どれが出るかわからない「盲盒」が大人気
大人も買うコレクション玩具と言えば、以前はフィギュアが主なものでした。フィギュアは「手弁」(ショウバン)と呼ばれ、完成品のフィギュアの他、自分で制作する半完成品のガレージキットなども含みます。
ところが、現在、手弁以上に人気になっているのが「盲盒」(マンフー、ブランドボックス)です。完成フィギュアですが、シリーズものになっていて、箱を開けてみるまでどれが入っているかわかりません。そのため、お目当てのフィギュアを手に入れるため、大量に買うことになるというものです。日本でもおなじみの販売方法になっています。
このようなブランドボックスのフィギュアが、「閑魚」(シエンユー)などのフリマサービスに出品され、ものによっては高値で取引されるのも同じです。元々の販売価格は50元前後ですが、最も人気が爆発したMollyシリーズのレアフィギュアでは販売価格が1,000元以上になっています。最も高く売れたのはSatyr Roryシリーズのレアキャラで、2350元(約4.3万円)で、買値の40倍近い価格で売れ話題になりました。
このようにレアキャラであれば高値で売れるということから、利益を目当てに大量買いする人まで現れ、完全にバブルな状態になっています。
中国では利益目的で株式の取引をする行為を「炒股」(チャオグー、株式を炒める)と言います。鍋で煽って、煽って、だんだん料理になって価値が出てくるというイメージです。最近では、ナイキやコンバースのスニーカーを炒めることが流行しました。同様に、盲盒を炒める行為も流行しているのです。
日本と中国のカプセルトイはどう違う?
この盲盒はよく日本のガチャガチャ=カプセルトイからヒントを得たと言われます。しかし、ビジネスモデルとしてはかなりの違いがあります。
ガチャガチャもどの商品が出てくるのかわかりませんが、基本的にはどの商品も等価です。人によって欲しい商品と欲しくない商品があるだけで、商品の価値はどれもほぼ同じになるようになっています。
ところが、盲盒はあらかじめ人気が出そうなキャラの販売数を減らし、希少価値を意図的につくりだします。盲盒の販売で有名になった泡泡瑪特(ポップマート)では販売率を公開していますが、最もレアなキャラでは1/720になります。1つが50元だとして、レアキャラを手に入れるには50×720=3.6万元もかかる計算です。ですから、フリマサービスで2,350元で買えるというのは、ある意味格安とも言えるのです。
ポップマートは2018年に盲盒「Molly」を発売して大ヒット商品となりました。そして、2020年に香港証券取引所に上場をします。
この成功を見て、さまざまな企業が盲盒を発売し、玩具業界の中で大きなジャンルになっています。