今回は「日本に外交ナシ!大借金国なのに首相外遊では巨額の血税バラ撒き。国民経済は切り捨てたうえに増税……こんな狂気のスタンスでも自民党支持率は安泰」という問題意識で、その闇をえぐっていきます。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
「海外バラ撒き」を続ける日本の首相
「外交のアベ」を標榜し、「地球儀を俯瞰する外交」などと大仰に唱えていたのが、今は亡き安倍晋三元首相でした。
第1次(2006年9月~07年9月)、第2次(2012年12月~20年9月)の計8年7カ月に及ぶ最長首相在任記録をつくった安倍晋三元首相は、とりわけ「外交」には熱心で、せっせと外遊に励んでいたものです。
そして、首相在任期間中には、総額60兆円超ものバラ撒きで98ヵ国(延べ約200ヵ国)もの外遊を行っています。
単純に年間平均すると、毎年7兆円もの巨額の資金を世界にバラ撒いていたのです。7兆円といえば、毎年の消費税率換算で3.5%分にも相当する金額です。
この金額は、2018年時点での参議院本会議において、社民党の福島瑞穂議員が、安倍首相の海外援助額を単純加算した外務省からの回答が54兆3,621億円だった――と公表したことで明らかになっています。
安倍元首相の外交は「やってる感」だけの国民向け演出
また、安倍元首相は、ロシアのプーチン大統領とは通算27回もの日露首脳会談を行っています。
そして、「北方領土返還」と「平和条約締結」を目指し、ロシアへの経済協力という名での、日本からの官民合わせた支援額は、ゆうに3,000億円を超えていたのです。
「ウラジミール」「シンゾウ」と呼び合うほどの親密な仲だったと喧伝されましたが、北方領土返還については4島一括返還要求のはずが、いつのまにか勝手に2島先行返還要求にまで譲歩していました。
結局、ロシアのプーチン大統領とは北方領土返還問題で、まるで交渉相手にさえ成らずじまいで、ロシアのウクライナ侵攻の際、安倍元首相は「ロシアには騙された感があった」などと傍観者丸出し然とした発言だったのが印象的でした。
プーチン大統領に声明を出して「ウクライナ侵略をやめろ」などと諫めるどころでもなかったのです。
プーチン大統領にはさんざん、たかられた挙句、日本の総合商社のサハリン権益まで脅かされて、これまでの27回の首脳会談の成果はゼロどころか、マイナスにさえなった――という有様でした。
こうした外交についてのマイナス成果は、自公政権とどっぷり癒着のマスメディアからの批判さえ、もちろんありません。
今では、自民党全体が米国の指図に従って、ロシア制裁の輪にも加わっています。とっくにロシアとの友好関係は消え失せてしまったのでした。
これはもう、まともな外交もへったくれもなく、「外交してる感」の国内向け演出にすぎなかった――という体たらくです。