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台湾有事を傍観して滅ぶ韓国。二股外交が中国軍を刺激、中国バブル崩壊で「韓国有事」へと延焼していく=勝又壽良

台湾有事は韓国に「延焼」する

調査会社キャピタル・エコノミクスは、「世界の国内総生産(GDP)に占める台湾のシェアは1%だが、この数字が示すよりも、台湾は世界経済にとってはるかに重要だ」と指摘する。その上で、台湾の輸出が停止すれば、自動車や電子機器向けの半導体が不足し、インフレ圧力が高まるだろうと強調する。以上は『ウォールストリートジャーナル』(8月16日付)が伝えた。

問題は、中国が台湾海峡(最も狭い箇所でも約130キロメートル)を中国領海と主張して「海上封鎖」を正当化している点だ。国連海洋法条約では、領海の幅を基線から12カイリ(約22キロ)以内と定めている。だが、台湾海峡約130キロは、領海幅である約22キロの約6倍もある。「中国領海説」はありえない主張だ。

仮に、中国が台湾侵攻を仕掛けて台湾海峡を封鎖する事態になれば、国際法違反であることから、台湾海峡を利用する国々は、実力で排除せざるを得まい。ほとんどの先進国が、貿易航路として利用しているので、中国の主張は通る筈もない。韓国は、日米とともに中国軍の海上封鎖を排除すべく中国軍と戦わなければならない事態を迎えるのだ。これまでの韓国が取ってきた軟弱な対中外交姿勢では考えられない局面である。韓国の逃げ隠れは、もはや許されないのだ。

韓国は、こうして「台湾有事」を対岸の火事と見ていることは不可能で、韓国へ「延焼」することになろう。

韓国は、中国に対して「ヌエ的」態度で臨むことが、中国に対して誤ったシグナルを送ることに気付くべきである。中国が、米国と対決しても韓国が「抜け穴」になるという期待を保たせることが、「台湾有事」へ駆り立てるリスクになることだ。韓国は、最初から米韓同盟の一員として行動することが分っていれば、中国の侵攻作戦は慎重になる面もあるだろう。

この際、二股外交でなく旗幟を鮮明にすべきである。それが、戦争を止める一助になるのだ。

チャイナは瀕死の重傷へ

韓国は、これまで「経済は中国、安保は米国」と使い分けてきた。

頼りにしてきた中国経済は今や、昔日の面影が消えようとしている。韓国は、中国に対する米韓同盟の原則を違えるような間違った行動が、韓国の安全保障にはね返るのだ。「3不1限」は、その典型例である。韓国は、眼を醒まさなければならない時期になった。

中国経済が現在、瀕死の重傷を負っていることは、もはや指摘するまでもない。ロックダウンによる経済活動の縮小と、不動産バブルの崩壊が重なって最悪状態である。私は、不動産バブルの崩壊が中国経済の「命取り」になることを、日本経済の経験を踏まえて言い続けてきた。現実は、まさにその状態に落込んだ。

日本でも、中国の不動産バブルを軽視する見方がつい最近まであった。それを上げておきたい。『日本経済新聞』(21年11月3日付「大機小機」)から引用した。大機小機は有名なコラムである。

「日本人のひがみ意識からして、『中国も日本のようにバブルが弾けてしまえ』との願望に近い見方がないだろうか。日本のバブル崩壊時と比べ中国は依然高い潜在成長率を保っている。また、日本の1990年代のような金融引き締めや不動産市場への懲罰的な対応でバブル潰しを行う状況にもない。金融機関への規制が依然として続くなか金融システム問題に至る不安もバブル崩壊時の日本に比べ低い。不動産会社の倒産やデフォルトも続くが、一部で期待されるようなバブル崩壊は残念ながら生じにくいと展望する。(玄波)」

この記事は、中国経済の潜在成長率の高さを理由にして、バブル崩壊は起こりにくいとしている。バブル崩壊は、潜在成長率が高いから起こらないということはなく、過剰な信用供与の下で発生する。特に気を付けるべきは、生産年齢人口比率がピークを迎える前に起こることだ。

Next: 中国依存は危険な綱渡り。日本のバブル崩壊と同じ轍を踏む

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