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2024年「新NISA」最強戦略を長期投資のプロが解説。自分に合った投資の見つけ方とは?=栫井駿介

NISAの前にやるべきこと

ここまでNISAについて話しましたが、NISAは単なる投資手段であり、人生の目的ではありません。

資産運用と資産形成は、生活全体において資産を積み上げ、効率的に増やす方法を考えることが重要です。

効率的な方法は人によって異なりますが、全体の戦略を考えることが大切です。

実際、NISAは全体の戦略において最優先されるべきものではないと考えています。

もちろん、NISAを通じて資産を構築することは重要ですが、特に、働いている人にはそれ以上に優先すべきことがあります。

それが確定拠出年金です。確定拠出年金は、俗に「401k」や「iDeCo」と呼ばれるものです。

NISAとは異なり、将来の年金として使える制度で、自分でお金を積み立て、老後に受け取ります。
受け取り方には一時金と年金の2つの方法があります。

企業型確定拠出年金(401k)と個人型確定拠出年金(ideco)の違いについて簡単に説明します。

企業型確定拠出年金は、確定拠出年金制度のある企業の社員しか加入できない制度です。
一方、idecoは誰でも利用できる個人向けの確定拠出年金制度です。

企業型確定拠出年金はその企業の社員に限定されますが、idecoは誰でも利用可能です。

企業型確定拠出年金の限度額は月に最大5.5万円で、年間で66万円になります。
この蓄積を長期間に渡り運用することで、最終的な資産が非常に大きくなります。

idecoの利用は個人の事情に合わせて柔軟に選択できますが、一般的な会社員の場合、月額の限度額は厚生年金に加入している場合は月額2.3万円、自営業者の場合は月額6.8万円となります。

企業型確定拠出年金は給料から天引きされるため、年末調整の対象外で税金がかからないのが特徴です。一方、idecoは年末調整を行い、返金を受けることができます。

確定拠出年金にはいくつかメリットがあります。

まず、掛け金は所得控除の対象となります。これは所得から差し引かれ、所得税の減免につながります。所得によって税率が異なりますが、高所得者ほど大きなメリットが得られます。たとえば、60万円の確定拠出年金掛け金を支払った場合、年末調整で所得税の一部が還付され、実際に手元に残るお金は確実に増えます。

確定拠出年金は、将来の老後資金をしっかりと積み立てる手段として非常に重要です。これがあれば将来の安心感が増し、仮に他の投資に失敗したとしても最低限は確保できるということになります。

また、2番目のポイントとして、確定拠出年金の運用益にも税制上のメリットがあることがあげられます。具体的には、受け取る際に収入として計算され、いわゆる退職金にかかる税金として処理されます。退職金は将来の年金と合算され、その際には通常、現役世代の方が高い給料を受け取っているため、所得税が少なくなることが期待されます。

税制的なメリットについては、具体的な計算が個人によって異なるため一概には言えませんが、少なくとも年末調整で返ってくるお金は自由に使えるということで、メリットと言えるでしょう。

さらに、確定拠出年金からの引き出し制約は、老後資金を守る面で大きなメリットとなります。手元にお金があるとついつい使ってしまうという方も多いと思いますが、引き出し制約のおかげでそれを防げます。引き出し制約があることで、老後の資金をしっかり守ることができるのです。

確定拠出年金は、老後の安心を守るための重要な手段であり、たとえ他の投資に失敗したとしても老後資金は確保されているということになります。

毎月5万円、年率6%で20年運用した場合のシミュレーションを行うとこのようになります。

出典:金融庁

出典:金融庁

40歳で始めたとして、60歳になる頃には2,300万円以上になっているという計算で、これだけでいわゆる“老後2,000万円”は確保できているということになります。

確定拠出年金で老後資産の土台を形成した上で、NISAを利用し、自分に合った投資を行って人生をより良いものにしていてはいかがでしょうか。

まとめ

・資産形成はまず確定拠出年金から
・新NISAで「自分に合った資産運用」を考える
・投資を楽しもう!

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:umaruchan4678 / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年9月8日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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