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もう楽天は詰んでいる。公募増資と楽天モバイル“最強プラン”の悪手で崖っぷちへ=栫井駿介

なぜ今?公募増資せざるを得ないワケ

今回の公募増資はなぜこのタイミングだったのでしょうか。

むしろ、このタイミングしかなかったのかもしれません。

なぜかというと、今まで借りてきたお金を返していかなければならないフェーズに入ったからです。
2023年は780億円、2024年は3,325億円、2025年は4,760億円と、毎年何千億というお金を返さなければなりません。
通常なら借り換えを行うのですが、借入を行った2020年頃とは楽天の財務状況は大きく変わって、それまで楽天市場のEC事業によって潤沢だったお金が楽天モバイルの赤字ですっからかんになって、格付けもBBに格下げとなると、借り換えできなくもないとは思いますが少なくとも金利が上がってしまいます。

公募増資には、資本を調達して設備投資等に使う面もありますが、それ以上に大事なことが自己資本比率を上げるということです。
自己資本比率が上がると、貸し手からの信用が上がって金利が下がりやすくなります。
この借り換えのタイミングで自己資本比率を上げることは金利を引き下げるために不可欠なものでした。
楽天の現状で金利まで上がってしまうとさらに黒字化が遠ざかってしまうので、公募増資は本格的な借り換えが始まるこのタイミングしかなかったと言えます。

楽天は今、財務が火の車で、なんとか生き残ろうと様々な手を打っていますが、もう打てる手はこの公募増資が最後ではないかと思います。
しかし、いくら手を打っても最終的には楽天モバイルのユーザーが増えないことにはどうしようもありません。
楽天モバイルの優位性は価格にしかないという状況ですが、他社にも安いプランがあり、無制限を売りにするとローミング費用がかさむという、「詰み」の状態であると私は思います。

ここから先はKDDIの傘下に入ったり、身売りするなどの手しかないかもしれません。

楽天の公募増資を検討しているのなら、今回の私の話を思い出していただければと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by: RYO Alexandre / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年5月18日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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