一般会計の2〜4倍にのぼる裏帳簿・闇会計としての存在が「特別会計」
ところで、外務省の表向きのODA予算は、年間5,000億円規模にすぎないのに、どうして数十兆円単位の巨額のカネを外国にバラ撒くことができるのでしょうか。
そこには、政府の歳入と歳出を取りまとめた「一般会計」とは別の、その4倍以上の規模にも及ぶブラックボックスと呼ばれる「特別会計」の存在があるからです。
なんと、これが未だに13もあるのです(戦前には最大60、戦後にも一時期最大45もの特別会計があり、とりわけ戦前の臨時軍事費特別会計はひたすら膨張しまくり、ついには戦争遂行に駆り立てました)。
ちなみに2022年度の「一般会計」予算(国家予算)は補正後で110兆円でしたが、同年度の「特別会計」の歳出総額は467兆円で、重複分を除いた純計額では218兆円です。
国会で審議が行われる「一般会計」の総額で4倍、純計でも2倍以上もの予算が「特別会計」として計上されているのです。
一般会計はカツカツの財政状況でも「特別会計」は潤沢
「特別会計」とは、いったい何なのでしょうか。
国の会計は、「一般会計」で一体的にとらえられています(単一会計主義)。行政施策の内容が、国会で審議され、国の予算として承認されています。
しかし、国の行政活動が広範かつ複雑化すると、単一会計だけでは、各個の事業状況や資金の流れが見えにくくなるとして、一般会計とは別に特別会計を設けることが認められているのです(財政法第13条第2項による)。
会計を分けることで、特定の歳入や歳出を見えやすくし、特定の事業や資金運用の状況を明確化できる――というのが目的となっています。
とまあ、上述の説明が、「特別会計」における政府・財務省の公式見解なのです。
潤沢なカネの宝庫「特別会計」はブラックボックス状態
しかし、実際には、「特別会計」を設けることで、かえってカネの流れを見えにくくしているのが実態です。
なぜなら、国会で審議された「一般会計予算」も、そこからかなりの金額が「特別会計」にも組み入れられて、特別会計の下では、各省庁が特殊法人を多数つくり、その下にぶら下がるファミリー企業群を差配することで、省益追求の恣意的バラ撒きや、官僚OBの天下りや利権配分の温床となるからです。
会計検査院でさえ、ファミリー企業群には民間企業ゆえにチェックするという手立てもできません。
かつての道路整備特別会計では、日本道路公団(05年民営化)などの特殊法人の下、ファミリー企業が700社も特別会計の先っぽにぶら下がり、公団OBが天下っていました。
こうしたことから、「特別会計」は「ブラックボックス」「裏帳簿」「闇会計」と揶揄されるゆえんなのです。