fbpx

国葬、統一教会騒動で支持率デッドクロス。世論を敵に回した岸田政権の早すぎる終焉=山崎和邦

岸田首相の短命説

日本の首相はその地位を維持するためには、1)国政選挙に影響する国民世論、2)自民党総裁選に影響する党内世論、この二つのバランスを保つことに歴代の首相は腐心してきた。岸田首相は党内四番目の派閥の長に過ぎない。歴代政権の中でも弱い部類に入るだろう。特に、清和会(安倍派)が他の派閥より圧倒的に多い。

国葬をいち早く決めたのは、彼らのご機嫌を取ることがおそらく岸田首相の主目的であったろう。フローの面からだけで言えば、安倍元首相の功績は大きい。その意味で筆者は必ずしも国葬には反対ではなかったが、その軽率さ・そのホンネがミエミエである点、これに対しては最初から筆者は「後で大騒ぎになるだろう」と見ていた。

党内世論と国民世論の間に差があったことにより、首相候補であっても首相になれなかった例がある。最近の例としては、石破茂氏や河野太郎氏の例である。首相候補ではあったが、首相にはなれなかった。党内基盤の弱い首相は党内の異端児として、党の外の国民世論の受け皿となり得る

。金権政治で退陣した田中角栄の後は「クリーン三木」を売り物にした三木武夫元首相がその例である。その三木元首相もやはり党内世論は低かったので、各種改革案に対して党内世論の反対にあって、妥協せざるを得なくなって国民世論の支持率を急落させた。

岸田首相が国民世論と党内世論のどちらを優先すべきかと言えば、当然国民世論であろう。党内基盤の弱い首相にとっては国民世論が頼みの綱である。第四派閥の長に過ぎない岸田首相は、国民世論の支持を失った時に政治生命を失う。ところが、国葬問題・「新しい資本主義」の曖昧さの問題・旧統一教会の問題等で国民世論が低くなっている。本稿が軽率にも岸田政権短命説を9月11日号で述べた。これはその辺のところを背景としたものである。

旧統一教会叩きへの違和感

旧統一教会は大いに問題のある教団であると筆者も思う。しかし、旧統一教会のやってきたことは、安倍元首相暗殺者の行為に対する原因にはなっているが、暗殺を呼びかけたわけでも教唆したわけでもない。

一方、1979年のイラン革命はどうだったか?筆者は、その直前にパーレビ国王のもとに平和に治まっていたイランを、昔の超大国ペルシャを訪ねたいと思って旅行していた直後だった。ホメイニ師という宗教家が現れて、パーレビ国王を殺害はしなかったけれど、海外に追放した(欧米化していたパーレビ国王夫妻は端正なスーツを着こなして、欧米のごとくに国を去って行くときの挨拶は、全く欧米人めいていたものだった)。ホメイニ革命は、平和で静かな中東の大国イランを核保有した軍事国家に変えてしまって中東の問題児とさせ、ブッシュは「悪の枢軸」の一つと指定した。

この1979年のイラン革命の時の最高指導者ホメイニ師は、反対者のラシュディを殺害した者に莫大な賞金を払うという宗教令を出した。そういう意味で、イランの暗殺指示責任を追及されるのは、道理に合うと思う。

また、トランプが武装した支持者が議事堂に侵入して銃を所持した支持者によるデモも行われていることを承知の上でFBIは手を緩めたとか、演台の上からみんなで議事堂に行こうと煽った。そして連邦議会議事堂へ乱入が始まってから3時間は止めようとしなかった。トランプにこういうことへの責任は問われるべきだろう。

これに対して、筆者は旧統一教会を弁護するつもりはないし、大いに問題のある教団だとは考えているが、旧統一教会は首相の暗殺を指示しなかったし教唆もしなかった。この点は厳密にイラン革命のホメイニ師と区別すべきだと思う。

これは「最高扇動責任者トランプ」というコラムニストの一文を、週刊誌Newsweek日本語版9月13日号で、「暗殺の指示も教唆もしなかった統一教会を絶対悪とみなすことは、信仰の自由を妨げる一歩手前まで来ているような気がする」と述べていたことに、筆者は同感だったから敢えて述べた。

