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どうすれば韓国は「普通の国」になるのか。反日の急先鋒“86世代”の利権剥奪がカギに=勝又壽良

海外旅行先として日本が大人気。反日感情が薄れつつある

もう一つの事実は、韓国人の海外旅行先が、去年も今年(年初来、5月15日現在)も断然、日本がトップであることだ。KB国民カードの発表で判明した。

昨年、韓国発の海外旅行客が最も多く訪れた国は、日本47%、タイ15%、ベトナム13%であった。今年は、日本が52%と過半を占めた。続いてベトナム(12%)、タイ(10%)、フィリピン(9%)、台湾(5%)、インドネシア(3%)、中国(3%)である。

この国別比率を見ると、韓国人の海外旅行と言えば、日本が定石になった感じである。もはや、ここには「反日感情」が微塵も見られないのだ。

日韓軍事同盟論に賛成が52%、日本への海外旅行は偶然にも52%である。この両方は多分、重なりあっている。この背後には、保守政権の登場が大きな要因として働いている。文政権であれば、あり得ない現象である。要するに、韓国政治が保守である限りは、こういう傾向は続くであろう。

だが、次期政権が左派になれば「逆戻り」はあり得ること。再び、「疎遠」になるだろう。左派が、「歴史の復讐」という視点で反日運動を行っているからだ。

還暦時代迎える86世代

韓国左派で、徹底的に日本批判を繰り広げる主力は、「86世代」という先鋭部隊である。1960年代に生まれ、1980年代に大学生活を送った学生運動家だ。軍事政権退陣を求めて火焔瓶闘争を行った人たちである。

この闘争によって、韓国の軍事政権は倒れ、民主化政治が始まった。「86世代」はその後、韓国政治を軍事政権から救ったという特権意識を以て行動している。この人たちが、文政権へ集結したのだ。

この86世代が今も、韓国社会を牛耳っている。「100大企業の役員の72%、国会議員の44%」を占めている。『中央日報』(2019年9月)の特集記事は、こう分析して見せたのだ。当然、政治面では左派が優位に立つ。ただ、86世代も「不倒翁」ではない。23年現在の年齢は、すでに還暦世代に入っている。今後は、これまでの影響力が次第に削がれるだろう。

代わって登場してきたのが、80年代生まれである。まだ30代で、人生真っ盛りを生きているこの人たちは、86世代の左派特権意識に与しない層である。左派特有の「陣営論理」を脱しており、韓国を統合的な視点から眺めようという世代と位置づけられている。

彼らは、韓国経済の成長を正しく評価しようとしている点で、86世代とまったく異なる。「漢江の奇跡」という高度経済成長を実現した朴正熙大統領(当時)の功績も正当に認める姿勢である。86世代はこれを黙殺しており、文政権時代の教科書では従来の叙述を大幅カットし、むしろ「悪い例」に喩えるという極端な歴史改ざんを行った。軍事政権の当事者という扱いをしたのだ。30代は、こういう左派の極端な振る舞いを批判する。

左派にとっては、歳月の経過は残酷そのものである。現在の30代が年齢を重ねるとともに、社会的発言権も強まるので、86世代である左派の特権意識へ批判のボルテージを上がるだろう。ただ、次回の大統領選挙である27年までに、86世代に代って主導権を握れるかどうかの瀬戸際であろう。86世代が、支配的な地位にとどまれば、次期政権が左派の手に移る可能性を否定できないのだ。

Next: 今なお韓国社会の頂点に立つ「86世代」が引退すれば、日韓関係は…?

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