岸田政権が閣議決定によって強硬開催することになった安倍晋三元首相の国葬。その費用は批判を避けるために当初報道の37億円から2.5億円弱となるような説明がされていますが、海外要人が参加するとなれば警備費用が30億円超えで加算されてくるという話も出回っています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2022年8月28日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
政治的な利用価値もなくなった国葬
岸田政権が閣議決定によって強硬開催することになった安倍晋三元首相の国葬。
国民の評判はすこぶる悪く、相当な保守系メディアの世論調査でも半数が反対、ものによっては7割以上が国葬反対を表明する始末です。
内閣支持率の低下にも大きな影響を与えていることから、その実施にあたっての国民への姿勢も日々後退しはじめていることが明確になってきています。
7月の安倍氏銃撃事件発生直後は、さすがに衝撃的であったことから、その死を悼む姿は自然発生的に強まることとなりました。
しかしながら、49日も済まないうちに、旧統一教会とのおかしな関係が最も深かったのが安倍元首相であることが顕在化。さらに、その取り巻きの議員が統一教会とベッタリの関係だったことも次々と露見する始末。
国葬を政治的に利用しない手はないと意気込んでいた岸田首相の打算的な思惑は、実施1か月前ですでに粉々に粉砕されかけた状況に陥っています。
思いっきり実施を表明した関係上、いまさら取り下げるわけにもいかなくなったこの安倍元首相国葬は日々後退を余儀なくされており、すでに何の意味があるのかわからないところに追いやられています。
もはや内閣法制局の説明は“カニ風かまぼこ”状態のなんちゃって国葬
この国葬の実施にあたっては、法的にいったいどういう実施根拠があるのか。これが当初から問題になっていましたが、内閣法制局は次のような苦しい見解を示しています。
御指摘の「法令の根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在までに国葬儀について規定した法律はない。閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を内閣が行うことは行政権の作用に含まれること、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から、可能であると考えている。
国葬令が存在しない現状にあっては国葬儀という名目で実施するしかないのが現状のようですが、ますます国民の理解からは遠ざかるかなり苦しい説明になってしまっていることだけは間違いない様子。
それでも岸田首相はこれをいわゆる国葬などと呼ぶものですから、さらにその定義はあやふやなものになろうとしている状況です。
平たくいえばカニの風味のするカニ風かまぼこが国葬儀といえそうで、その無理やり実施感はどこまで行っても解消されません。
我々国民としては国葬儀の「ギ」の部分だけ発音しないようにしているのが岸田首相の言う国葬であると理解すれば、かなりわかりやすくなるのではないでしょうか。
それにしても法律の番人であるはずの内閣法制局が、閣議決定などという極めて表層的な行為だけをもとに政権を守る番犬となってしまったことは、かなりの驚きです。
ある意味これも安倍元首相が残した悪しき置き土産となっていることがひどく気になる状況です。