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韓国経済の柱「半導体産業」が折れる寸前。米国の“囲い込み”法で大打撃、日本と同じ盛衰の道を歩む=勝又壽良

台湾有事は韓国にとって死活問題

米国は半導体の研究開発や補助金、サプライチェーン関連政策で協調する「チップ4」同盟に韓国、台湾、日本を引き込もうとしている。この圧力はさらに強まる可能性が高い。韓国の半導体企業は、これまで米中対立のどちらかに肩入れすることに慎重な姿勢であったが、それも限界に達している。「白黒」の決着を付けなければならない段階である。米国半導体法がそれを迫っているのだ。

中国は、世界の主要な半導体需要国であり、韓国の主要な貿易相手国だ。2021年の韓国の半導体輸出のうち中国に輸出した割合は39.7%だ。中国が、韓国全体の輸出に占める割合(25.3%)よりはるかに大きい。これだけのウエイトを持つ半導体輸出が将来、米国半導体法によって縛られ、減少すればどのような影響が出るか、だ。韓国経済にとっては、死活問題になろう。

中国の台湾侵攻が始まれば、韓国は西側諸国に課される安全保障優位という命題を守らざるを得ないだろう。韓国の「家庭の事情」など、吹けば飛ぶような問題になる。

そういう意味で、韓国の台湾有事への認識の浅さと比例して、「非常時意識」がゼロである。38度線で北朝鮮と対峙しながら、自衛隊を敵視して海上自衛隊哨戒機へレーダー照射する驚くべきチグハグさを見せている。

真の敵はどこかという判別が付かないで、感情のままに流されている国家である。韓国は危ないのだ。

中国でのシェア激減へ

専門家は、米国による最先端装置の対中輸出規制が、韓国のサムスンとSKハイニックスのメモリーメーカーに影響を及ぼすと指摘している。「韓国勢の中国での生産シェアは時間がたつにつれ、大幅に減るだろうと予想しているのである。

例えば、「SKハイニックスは、中国でEUV(注:13.5ナノメートルの非常に短い波長の光。極端紫外線)を使えなくなる。旧式の技術を使えば事業として成り立たない。同社や他の半導体大手にとって、中国でのDRAM(半導体メモリー)製造は死んだも同然」(『フィナンシャル・タイムズ』8月21日付)とされている。

韓国半導体企業には、こうした不吉な予想が出始めているのだ。現在の韓国は、中国へのめり込み過ぎて、中国に関わる潜在的なリスクの大きさに気づかないのである。半導体が軍需物資であるという重要な事実を見落としているからだ。

ここで、日本半導体産業の栄枯盛衰を振り返っておきたい。韓国の半導体産業にも通じる面がある。

世界の半導体売上ランキングは1986年、1位がNEC、2位が東芝、3位が日立製作所であった。当時の米国は、貿易赤字を抱える原因を「米国は競争力を持ちながら、日本市場の閉鎖性によって対日輸出が増加しない」ことが原因としていた。そこで、スーパー301条(不公正な貿易慣行を続ける国に対する制裁手続き)の発動をなかば「脅し」として使うことによって、日本の半導体市場開放を要求した。これが、日本半導体衰退のきっかけになったのである。

米国が、半導体について自国利益を強行に主張するのは、半導体が軍需物資の1つとして捉えている結果である。他国は、米国が半導体産業を防衛問題として理解していることに注意を払うべきだ。

韓国半導体も、日本半導体の歩んだ盛衰の道を歩まされる危険性が高いのである。

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