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台湾有事を傍観して滅ぶ韓国。二股外交が中国軍を刺激、中国バブル崩壊で「韓国有事」へと延焼していく=勝又壽良

韓国は台湾有事を「対岸の火事」と見ている。「経済は中国、安保は米国」と使い分けて傍観している。日本に対して、「台湾有事を利用して防衛力増加に動き出している」と批判までしている。ここにきて韓国もようやく中国との距離をおきはじめたが、遅すぎであろう。台湾が中国に落ちれば、韓国有事に発展していく。(『 勝又壽良の経済時評 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2022年8月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「台湾有事を利用して日本が軍拡している」韓国の的はずれな批判

韓国は、台湾問題についてほとんど沈黙を貫いてきた。中国との関係悪化を危惧した結果である。これにより、国内でも台湾問題は「対岸の火事」として捉える偏った見方を広めることになった。

だが、先のペロシ米下院議長の訪台後に起こった、中国軍の台湾を取り囲む大演習によって、台湾海峡を封鎖する事態が現実化する恐れを抱かせるにいたった。

台湾海峡は、韓国貿易にとって欠かせない海上交通路である。ここが、封鎖され戦争状態に陥れば、韓国の国益は大きく損ねる。こうして台湾有事は、韓国有事になり得ることを否応なく認識させたのである。

これまで韓国有力メディアは、日本が台湾有事を利用して防衛力増加に動き出していると批判的トーンであった。日本は、太平洋戦争で近隣諸国を戦火に巻き込んだ反省が足りないと非難。平和憲法を維持せよと迫っていたのである。

これに対して、私はドイツの例を持ち出し国際情勢急変の現在、日本もやむを得ない措置であると主張した。

ドイツは、NATO(北大西洋条約機構)の中で、防衛費が対GDP比で1%見当に止まっている。NATOの申し合わせでは、2%達成が目標である。ドイツは、2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、これまでの消極的姿勢を改め、防衛費の2%達成を公約に掲げた。ロシアの軍事侵攻へ対抗する姿勢を明確にしたのだ。

日本の防衛費増大は、ドイツと同様に対GDP比1%を2%に引き上げるものだ。これについて韓国メディアは、近隣諸国の了解が必要だとしている。具体的には、韓国の了承が必要という高飛車な態度に出ている。日本の防衛費増額は、日米同盟の中で行なわれるものだ。ドイツとNATOの関係と同じである。日本が、単独で防衛費を増やすという問題でない。

台湾有事を「対岸の火事」と傍観する韓国

韓国文政権は、意図的に台湾問題への言及を避けてきた。

それは、本質的に「反米思想」の根強い「86世代」(1960年代生まれで80年代に学生生活を送り軍事政権と対決した50代)によって、文政権が動かされてきたことと関係する。彼らは、台湾問題が不安定な原因は米国にある、という先入観に支配されてきた。具体的には、次のようなものだった。根強い反米感情と、朝鮮半島にだけは飛び火しないことを望む「フリーライディング(ただ乗り)」への願望に支配されてきたのだ。

この2つの要因は、朝鮮李朝末期の偏狭な外交感覚と瓜二つである。李朝は、ロシアへの支援を求めていたが、英米の外交方針と大きく食い違っていた。英米は、ロシアの南下を食い止める策を巡らしていた。日英同盟は、そういう英米の世界戦略から生まれたものだ。

李朝は、英米の世界戦略から外れた外交選択をしようとして結局、歴史は日韓併合へ流れることになった。文政権の外交戦略は、中国接近である。李朝はロシアを頼り、文政権は中国へなびいたのである。世界の大勢を読めない盲目的選択という点では、李朝も文政権も何ら変わりなかった。

Next: 中国にベッタリだった韓国文政権。台湾が中国に落ちるとどうなる?

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