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「選択と集中」で明暗クッキリ!日立とシャープ、どうして差がついた?

経営の最も基本的な概念に「選択と集中」というものがあります。しかし、この「選択と集中」は誤ると会社経営を逼迫させる要因にもなり得ます。代表例が液晶に「集中」したシャープ。一方、「選択と集中」の成功例が日立です。ではなぜ日立とシャープでは明暗が分かれてしまったのでしょうか?『株式投資図鑑』では「選択と集中」をする場所を間違ったと語っています。

「選択と集中」とは

経営において最も基本的な概念のひとつに「選択と集中」があります。あれこれと手を広げるのではなく、一つのことに集中した方がうまくいくという考え方です。

選択と集中を大々的にやったのが、「経営の神様」と言われる米GEのジャック・ウェルチです。

創業事業でありながら日本企業が席巻していた家電事業から撤退を決め、企業向けビジネスに絞ることで傾きかけていたGEの経営を建て直し、再び世界的な企業へと躍進させました。

ウェルチの戦略は明確で、「ナンバーワンかナンバーツーになれない事業からは撤退する」というものでした。要はリストラですから、簡単なことではなかったでしょう。
それでもやり遂げたからこそ、現在のGEがあるのです。

なお、ウェルチのCEO在任中(1981~2001年)に、GEの株価は30倍以上になっています。

日本では日立が成功

選択と集中に成功した日本企業が日立です。

日立の場合も状況はGEとほとんど同じで、新興国企業の台頭で赤字を垂れ流していた家電事業から撤退し、社会インフラなど企業向けビジネスに絞るというものでした。

日立は社会インフラに関しては絶大な強みを持っていたので、この戦略は見事に成功しました。
戦略を実行してからは最高益を更新し続け、株価は5年で3倍になりました。

日立の場合、リーマンショック時に7,000億円にものぼる巨額赤字で追い込まれたことが、かえっていい転機になったと言えます。

いつもうまくいくとは限らない

ただし、何でも絞ればいいというわけでもありません。
選択と集中に失敗した代表的な事例がシャープです。

シャープは液晶に「集中」し、社運を賭けて三重県・亀山に巨額投資を行いました。
しかし、世界的な価格競争に巻き込まれ、現在のような危機的状況に陥ってしまっています。

シャープが失敗してしまった理由は、集中する事業を誤ったからです。
確かに液晶はシャープの代表的な商品ですが、さほど難しい技術があるわけではなく、新興国企業にすぐに真似されてしまいました。

それぞれの企業が巨額投資をしているので、作った商品を売るためには価格を下げるしかありません。
こうして熾烈な価格競争に突入してしまったのです。

本当に強みを持った事業でないと、「選択と集中」はリスクを増やすだけなのです。

東芝はどうか

ここで、先日取り上げた東芝について見てみます。

東芝の事業は多岐に渡っています。
その中で、NANDフラッシュメモリやCTスキャンは世界シェア2位に位置するなど強みを持ち、利益を生んでいます。

一方、家電事業は赤字を垂れ流していて、電力・インフラ事業もグローバルな熾烈な競争に巻き込まれています。

この状況で東芝がどうすべきかは、もう明らかだと思います。
そこまで踏まえて投資を考えるのがいいでしょう。

株式投資図鑑』(2015年5月27日号)より一部抜粋

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