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米国を公式文書でボロクソ批判、中国外務省が発表した驚愕の外交方針。米中対立は決定的か=高島康司

のっけから始まるアメリカ批判

それではその具体的な中身を少し詳しく見てみよう。この文書がアメリカを強く批判するものであることは、「はじめに」の部分を見てもはっきりしている。以下がその部分の抜粋だ。筆者が下手な解説を加えるよりも、文書を見た方が分かりやすい。

はじめに

二つの世界大戦と冷戦を経て世界最強の国となった米国は、他国の内政に干渉し、覇権を追求、維持、乱用し、破壊と浸透を進め、故意に戦争を行い、国際社会に害をなす行為をより大胆に行うようになった。

米国は、民主主義、自由、人権を推進するという名目で、「カラー革命」を起こし、地域紛争を扇動し、さらには直接戦争を仕掛けるという覇権主義のプレイブックを開発した。冷戦の精神にしがみついて、米国はブロック政治を強化し、紛争と対立をあおってきた。国家安全保障の概念を拡大解釈し、輸出規制を乱用し、一方的な制裁を他国に強要してきた。また、国際法や国際ルールに対して選択的なアプローチをとり、適当に利用したり捨てたり、「ルールに基づく国際秩序」の維持の名の下に、自国の利益につながるルールを押し付けようとしてきた。

本報告書は、関連する事実を提示することによって、政治、軍事、経済、金融、技術、文化の各分野における米国の覇権の乱用を暴露し、米国の慣行が世界の平和と安定およびすべての人民の幸福に及ぼす危険性について、より大きな国際的関心を喚起することを目指すものである。

このように、中国外務省の発表した公式文書とは到底思えない過激さだ。アメリカ中心の国際秩序をはっきりと拒否する姿勢が明確に出ている。

I. 政治的覇権―その重圧を振り回す

そして、最初の政治的覇権では、アメリカの政治的覇権に基づく現行の国際秩序を批判する。次のようなことが書かれている。抜粋しよう。

米国は長い間、民主主義と人権を促進するという名目で、他国と世界秩序を自国の価値観と政治システムで形成しようとしてきた。

米国による内政干渉は枚挙にいとまがない。民主化促進」の名の下に、ラテンアメリカでは「ネオ・モンロー・ドクトリン」を、ユーラシアでは「カラー革命」を、西アジア・北アフリカでは「アラブの春」を扇動し、多くの国に混乱と災厄をもたらしたのである。

そして、ユーラシアに関しては次のように言う。

2003年は、グルジアの「バラ革命」、ウクライナの「オレンジ革命」、キルギスの「チューリップ革命」と、相次いで「カラー革命」が起こった年である。米国国務省は、これらの「政権交代」で「中心的な役割」を果たしたことを公然と認めている。米国はフィリピンの内政にも干渉し、1986年にフェルディナンド・マルコス・シニア大統領を、2001年にはジョセフ・エストラダ大統領を、いわゆる「人民の力革命」によって追い落とした。

これはネットでは主流になっている陰謀論ではあるが、欧米の主要メディアからは完全に排除された見方だ。日本を含む欧米はいまだに「カラー革命」を独裁政権を打倒した民主主義の勝利としてしか認識していない。

そして、次のような非難でこのセクションを締めくくっている。

米国は、他国の民主主義に恣意的に判断を下し、「民主主義対権威主義」という誤った物語を捏造して、疎外、分裂、対抗、対立を扇動している。2021年12月、米国は第1回「民主主義サミット」を開催したが、民主主義の精神を愚弄し、世界を分断するとして、多くの国から批判と反対を浴びた。2023年3月、米国は再び「民主主義のためのサミット」を開催するが、これは依然として歓迎されず、再び何の支持も得られないだろう。

II. 軍事的覇権―武力の乱用

このように、アメリカは一見聞こえのよい「民主主義対権威主義」というスローガンを掲げながら、結局は世界の国々の疎外、分裂、対抗、対立を扇動していると非難する。さらに次のセクションでは、アメリカの軍事的な覇権を批判する。

米国の歴史は、暴力と膨張によって特徴づけられている。1776年に独立して以来、米国は常に力による拡張を追求してきた。インディアンを虐殺し、カナダに侵攻し、メキシコに戦争を仕掛け、アメリカ・スペイン戦争を扇動し、ハワイを併合してきたのである。第二次世界大戦後、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、コソボ戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、リビア戦争、シリア戦争など、アメリカが引き起こした、あるいは起こした戦争は、軍事的覇権を乱用し、拡張主義への道を開いてきた。近年、米国の年間平均軍事予算は7000億米ドルを超え、世界全体の4割を占め、後続の15カ国を合わせたよりも多くなっている。米国は海外に約800の軍事基地を持ち、159カ国に17万3千人の兵士が配備されている。

そして、このようなアメリカの軍事的覇権が多くの悲惨な戦争を引き起こしてきたとして、次のようにアメリカを断罪する。

米国は、戦争においても恐ろしい方法を採用してきた。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、コソボ戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争で、米国は大量の化学・生物兵器、クラスター爆弾、燃料空気爆弾、黒鉛爆弾、劣化ウラン弾を使用し、民間施設に多大な損害を与え、無数の民間人が犠牲になり、環境汚染は永続的に続くことになった。

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