り出され、理不尽な空襲から逃げ、戦争孤児もたくさん生まれました。

あるいは命からがら戦地から引き上げてきたものの仕事がなく、政府による職住斡旋の移民政策(という名の本当は口減らしのためのほぼ詐欺的プランだったようです)でブラジルなどへ移住し、荒れた大地を開墾するという過酷な労働をして現地に根付いた人たちもいます。「日系3世」などと聞きますよね。

しかし現代は、そういうリスクの少ない時代です。日常的に命を脅かされたり、飢えたりすることもない。これだけでも恵まれていると思いませんか。

環境もガチャである

ほかにも、私が子どもの頃はもっと不便でした。家にはダイヤル式の黒電話が1台だけ。

女の子の家に電話するときは緊張しました。友達との待ち合わせはどうやっていたのか思い出せないぐらいです。

スマホで株やFXのトレードをして稼ぐとか、動画を撮影して加工してYouTubeにアップするとか、いつでもどこで映画や漫画を見るとか、ネットで銀行にお金を振り込むとか、想像すらできなかった。

しかし、いまはインターネットがあり、スマホがあり、家にいながら世界の情報を収集し、逆に世界に情報発信できる。誰でもネット上に自分の店を持ち、自分の放送局を持つことができる。

予備校の講義や大学の講義の動画もネット上でほぼタダで見れますから、勉強したい人には夢のようでしょう。

やろうと思えばコストをかけず何でもできる。こんな素晴らしい時代・環境はないと思いませんか。

Next: 「幼稚な欲求」から脱却を。人生は知恵と工夫と行動力で切り開ける

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