筆者は狙撃者を弁護する気は毛頭ない。しかし、安倍元首相暗殺事件は、政治の弛緩が招いた惨劇であり、奈良県警の責任でもあり、公安委員会の責任でもあり、ブッシュが狙撃されそこなった時の画像と比較すると、日本首相警護は全くなっていない、所謂平和ボケしていることは明らかである。

当時、最高責任者が直ちに辞職すべきだと思っていた筆者は、やはり早とちりだった。検証が済むまで、あるいは騒動が一応収まるまで辞職すべきではなく、彼らは特別な思いで辞職願の提出を我慢していたに違いないと思うので、筆者は早とちりを反省した。

誰も動かぬ新しい資本主義

菅首相が党内でもパワーがなく、「選挙の顔」には全くふさわしくないということであっさり見切りを付けられてしまった訳は、彼に「日本をこうしたい」というビジョンらしいビジョンがなかったこと、「ビジョン無き仕事人タイプ」という政治家であって、首相として不適当な人物であったからだ。

それを岸田首相はよく熟知しているから「新しい資本主義」というビジョンと理念を打ち出した。理念は何よりも大切だが、理念は理念でしかない。「理念無き仕事人」よりはマシであるが、菅政権が残した功績は、理念無き政治家はさっさと去るということであり、この教えを岸田首相は忠実に守ってはいるが、理念だけで経済も国防も動かない─

続きはご購読ください。<残約13,000字>。

<山崎和邦の投機の流儀vol.537 9/18号>

第1部:当面の市況
(1)市況コメント
(2)1ドル140円なら、今期経常利益8%に増大
(3)所謂「7年周期説」というものがある。たまたま2022年は「7年周期説」の年に該当する。
(4)9月7日の円ドル相場は144円台
(5)9月の配当落ち分
(6)経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」以降、株式時価総額は世界で約700兆円を喪失、日本一国が吹き飛んだに等しい。
(7)8月、自社株買いが最高
(8)「孤高の日銀」と「景気を犠牲にしてでも金融引き締め覚悟のFRB」

■ 第2部:中長期の見方
(2)「株は悲観ムードの今こそ買い」
(5)日本の多くの政権が戦後の高度成長期を学んで、経済再生の方策を描いてきたのは間違いである。
(6)コロナ第7波にピークアウト感
(7)長期的な見方については、別の角度からの考え方がある。
(8)人材・人財・人罪・人在

(9)何故予見するのか?準備するためだ。
(10)「バフェット氏には逆らうな」

■ 第3部;超長期の見方
「週報」についての交信(9月13日、K様との交信)

※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ購読!

<定期購読ですぐ読める! 9月配信済みバックナンバー>

※2022年9月中に定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2022年9月配信分
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.537(9/18)
  • ★★★2022年9月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(9/18)
  • ★★★山崎和邦×武者陵司氏 9/27(火)19時 LIVE Webセミナー開催のお知らせ(9/15)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.536(9/11)
  • ★★★2022年9月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(9/11)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.535(9/4)
  • ★★★2022年9月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(9/4)

いますぐ購読!


※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2022年9月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に購読をどうぞ。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます。

2022年8月配信分
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.534(8/28)
  • ★★★ 2022年8月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(8/28)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.533(8/21)
  • ★★★ 2022年8月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(8/21)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.532(8/14)
  • ★★★ 2022年8月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(8/14)
  • 山崎和邦の投機の流儀vol.531(8/7)
  • ★★★ 2022年8月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(8/7)

2022年8月のバックナンバーを購入する

【関連】安倍元首相の死と共に終わる自民党。いよいよ国民の「消極的支持」すら失う日が来た=鈴木傾城

【関連】国葬費用2.5億円に抑えるも警備費30億円超?法的根拠なき“なんちゃって国葬”で世界に知れ渡るカルト国家ニッポン=今市太郎

1 2

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年9月18日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

山崎和邦 週報『投機の流儀』

[月額1,500円(税込) 毎週日曜日(年末年始を除く)]
大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー