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韓国“半導体二流国”に陥落。台湾との圧倒的技術力の差が露呈し、韓国経済は暗黒時代に突入する=勝又壽良

技術力の高い台湾半導体の輸出は順調

台湾は、半導体の中国輸出で、韓国と全く異なる様相を呈している。台湾の半導体輸出には、何の変調も出ていないのだ。中国の半導体生産は、需要減で大きく落込んでいるのに、台湾半導体にはその影が全くないのはなぜか。それは、台湾半導体が非メモリー型であることだ。自動車などに使われる「オーダーメイド半導体」であるので、需要先に変調が出ないかぎり、台湾半導体輸出に陰りは出ないであろう。

台湾半導体の対中国輸出状況を見ておこう。

今年1~8月の中国向け半導体輸出が430億ドル。輸出全体の51.8%を占めた。1~8月の半導体貿易黒字は223億ドル。貿易黒字全体の92.7%を占めた。昨年1~8月の半導体貿易黒字は303億ドル、貿易黒字全体の69.8%だった。

込み入った数字だが、言いたいことは次の点にある。今年は世界的なインフレで輸入物価が上昇している中で、台湾は半導体の貿易黒字で貿易収支全体を支えていることだ。台湾トップの半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)は、設備投資資金も自己資金で賄うという「スーパー優良企業」になっている。「オーダーメイド半導体」の採算が、いかに良いかを端的に物語っているのだ。

TSMCは、半導体の進化を支える微細化技術で、世界一の実力を持つとされる。20年春には半導体の性能を左右する回路線幅が5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体を世界で初めて量産。製造分野に集中投資し「技術力と生産キャパシティーの両面で、各社はTSMCに頼るほかない状況だ」とまで言わせる存在だ。

半導体工場は台湾が占領

このTSMCに刺激された形で、台湾全島で半導体設備投資が進められている。台湾は、未曽有の半導体の投資ラッシュが起きている。総額16兆円に及ぶ、世界でも例を見ない巨額投資だ。世界から台湾の地政学的リスクが何度も指摘されてきた。それでも、台湾は巨額投資に突き進んでいる。

それは、世界一の「半導体生産基地」になれば、いくら中国でもこれら設備を破壊する侵攻作戦を始めないだろう。また、西側諸国が「半導体」台湾を簡単に見捨てることはあるまい、という思惑に突き動かされているように見える。

台湾南部の中核都市・台南市は、TSMCが一大生産拠点を構えた場所である。世界で最も先端の工場が集まる場所として知られ、今年、TSMCが4つの新工場を完成させたばかりである。さらに、2つの工場が建設されている。

TSMCは、最先端品(3ナノメートル=ナノは10億分の1)の新工場建設を周辺4カ所で同時に進め、拠点での集中生産を加速させる。TSMCが手掛ける半導体の新工場は、少なくとも1工場当たり、投資額が1兆円程度と巨額である。それをTSMCは現在、この周辺だけで実に4工場も同時に進めているのだ。

この慌ただしさは、TSMCだけではない。こんな光景が今、台湾全土で広がっている。日本経済新聞が台湾の半導体各社の投資状況を調べたところ、少なくとも現在、台湾域内で20もの新工場が建設中か、あるいは建設されたばかりの状況であることが分かった。立地も北部の新北から、新竹、苗栗、さらには台南、最南部の高雄にまで全土に及び、その投資額の合計は前述の通り約16兆円にのぼる。
※参考:半導体投資、台湾全土が沸騰 全20工場16兆円 – 日本経済新聞(2022年6月7日配信)

一見すると、無秩序な半導体工場建設に見えるがそうではない。世界10大ファウンドリ(委託生産)企業のうち4社が台湾に存在している。世界1位のTSMCをはじめとする、台湾ファウンドリ4社の世界市場シェアは、今年の第1四半期基準で64.0%を占めた。ファウンドリは、非メモリー型半導体生産である。

今後、半導体があらゆる産業で不可欠の存在になるのは、この非メモリー型半導体に発展に負う。反面で、メモリー型半導体のウエイトは、次第に小さくなるであろう。

Next: 中国の圧力もどこ吹く風。半導体に魅了された欧米各国の“台湾詣で”

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