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米国を公式文書でボロクソ批判、中国外務省が発表した驚愕の外交方針。米中対立は決定的か=高島康司

III. 経済覇権―略奪と搾取

次は、アメリカの経済覇権の批判だ。次のように始まる。

第二次世界大戦後、米国はブレトンウッズ体制、国際通貨基金、世界銀行の設立を主導し、マーシャルプランとともに、米ドルを中心とする国際通貨体制を形成した。また、米国は、「85%以上の賛成による承認」をはじめとする国際機関の加重投票制度や規則・取り決め、国内の通商法制を操作することで、国際経済・金融分野における制度的ヘゲモニーを確立してきた。ドルが主要な国際基軸通貨であることを利用して、アメリカは基本的に世界中から「通貨発行益」を集め、国際機関に対する支配力を利用して、他国にアメリカの政治・経済戦略への奉仕を強要しているのである。

これは、ドルを国際決済通貨にすることで構築されたアメリカ中心の金融システムへの批判である。それは、次のような被害を世界の国々にもたらした。

アメリカの経済・金融覇権は地政学的な武器となった。国際緊急経済力法、グローバル・マグニツキー人権説明責任法、制裁によるアメリカの敵対者への対処法などの国内法を制定し、特定の国や組織、個人を制裁する大統領令を次々と導入し、一方的な制裁と「ロングアーム司法」を倍加させた。統計によると、米国の外国法人に対する制裁は2000年から2021年にかけて933%増加した。トランプ政権だけでも3,900件以上の制裁を実施しており、1日あたり3件の制裁を実施していることになる。これまで米国は、キューバ、中国、ロシア、北朝鮮、イラン、ベネズエラなど、世界40カ国近くに対して経済制裁を行っていた、または行っており、世界人口の半分近くに影響を与えている。”The United States of America” は “the United States of Sanctions” に変わってしまったのです。そして、”long-arm jurisdiction” は、米国が国家権力という手段を使って経済的競争相手を弾圧し、正常な国際ビジネスに干渉するための道具に過ぎないものに成り下がってしまった。これは、米国が長い間誇ってきた自由主義市場経済の原則からの重大な逸脱である。

日本について

この後この文書は「IV. 技術的覇権―独占と抑圧」と「V. 文化的ヘゲモニー―虚偽の物語の流布」の2つのセクションが続き、アメリカの覇権を包括的な視点から非難するが、記事があまりに長くなるので割愛する。

またこの文書で興味深いのは、日本がアメリカから被害を受けた国として書かれていることだ。

米国は、経済的な強制力をもって、故意に相手を弾圧する米国は、経済的な強制力をもって、故意に相手を弾圧する。1980年代、アメリカは日本の経済的脅威を排除し、ソ連との対決と世界支配という戦略的目標のために日本を支配し利用するために、その覇権的金融力を駆使して日本に対抗し、プラザ合意を成立させた。その結果、円高が進行し、日本は金融市場の開放と金融システムの改革を迫られた。プラザ合意は日本経済の成長力に大きな打撃を与え、日本は後に “失われた30年 “と呼ばれる事態に陥った。

このようにこの文書では、日本の失われた30年が結局アメリカが仕掛けた「プラザ合意」を起点に始まったのだとして、アメリカを強く非難する。

ただ、日本が「失われた30年」という長い停滞期に入った理由のひとつにアメリカの関与があることは間違いないにしても、その原因が円高と金融自由化を決めた「プラザ合意」にあるかと言えば、決してそうではないだろう。「プラザ合意」がもたらした円高と金融自由化は、バブル経済と日本の急速なテクノロジーの発展を促し、むしろ当時の日本の発展にはプラスに作用したように思う。

そうではなく、1988年の「日米構造協議」、そして1989年に始まり、当時は最先端であった日本製半導体を壊滅させた「日米半導体協議」こそ、「失われた30年」の長い低迷を引き起こした原因となった。

いずれにせよ、中国外務省のこの文書にある通り、日本を停滞させた原因の1つは間違いなくアメリカの圧力だったと言える。

Next: これは誰に向けられた文書なのか?王毅・プーチン会談の2日前に発表

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