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どうすれば韓国は「普通の国」になるのか。反日の急先鋒“86世代”の利権剥奪がカギに=勝又壽良

韓国は保守政権によって、日韓シャトル外交復活にまでこぎ着けている。だが、左派の繰り返す福島原発処理水を海洋放出することへの反対運動は、科学的根拠を全否定して、日本への憎しみを煽る運動となっている。この左派が、27年の次期大統領選で政権へ復帰すれば、日韓関係はどうなるか、だ。文政権時代の反日攻勢が、再び部分的に復活することは想像に難くない。(『 勝又壽良の経済時評 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

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プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「日韓シャトル外交」復活、関係改善に期待できるか?

日本から言えば、地理的に最も近い外国が韓国だ。政治的には、相当の違和感を覚えてきた国である。韓国左派が、「歴史的な復讐」という視点で日本へ対決姿勢をとり続けてきたことが背景にある。法的な視点で解決済みの問題が、蒸し返えされてきた原点は、この「歴史的な復讐」にあった。日韓併合による35年間にわたる植民地時代に対して、誇り高き朝鮮として許しがたい、としている。これが、韓国左派の共通項である。

韓国は保守政権によって、日韓シャトル外交復活にまでこぎ着けている。だが、左派の繰り返す福島原発処理水を海洋放出することへの反対運動は、科学的根拠を全否定して、日本への憎しみを煽る運動となっている。この左派が、27年の次期大統領選で政権へ復帰すれば、日韓関係はどうなるか、だ。文政権時代の反日攻勢が、再び部分的に復活することは想像に難くない。

日韓関係だけでない。韓国の内政は、文政権によって停滞・頓挫した。脱原発政策のもたらした韓国電力の大赤字問題が、今後の電力料金大幅引上げに跳ね返る。最低賃金の大幅引き上げが、製造業の雇用構造を破壊した。年功序列・終身雇用制への執着が、雇用流動化を阻止し失業率を高めて、韓国全体の閉塞感を強めている。これが、出生率低下を招いている要因の1つだ。

こういう情勢をもたらした左派政権が、再び4年後に復活すればどうなるか。それは、すぐに想像できるように空想型社会主義モデルの追求であろう。左派の国家モデルでは、非市場・非企業を標榜しているので、韓国経済が破綻するのは明白である。

韓国に信じられない変化

韓国経済が破綻を免れ、日韓関係が現状を維持するには、次期大統領も保守政権でなければならない。その可能性はあるだろうか。現在のユン大統領支持率は30%台である。この支持率を見ると、次期政権も保守になると見るのが難しい情勢だ。

ユン政権の支持率が上がらない理由の一半は、日本に対して融和的過ぎるという批判が根強いことである。文政権と同様に「反日」姿勢も見せれば、支持率は上がるに相違ない。だが、韓国の安全保障と経済成長の面で、それは不可能である。世論は、こういう込み入ったことを理解しないから、支持率は上がらないのも致し方ない。

一方で、日韓シャトル外交復活という雪解けが、韓国の日本イメージを前進させているという隠れた事実もある。安全保障の面から、日韓関係をより堅固にすべきとする世論調査結果が出てきたのだ。これは従来、見られなかった特別の現象である。

韓国政府系シンクタンクの統一研究院が6月5日に公表した「統一意識調査」によると、北朝鮮の脅威に対応するため、「日本との軍事同盟に同意する」との回答は52.4%で、「同意しない」との答え47.7%を上回った。反日騒ぎの裏で、日本が安全保障面で重要な相手国であるとの認識を深めているのだ。

日本との軍事同盟は、日米韓の「三カ国軍事同盟」を意味する。これは、中国が最も神経を使っている問題である。文政権当時、中国に対して防衛の「三不政策」を申し出て国辱的な事件として問題になった。三不とは、次のような内容だ。

1)THAAD(超高高度ミサイル網)の追加配備を検討せず
2)米国のMD(ミサイル防御)システムに韓国は参加せず
3)韓米日三カ国の安全保障協力を軍事同盟に発展させない

「三不政策」では、日米韓三カ国の軍事同盟自粛を打ち出しているが、最近時の世論調査では、これを逆に容認する方向である。ロシアのウクライナ侵攻が影響しているのであろう。

日韓軍事同盟論は、日韓の国民感情から見て極めて難しい問題だ。左派は、海上自衛隊の旭日旗に対して「戦犯旗」であり、韓国の領海では掲揚するなとまで言いがかりをつけているほど。この激烈な反日感情論が、日韓軍事同盟をすんなりと認めるとは思えない。日本国内にも抜きがたい「嫌韓論」がある。こういう両国の反発しやすい要因はあるが、韓国世論で52%の賛成が出たことに驚きを感じるのだ。北朝鮮への脅威論が深刻であることを見せつけている。

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